愛知県あま市に「ごみゼロ宣言」をするカフェがあります。旬の野菜メニューが人気のこのカフェは、仕入れから調理、そして料理を提供するまで、ごみがほとんど出ないというこだわりのカフェなんです。どんな工夫をしているんでしょうか?
葉がついたままの人参など旬の野菜を使って盛り付けられたランチ。 去年7月にオープンした愛知県あま市にあるカフェ「nico.chan(ニコチャン)」。こちらのカフェには、あるこだわりが―― 「ゴミを出さないというのを一つのこだわりとしてやっています」(nico.chanオーナー 武田菜奈果さん) 「ごみゼロ宣言」を掲げているこちらのカフェ。ごみを限りなくゼロにするというこだわりのもと様々な対策をしています。 まず目指すのは、食材を使い切ること。野菜の皮や葉の部分などは、そのまま調理したりスープの出汁やドレッシングにしたりするなど、すべて料理に使います。それでも出てしまった生ごみは乾燥・分解して堆肥にしています。 また、事前の予約状況などから、仕入れの量を調整し作りすぎて食材が余ってしまわないように工夫しているといいます。
さらに―― 「調味料も量り売りで仕入れたりとか、野菜で裸で大丈夫なものは裸で仕入れてレタスなどは新聞紙で包んで(次の仕入れの時に)お返ししてまた新聞紙も繰り返し使ってもらうよう協力してもらっている」(武田さん) 食材を包むラッピングや容器がごみになることから、包装を極力なくすよう直接農家から野菜を仕入れています。 また、プラスチック類を使わないようにするため洗って繰り返し使えるシリコン製のラップを使用。 ストローは、ガラスやステンレスのものを使います。 「ごみゼロ調理」の成果が―― 「オープンした去年の7月25日からのゴミです」(武田さん) オープンから今月までのおよそ1年間で出たごみはたったこれだけ! ※大きめのガラス瓶に1つ半ほど
ここまでごみを出さないことにこだわるのには、ある理由が―― 「名古屋市と比べてあま市は、分別する数が少なかったりとかゴミの量も名古屋市よりも多いっていうのもあって、何か気候変動に取り組まないとこれは良くないんじゃないかっていうことでだったら、こういうカフェを開くことで、きっかけづくりが出来るんじゃんないかと思って」(武田さん) 愛知県が発表している「市町村別ごみ排出量」によると、武田さんが住むあま市のゴミのリサイクル率は11%。54市町村中、ワースト2位、一人一日あたりの家庭ごみの排出量はワースト7位でした。 この状況をなんとか変えていきたいと「ごみを出さないカフェ」を始めることにしたんです。 「ゴミの多さが、ひどいなぁっていうのを目の当たりにして、何かゴミを減らす、気候変動に取り組む仲間を増やす場所を作りたいなっていうのをずっと思っていて」(武田さん)
また、ごみを出さないだけでなく、地球や人に優しいものを提供したいとランチで使う食材にもこだわりが詰まっています。 「基本的にはうちで扱うものはオーガニックのものをこだわっていて90%以上は(※JAS認定を受けた)オーガニックでご用意しています」(武田さん) この日のランチメニューは8種類の野菜を使った前菜にスープ、人参と大根のステーキに、パスタ、いちごのケーキなど肉や魚など動物性の食材を使わないヴィーガン料理です。 「いつも食べない野菜が入っていておいしかった」(9歳男児) 「目からも嬉しいし食べておいしいし全部で幸せになる感じ」(30代女性)
また、ある時には、ランチではなく、店の外に人が集まって来ました。皆さんのお目当ては―― 「プロギングに(来ました)」(集まった人) プロギングとは、ごみ拾いとジョギングを合わせたスウェーデン発祥のスポーツです。このカフェでは、プロギングを月に1回開催していてごみ拾いの時に使う軍手やごみ袋の貸し出しも行っているため手ぶらで参加することができます。 「タバコが多いね。それとマスクが多かったねタバコ、マスク、ペットボトル…」(参加した人) 1時間ほどで拾ったごみの量はおよそ5キロでした。ごみ拾いに使った袋は、使い捨てではなく繰り返し使えるエコバッグです。 「気持ちもスッキリしたし体もスッキリしたし、楽しかったです」(名古屋市 30代女性) 「若い人達がそこまで一生懸命考えてくれてるので、すごいことだなと思います」(あま市 60代男性) このカフェが気候変動を考えるきっかけとなる場所になってほしいという武田さん。 「ここに来て価値観が変わって、私も何かやってみようって思う人の周りがまた変わっていく。それを繰り返していくと社会がよくなるっていうのはこの一年を通して感じてきたので、これからも、きっかけづくりをnico.chan(ニコチャン)で出来たらいいなって思っています」(武田さん) (6月16日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)