キャバ嬢に「今まで使ったカネをぜんぶ返せ!」常連客の“逆恨み”で恐怖のどん底に

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東京・立川市のスナックに放火したとして44歳の会社員の男が逮捕された。男は店の常連客で「あなたとは誰も口をききたくない」と女性従業員に言われ、むしゃくしゃして犯行に及んだという。男女の欲望が渦巻く水商売において、客と折り合いがつかずトラブルに発展するケースは少なくない。
「私も逆恨みされたことがあります」
数年前に都内のキャバクラに勤務していたユナさん(仮名・27歳)が語る“恐怖体験”とは?
◆本気で付き合っていると勘違い 「毎日のように店に来て指名してくれるAさんというお客さんがいたんです。地主の人で仕事はほとんどしていなくて独身。私自身、色恋営業(本気の恋愛っぽく振る舞う営業)をかけたつもりはないのですが、Aさんの中では付き合っていると思っていたみたいです。店で話す内容も初めは普通でした。だんだん『いつ、うちの両親に会ってくれる?』『結婚式はいつがいいかな?』とか言うようになってきたんです」 日に日にエスカレートしていくAさんの言動に「毎日来てくれるとはいえ、さすがに怖くなった」とユナさんは語る。しかし、Aさんのお陰でナンバー入り(店で売り上げTOP10などの上位に入ること)できたため、多少は我慢をしていたというユナさんだが……。
◆他の客を威嚇 「他のお客さんにも迷惑をかけるようになったんです。私を指名してくれる他のお客さんが来たので席を抜けると、Aさんはあからさまに不機嫌な顔をするんです。
指名が被っているお客さんはお互いに見えない席に座ってもらいます。私が他のお客さんについているとき、Aさんはわざとトイレに行き、通りすがりにお客さんを睨んだりするんです。お客さんからも『あの人、大丈夫? 席戻ったほうがいいんじゃない?』と言われて、さすがにAさんを切るべきか考えるようになりました」
◆「今まで使ったカネをぜんぶ返せ!」 また、他にはこんなこともあったという。 「私が他のお客さんについているとき、Aさんにはヘルプの女の子についてもらうんです。でも、Aさんは私以外のキャストが席についてもまったく喋らないんです。キャストが話しかけても無視をしてお酒を飲んでいるだけ。そんなことが何度もあったから、『Aさんのヘルプにつきたくない』とキャストに言われるように……。ちょうどその頃、他にも指名のお客さんが増えてきたので、Aさんを切るつもりで距離を置くことにしたんです」 ユナさんはAさんへの連絡の頻度を徐々に減らしていった。また、Aさんが来店しても他の指名客を呼んでAさんの席につく時間を短くしていった。しかし、ユナさんが拒むほどAさんからの連絡はさらにしつこくなっていったという。 「『俺を切るなら今まで使ったカネをぜんぶ返せ!』という連絡が来るようになったんです。さすがに限界だなと思い『今までありがとうございました』と送ってブロックしました」
これでやっと解放される……と思ったのもつかの間。
◆店の外で待ち伏せされ…
「次の日、仕事が終わってキャストの子と飲みに行こうと歩いていたら、隣を歩いているキャストの子の顔が急に青ざめていったんです。そして、私にこっそりと耳打ちするように『Aさんがいます』って。怖くて後ろを振り向けなかったのですが、Aさんが私たちの後をずっとついてきていたんです」 Aさんはユナさんにブロックされたことを逆恨みし、店の外で待ち伏せしていたのだ。恐怖を感じたユナさんは店長に連絡をしてタクシーを手配してもらい、すぐに帰宅したという。 「幸い、店長を呼ぶとAさんの姿はなくなっていました。そのことがあってから出勤するのが怖くなったんです。それまで店までは歩いて通っていたのですが、いつAさんが現れるかわからないのでタクシーで出勤するようになりました」
◆無言電話や営業妨害も
さらにAさんの嫌がらせは続いた。
「私の携帯に非通知で無言電話がかかってくるようになったり、店の入口にジュースが撒き散らされていたこともありましたね」 ユナさんは外出が怖くなり、出勤も減らしていった。ちょうどその頃、ユナさんの母親の体調が悪くなったという連絡を受けたため、それを機に実家に帰ることにしたという。マンションも引き払い、ユナさんはキャバクラを退店した。
大事には至らなかったが、「今もたまにAさんにどこかで見張られているのではないかと思うときがある」というユナさん。夜の仕事を辞めようとも、1度経験した“恐怖”はなかなか拭い去ることができないのだ。
<取材・文/カワノアユミ>

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