ロシア美女がYouTubeで日本の魅力を発信するワケ「イオンモールで地元の人の生活がわかる」

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20代前半で来日し、以降は海外と日本の文化の違いや、日本各地の観光名所、伝統文化を紹介する動画をYouTubeで発信しているロシア生まれのあしやさん(@azuminoashiya)。 2022年のロシアのウクライナ侵攻後は、フジテレビ「めざましテレビ」「とくダネ!」、AbemaTV「Abema Prime」などに出演し、プーチン大統領に対し厳しい姿勢を投げかけている。現在日本人への帰化を進めているという彼女は、日本のどこに惹かれて、なぜ日本で芸能活動をするに至ったのでしょうか? 本人に話を聞きました。
◆ロシアの西部にある自然豊かな故郷
――ロシア出身だそうですが、どんなところでしたか?
あしや:ロシアの西部にあるウラル山脈のそばのチェリャビンスク州ミアスというところでした。カザフスタンの国境に面してて、人口10万人、自然豊かで、低い山や森があるところでした。
お父さんとお母さんが30歳半ばくらいに私を生んでくれて、あの当時にしたらけっこういい年齢の子供だったんじゃないかな。あとは弟もいるので、わりとしっかりした性格というか、まじめだと思います。学校も地元というか、同じ町ではないけど、100キロほど離れた地元の大きな町にあるチェリャビンスクの国立大学に入学しました。
◆セーラームーン、るろうに剣心…
――20代で来日したそうですが、日本の文化に触れるきっかけは?
あしや:子供のときからアニメを見ていて、ロシアの大学でも日本語を勉強していました。アニメや日本が好きな友達が周りにいた影響ですね。小学生から中学生のときに、テレビで日本のアニメを見て。インターネットやDVDもあったのでそこで調べました。
特に好きなのはセーラームーンとかポケモン、シャーマンキング、るろうに剣心ですね。ほかの海外にはないストーリーだったり、映像が新鮮でした。「るろうに剣心」は昔の日本の話なので、不思議なアジアの文化みたいなのが印象に残ってます。
◆ロシアの大学を休学して日本に
――そこから日本に来たのはいつ?
あしや:もともと大学で日本語を勉強していて、2年生の時に休学して日本に来ました。とりあえず日本語学校に入ることは決めていましたが、それだけ。日本語能力試験N2で、日本語はそれなりにしゃべれたので、実際に日本がどんな感じなのか、見たり聞いたりしておきたいと思っていました。
それで留学して1年たったときに、まだ日本に残りたいと思って、お仕事を探しているなかで、YouTubeの活動をしたりして、縁があって今の事務所に所属することになりました。
◆「日本のケーキは甘くない」
――YouTubeでは全国各地を巡り、日本を学ぶ「あしやが見る ニッポンプロジェクト」をスタートしています。
あしや:ジャンルはいろいろやっているのですが、日本と海外との違いだったり、食レポだったり、観光地で撮影をしたりしています。コロナになってからは、旅行ができにくくなったので今はインタビュアーをしています。2022年にロシアのウクライナ軍事侵攻がはじまるまえから、いろいろな外国人の方のお話を聞いています。今まで自分の話をしていたけど、友達と動画を撮って、自分と違う経験を聞くようになりました。欧米、南米、アジアなどの国の人の話を聞けるのは面白いです。
――とくにインパクトがあった話はありますか?
あしや:メキシコの女の子に話を聞いたら「日本のケーキは甘くない」と言われました。メキシコには甘党が多いので、日本のスイーツは砂糖かけて食べるそうです(笑)。あとは南米各国に意外と日本系の移民が住んでいることも、私は知らなかったので発見でした。

――いろいろな国の人と会話するのは語学力も必要そうです。
あしや:私はスペイン語、英語、日本語、ロシア語が話せます。言語を覚えるにはまず興味を持つこと、モチベーションがあることが大事です。あとはその国の人と文化交流の機会があるかどうかでも違ってくると思います。英語でしゃべるのが恥ずかしいという日本人は多いと思いますが、語学は間違えて上達するものなので、恥ずかしさを捨てるのが大事です。
――YouTubeでは海外と日本の文化の違いも発信しています。
あしや:日本でコンビニに入って「いらっしゃいませ」と言われたのには驚きましたね。すごく大きい声だったので「どうしたの?」って。あと、わからないことを電話で問い合わせたときに、私はたらい回しにされたり、怒られるんじゃないかと思ったんですが、そんなことなくて。ロシアには怒りっぽい人が多いけど、日本だとお店や役所に電話をしても情報は正確ですし、みなさん親切です。
◆ロシアの軍事侵攻をテレビで発信
――ロシアの軍事侵攻以降は、テレビやインターネット放送局にも出演しています。
あしや:反響はたくさんありました。たまに外で「アベマで見ました」と声かけられることもあります。SNSのフォロワーも増えて、応援の声もありますが、もちろん批判的な意見もありました。あと意外だったのは、番組出演時、大まかな台本はありましたが「自由に話していいよ」と言ってもらえたことです。生放送だとカットとかできないし、もうちょっとテレビって厳しいと思ったのですが、自由に話せました。トータルでは出て良かったと思っています。
◆帰化申請をしたら「いきなりハードルが高く」
――帰化申請を進めているそうですが、現状は?
あしや:2022年11月に面接を受けて結果待ちでした。結果が出るのは「半年くらいかかる」と言われていたのですが、昨日ニュースが来ました(※取材は2023年3月末に実施)。
説明すると、日本の国籍を取得するには帰化申請が許可されてから、元の国籍を離脱しなければいけないんです。ロシアの国籍を離脱できたら、日本のパスポートを取得できるんですけど、今、ロシア領事館にその予約をしてるんです。
それで昨日連絡があって、「ルールが変わったから日本の永住者でないとロシアの国籍を離脱できない」と言われました。帰化の条件は在留期間5年ですが、永住は10年です。だから、ハードルがいきなり高くなってた。ロシアでは急にルールが変わるので、これもある種、普通のことなのですが、根拠が分からないので、それはおかしいと確認しているところです。
私のほかにも帰化申請をしているロシア人は何十人といるので、日本の法務局にもこのことは伝わっていると思います。なので、どういう対応をとるのかはまだわかりませんが、日本側の対応も待ちたいです。
◆帰化後の名字は「安曇野」に
――帰化後の名字を「安曇野(あずみの)」にすると発表しました。
あしや:由来は長野県の安曇野市です。2018年に一度、番組のロケで行く機会があったのですが、気に入って、個人的にも訪れていて、計5回以上は行っていると思います。北アルプスの地域で、山も、水もきれいで、自然にあふれています。長野なのでリンゴも名物ですし、私が好きなワサビもたくさんあって美味しいです。
――長野以外にもいろんな日本各地の観光名所を回っていますね。どこが特に印象に残っていますか?

◆地元の人の生活を知るのが好き
――自然がある場所に行くのが好きなんですね。
あしや:そうですね。あとは、地元の人がどういう生活をしているかを知るのが好きで、現地のイオンか、ショッピングモールに行くようにしています。そこで生活している人の方言や、どんな買い物をしているかを見させてもらっています(笑)。
――変わってますね(笑)。それ以外で印象に残ったり、驚いたことは?
あしや:東京と地方でモノの値段が変わらないことに驚きました。もちろん、不動産や家賃は変わりますが、スーパーで買い物するときでも値段は一緒ですよね。ロシアはモスクワが物価も一番高く、地方はもうちょっと安いです。もちろん、ロシアの北極圏とかは、物流の問題で、とんでもなく値段が高いですが。日本のほうが物流やインフラがちゃんと発展していて驚きましたね。
◆スタバのご当地マグカップも好き
――YouTubeでは日本の伝統文化を紹介する動画も作成しています。
あしや:陶器が好きで、この前行った松江では布志名焼を買いました。ほかには有田焼、美濃焼も集めています。あとはスターバックス売っているご当地マグカップも好きです。御朱印も集めっていて、神社とお寺で分けていて3冊目になりました。
最近はコロナの影響もあって、御朱印をその場で書いてくれずに、プリントしたものを渡すところが多くて少し残念です。山を登った先にある神社に行くこともあるので、せっかくだったら目の前で書いてくれると嬉しいですよね。
◆「日本の魅力を紹介したい」
――また、鉄道オタクとしても知られておりますが、好きな路線は?
あしや:好きな路線は千葉県にあるローカル鉄道の小湊鉄道です。大正時代からある歴史的な駅舎があって、ドラマとかミュージックビデオのロケ地にもなっているのですが、古き良き時代の雰囲気を感じます。私は窓からの風景を見るのが好きな、いわゆる「車窓鉄」で、どこまで行けるんだろうっていうワクワク感を味わいながらいつも乗っています。
――今後こういう活動したいという目標を教えてください。
あしや:YouTubeではいろんな国の人にインタビューしているので、それで可能な限り全世界の人を目指したいです。あとは最近、英語チャンネルをはじめので、日本のことをより発信していきます。いまコロナの規制が緩和されて、日本に海外から観光客が入ってきたので、そういう人たち向けて日本の魅力を紹介できたらと思います。
<取材・文/シルバー井荻 撮影/星亘>
【あしや】日本の良さを発信するロシア人YouTuber。20代前半で来日。それ以来日本の虜になり「日本人になりたい」という思いから帰化申請を進めている。人気高評価動画は約400万回再生を記録。現在は、主に海外と日本の文化の違いや、日本各地の観光名所を自ら周り、日本の伝統文化を紹介する動画を発信。また、いろいろな国の外国人をゲストに呼び、母国と日本の文化の違いなどを取材している。

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