実はリスクだらけ? 「扁平足」どうやって治す? 整形外科医に聞いた

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「土踏まず」がなく、平らになっている足は「扁平足(へんぺいそく)」と呼ばれます。この扁平足、実は姿勢などに大きな影響があり、放置するとさまざまなリスクがあるようですが、「扁平足って治せるの?」といった疑問の声も聞かれます。
放置するとどうなるのか、治療は必要なのか……「扁平足」に関するさまざまな疑問について、お茶の水セルクリニック(東京都千代田区)の整形外科医・笠井太郎さんに聞きました。
Q.そもそも「扁平足」とは何ですか。
笠井さん「扁平足は、足裏のアーチ構造に異常を来し、土踏まずがなくなった状態と定義されています。土踏まずは歩行前の乳幼児にはなく、歩行を重ねるごとに足のアーチ構造が強化され、徐々に形成されていきます。そのため、小児期からの先天的な扁平足は問題ないことがほとんどですが、後天性の扁平足は注意が必要です。
後天性の扁平足は、中年以降の女性や肥満体型の人に多く、長時間の立ち仕事や歩行、スポーツによる使い過ぎ、足首周囲のけがなどで発症します。足の内側にあるアーチをつり上げている『後脛骨筋腱(こうけいこつきんけん)』や『バネ靭帯(じんたい)』の損傷が原因となることが多いです」
Q.扁平足にはさまざまな弊害があるというのは事実でしょうか。
笠井さん「事実です。扁平足の症状は、中年以降、内くるぶし周囲の腫れや痛みで発症することが多く、変形の進行とともに外くるぶしや足の裏にも痛みが現れるようになります。さらに変形が進むと、足の柔軟性が失われるために歩行障害を来し、膝や腰など、体の他の部分にも問題を引き起こします」
Q.扁平足を放置するとどうなりますか。自然に治ることはないのでしょうか。
笠井さん「小児期の扁平足は先述の通り、成長と共に改善することが多く、問題となることはほとんどありません。一方、成人で発症した扁平足の場合には、変形が自然と改善することはまれで、放置すると変形が進行し、痛みなどの症状を引き起こします」
Q.扁平足はどのように治療するのですか。また、治療は必ず行うべきなのでしょうか。
笠井さん「病院ではまず、立った状態で足部を後ろから観察し、外側から足の指が見えるか観察します。これは、扁平足ではかかとが外側を向くため、後ろからの観察で外側の足の指が多く見えるためです。また、扁平足が進行すると片足でのつま先立ちが難しくなるため、つま先立ちができるかを観察します。
扁平足の治療方法を考えるにあたって、重症度を判断することは重要です。扁平足の重症度は、診察による扁平足の変形や足の柔軟性の評価と、荷重時のエックス線検査で評価します。その他、腱や靱帯の損傷を評価するために、超音波検査やMRIも有用です。
痛みを伴わない扁平足に対する治療は、必ずしも必要ではありません。しかし、痛みを伴う扁平足は治療が必要です。軽症から中症の扁平足では、運動の制限、減量、痛み止めの内服に加え、低下した土踏まずを補助するインソールなどの装具を装着します。これらの保存療法を行っても症状が改善しない場合や、重症の扁平足では手術を検討します。変形の程度に応じて、腱や靭帯などの軟部組織の修復術、骨に対する骨切り術、関節に対する固定術を組み合わせます。
変形が進行すると、その分、治療は大変になるので、痛みを伴う扁平足の場合には、早い段階での医療機関の受診をお勧めします」

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