陸上自衛隊の第8師団長ら10人が搭乗した多用途ヘリコプターが沖縄県・宮古島周辺で行方不明になった事故で、海底で見つかった5人のうち2人の死亡が確認された。
自衛隊は残る隊員についても救助や捜索を急いでいる。
前日の悪天候から一変し、16日の周辺海域の波は穏やかになっていた。潜水艦救難艦「ちはや」は、海底で機体とみられる物体が発見された伊良部島北側約6キロにとどまり、艦上では早朝から慌ただしく機材の移動などが行われた。
潜水士が事故機とみられる機体を確認したのは午前8時半ごろだ。読売新聞がチャーターした船からは、同9時48分、船体中央部に設置された装置に、カプセル状の機材がゆっくりと引き揚げられていく様子が確認できた。
作業は続き、午後3時半頃、船体下部から機材が上がってくると、艦上の隊員らの動きは一層慌ただしくなった。船体中央部はブルーシートで覆われ、隊員が行き交った。
同5時頃には宮古島海上保安部の巡視船「はりみず」が「ちはや」に横付けし、橋のようなものを架けてブルーシートをかぶせた。引き揚げた2人を引き渡したとみられる。「はりみず」は午後6時半頃、宮古島の平良(ひらら)港に入港。陸自の医官が2人の死亡を確認した。
関係者は、損壊したヘリの一部や乗員とみられる5人が見つかったとの知らせを様々な思いで受け止めた。
政府関係者によると、5人のうち、16日に引き揚げられた2人以外の3人は、機体に挟まれるなどしており、飽和潜水による救出には困難も予想されるという。
防衛省幹部は「海中で見つかった残る3人をできる限り早く引き揚げてあげたい。発見できていない5人の捜索にも全力を尽くし続ける」と語った。
事故機には、熊本県に拠点を置く第8師団の9人が搭乗していた。自身も陸自OBで、熊本県自衛隊家族会事務局長の光永邦保さん(68)は「隊員の家族を思うと胸が締め付けられる」と声を沈ませた。