暴力団組員の「たー坊」 高校生に使い込み・持ち逃げされ“激怒” 拉致・監禁・親に身代金要求「最後に聞きたい曲あるか」と脅迫も 警視庁

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新宿・歌舞伎町に集まる、いわゆる「トー横キッズ」の男子高校生を連れ去り、親から身代金20万円を受け取った疑いで暴力団組員ら4人が逮捕された。被害者の高校生に、薬物の密売をやらせていたが、売り上げをめぐってトラブルになっていたという。
警視庁新宿署によると、逮捕されたのは、指定暴力団・住吉会系組員の三枝丈人(さえぐさ・たけひと)容疑者(36)と、自称「トー横キッズ」のまとめ役・徳永晋太郎(とくなが・しんたろう)容疑者(38)ら4人。
三枝容疑者は、今年3月6日、歌舞伎町2丁目の路上で、「トー横キッズ」の18歳の男子高校生を車で拉致して、「生きては帰れねえぞ」などと脅して暴行した他、トランクの中に監禁したという。
さらに、高校生の母親(51)に、「子どもの命は保証しない」などと言って、身代金を要求。母親から現金20万円を受け取った疑いがもたれている。
トー横キッズの間で、三枝容疑者は「たー坊」と、徳永容疑者は「徳さん」とそれぞれ呼ばれ、知られた存在だったという。
事件の発端は、覚醒剤や大麻などの薬物だった。三枝容疑者らは、被害者の男子高校生に対して、トー横キッズを相手に、薬物の密売をやらせていたという。仕入れ値さえ払えば、他の利益は男子高校生の取り分とされていたそうだ。
ところが、この男子高校生が、知人の男に密売を”丸投げ”していたところ、この男が売上金およそ8万4000円を使い込んだことが発覚。三枝容疑者が、売上金を回収しようと連絡するも、男子高校生は、それを無視していたという。
一方で、三枝容疑者は、別の特殊詐欺事件で得た220万円を、トー横キッズの関係者に持ち逃げされていたそうだ。三枝容疑者は、この関係者についても、男子高校生が匿っているのではとの疑念を抱いていたという。
”使い込み”と”持ち逃げ”。この2つをキッカケに、三枝容疑者らは、事件当日の午前3時半ごろ、男子高校生を、歌舞伎町の路上に呼び出した。そして、車の後部座席に押し込んで、連れ去ったのだった。
「お前、生きて帰れねーぞ」「おまえこのまま山だからな」「俺のこと騙して楽しかったか」「最後に聞きたい曲はあるか」などと恫喝する三枝容疑者ら。赤信号で車が止まるたびに、殴ったり蹴ったりの暴行を繰り返したという。
また、男子高校生をトランクに詰め込んで監禁。詳細は不明なるも、人気のない場所に連れて行き、土下座をさせて、頭を踏みつけるなどしたそうだ。
さらに犯行はエスカレートする。三枝容疑者は、特殊詐欺の被害金220万円を持ち逃げしたとされる人物を見つけ出すため、埼玉県にある男子高校生の実家にまで乗り込んだという。未明の”来訪者”に対応したのは男子高校生の母親だった。
三枝容疑者らは、母親に対して、「払わないと子どもの命は保証しない」「金のことで俺は殺人まではやりたくない」「息子さんが金を返さない。子どもの使いじゃねえんだ」「20万で命の保証はする」などと脅して身代金を要求。
結局、母親は、三枝容疑者らに、現金20万円を渡したという。男子高校生が解放されたのは、連れ去られてから、およそ2時間後の午前5時40分だった。
男子高校生は、頭などに全治6週間の重傷を負った。暴力団員らが自宅に現れたことに驚いた母親は、3月18日、息子を伴って、埼玉県警に被害相談を持ちかけた。
”連れ去り”が歌舞伎町で起きていたことから、事件捜査の担当は、埼玉県警から警視庁に移管されることになった。新宿署では、防犯カメラの映像解析などから、三枝容疑者らを特定。今月15日・16日に、営利目的略取、監禁致傷などの疑いで4人を通常逮捕した。
三枝容疑者は、被害者の男子高校生と面識はあったという。徳永容疑者は、トー横キッズを相手に、特殊詐欺、売春、薬物密売、集団万引きなどをやらせていたとされる、被害者の男子高校生自身も、売春の斡旋や薬物密売に手を染めていて、「薬物密売は10回以上やった」と話しているとのこと。
調べに対して、「たー坊」と「徳さん」は「知らない。身に覚えがない」などと容疑者を否認。逮捕された他の2人はトー横キッズで、調べに対して「暴力団組員に言われて無理矢理やった。被害者に対して本当に後悔している。ごめんなさい」と容疑を認めているという。

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