長野県中野市江部で４人が死亡した猟銃発砲・立てこもり事件で、殺人容疑で逮捕された青木政憲容疑者（３１）が、自宅前を散歩で通る一般人女性２人を待ち構え、同時に刃物で襲ったとみられることが捜査関係者への取材で分かった。
県警は青木容疑者の供述などから、銃や刃物も事前に準備したうえでの計画的な犯行との見方を強めている。
死亡したのは、いずれも同市江部の村上幸枝さん（６６）と竹内靖子さん（７０）、通報を受けて駆けつけた中野署地域課所属の警部補・玉井良樹さん（４６）と巡査部長・池内卓夫さん（６１）の計４人。
村上さんと竹内さんの遺体には刃物で刺された傷があり、竹内さんは青木容疑者宅前で、村上さんは少し離れた畑で倒れていた。
捜査関係者によると、２人は夕方の散歩を日課としており、ほぼ毎日、事件発生（２５日午後４時半頃）と同じ時間帯に容疑者宅前の道を通っていた。青木容疑者は、談笑しながら歩く２人を以前から見かけていたことを認めたうえで、「悪口を言われていると思い、殺してやろうと考えた」と供述。県警は一方的に恨みを募らせたとの見方を強めている。
また、青木容疑者がサバイバルナイフのような刃物で２人を同時に襲い、竹内さんを自宅前で刺した後、畑の方に逃げた村上さんを追いかけたとみている。県警は２７日朝から、パトカーで駆けつけた警察官２人が猟銃で殺害された地点も含め、現場一帯で当時の状況を詳しく調べている。
近隣住民によると、村上さんと竹内さんは同じ地区に住んでおり、同じホームセンターで働いていた。青木容疑者宅前は散歩コースではあったものの、２人が住む地区とは国道４０３号を挟んで、直線距離で７００メートルほど離れている。２人と青木容疑者は年齢も離れているため、住民の多くは「なぜ被害に遭ったのか分からない」と話していた。