栃木県那須塩原市の焼肉店で使用済みのつまようじを容器に戻し、その様子を撮影した動画をSNSに投稿したとして、茨城県つくば市の無職・室井大樹容疑者(30)と栃木県大田原市の建設業・礒隆彦容疑者(30)が偽計業務妨害の疑いで4月11日に逮捕された。
【写真】使用済み爪楊枝を戻した瞬間。スシローの迷惑行為で「若い女性の加工が外れて顔が映った瞬間」も 問題となった動画は、焼肉を食べ終わったらしき男性がつまようじを使ったあと、卓上の容器に戻すというもの。撮影者が「え?」と笑い声をあげると、男性はさらに容器からつまようじを取り出し、使用後に容器に戻していた。
「つまようじを容器に戻した男性が礒容疑者、それを撮影したのが室井容疑者と見られます。今年2月にインフルエンサーによって動画が拡散され、店も警察に被害届を出しました。調べに対して、2人は容疑を認めているとのことです。大炎上の結果、ネット上で礒容疑者は“つまようじマン”と呼ばれ、特定しようとする動きも起きていました」(全国紙記者) 4月13日、礒容疑者の自宅を訪ねると、家の中からテレビの音が聞こえた。インターフォンを押したところ、礒容疑者の父親が出てきた。気落ちした様子の父親は30代の息子が起こした騒動を語った。(カッコ内は編注、以下同)──今回の騒動を受けて、息子の隆彦さんはどのような状況でしょうか。「今刑務所(注:拘置所)行ってっからわかんねえけど、まああれだ、やったことにはまちがいねえんだべ?」── 反省なさっているということなんでしょうか。「そりゃあね。丁寧にあれ(菓子折)持って、店に謝りに行ってんだからね」──動画はいつ撮影したものでしょうか。「俺はわかんないよ。1年以上前だとは聞いてるけど」──回転寿司チェーンでの迷惑動画なども、世間で話題になっていますが……。「そういう報道が出たから、宣伝のためにやってんでねえのかな。焼肉店の人が」── どういうことですか?「いや、焼肉店がお客さんに宣伝するためにやってんでねえのって。だって、(動画を撮影したのは)1年前とかの話でしょ? そんで(息子は)謝りに行って、話して、(店主が)『チラシ配達してください、そうすればいいです』って話して」──焼肉店の社長の「謝って済む案件ではない」という発言も報じられていますが、当初は、チラシを配れば許してくれるという話だったんですか?「2日後に来て、店のチラシを撒くのを手伝ってくれればいいってことになってたみたいだよ」──隆彦さんがお父さんにそう言っていたんですね?「うんうん」──でも結局、警察沙汰になっている。「だから、宣伝のためでねえのって。そうすればお客さんが入ってくれるって」──隆彦さんはチラシを撒くのを手伝ったんですか?「撒かねえ撒かねえ。俺のところに連絡が来るって(息子から)聞いたけど、来なかったから」──それはいつ頃の話ですか?「手土産持って謝りに行ったときだと思うけどなぁ」──最後に隆彦さんとお話ししたのはいつですか?「一緒に住んでんだから、そりゃいつも話してっぺ。今は刑務所行ってるけどな」──隆彦さんは後悔の念を口にしてませんでしたか?「別にそんな話はしてなかったよ、急に(警察が)来て連れてかれたんだから。全然そんな話はしてねぇ」 父親の話によると、逮捕前に謝罪に行った際、店のチラシ配りを手伝うことで話がついたという。一方で、被害にあった焼肉店の社長は「そんなことは一言も言っていない」と冷静に断言する。13日、社長にも話を聞いた。──容疑者が謝罪に来た経緯を教えてください。「問題となった動画が投稿されたのは、昨年9月頃のことです。その時点で一度小さく炎上したらしく、店に問い合わせが来て、つまようじを全部取り替えて消毒してという措置を取りました。警察にも相談に行きましたが、24時間経つと消える性質の動画で、小規模に公開されたものだったので、そのときは『様子見でいいんじゃないか』という話になりました。 でも今年2月、ネット上のとっても迷惑な人がその動画をどこからか拾ってきてアップして、さらに暇な人が調べた結果、うちの店だとわかり、容疑者2人の情報がネット上に晒されました。そうなってから彼らが泡を食って、菓子折を持って謝りに来たんです」──どんなやりとりをしましたか?「『ごめんなさいで済む話じゃねえよ』と伝えました。彼らだけでなく私たちもそういう噂で全国区になってしまった。だから、『そんな菓子折もらう気もないし、持って帰れ』と。謝罪に来たことは認めますし、彼らが(動画を)広めたわけじゃないというのはわかりますけどね。具体的に何が出来るかという話でもないし、『弁護士さんを介して解決策を見つけます』みたいな具体的な話もしてきてないわけですから」──「『ビラ配りを手伝えば許してあげる』と言われた」という情報を聞きました。「そんなことは一言も言ってないです。どこがそんなこと言ってたんですか。初耳ですし、事実無根です」──今回の騒動で、お店はどんな被害を受けましたか?「つまようじを破棄するといった作業もそうですし、『気持ち悪くて行けません』と電話で言われたこともありました。そもそも動画が出なければ、そういう電話対応は発生していませんよね。動画を見て店に来るのを控える人もいただろうし、実際、売上は3割落ちてます。ただ弁護士さんにも相談しましたが、コロナ禍なども関係しているだろうから、売上が落ちたのと炎上との関係を立証するのは難しいみたいです」──お店としては今後どうしていきますか?「私たちがやれる予防策は全部やったし、これ以上やれることはありません。外食産業って普通、お客様がそんないたずらをするとは思っていない。性善説でもっているんです。だから、『ごめんなさいじゃ済まねえよ』ってことなんです。『彼らだけでなく、動画を拡散させたTwitterユーザーも一緒に訴えたほうがいいんですか?』と警察に相談しましたが、 『それは厳しい』と言われてしまいました。拡散したことについて、悪気がなかったと言えばそれまでですからね。 でも拡散した側が悪意ゼロだとは、われわれ被害者側としては到底思えないですけどね。去年の9月の時点で消えたはずの話が再燃した。私たちは何もできないんですから」──逮捕された2人に言いたいことは何でしょうか?「何もねえけど、ほんの一時のおふざけが大変なことになりましたよねと。ちょっと考えれば、あれはなかったと思うんです。だって小学生じゃないんですよ。やっていいことか悪いことか、いい年だからわかると思うんです。外食に行ったとき、いちいち疑問を持ってつまようじを使いたくないですよ。外食産業の人たちって今、厳しい人手不足のなか、お客さんのために本当に一生懸命やってるんです。(声を震わせながら)その思いを踏みにじるようなことはしてほしくない。それは彼らだけじゃないです。ネットの人も、こういうことをしちゃダメだよと思って拡散してくれるならいいですけど、あんまり大きくやりすぎると、本来それに気づかない人まで悪意ある形でそれを見て、(店を)敬遠してしまうと思うんです」 ビラ配りをめぐり、食い違う発言。「ビラ配りで手打ち」が事実と違うのだとしたら、一体それはどういう意図での発言だったのだろうか。 30歳の悪ふざけは、父親まで巻き込む大事に繋がってしまった。
問題となった動画は、焼肉を食べ終わったらしき男性がつまようじを使ったあと、卓上の容器に戻すというもの。撮影者が「え?」と笑い声をあげると、男性はさらに容器からつまようじを取り出し、使用後に容器に戻していた。
「つまようじを容器に戻した男性が礒容疑者、それを撮影したのが室井容疑者と見られます。今年2月にインフルエンサーによって動画が拡散され、店も警察に被害届を出しました。調べに対して、2人は容疑を認めているとのことです。
大炎上の結果、ネット上で礒容疑者は“つまようじマン”と呼ばれ、特定しようとする動きも起きていました」(全国紙記者)
4月13日、礒容疑者の自宅を訪ねると、家の中からテレビの音が聞こえた。インターフォンを押したところ、礒容疑者の父親が出てきた。気落ちした様子の父親は30代の息子が起こした騒動を語った。(カッコ内は編注、以下同)
──今回の騒動を受けて、息子の隆彦さんはどのような状況でしょうか。「今刑務所(注:拘置所)行ってっからわかんねえけど、まああれだ、やったことにはまちがいねえんだべ?」
── 反省なさっているということなんでしょうか。「そりゃあね。丁寧にあれ(菓子折)持って、店に謝りに行ってんだからね」
──動画はいつ撮影したものでしょうか。「俺はわかんないよ。1年以上前だとは聞いてるけど」
──回転寿司チェーンでの迷惑動画なども、世間で話題になっていますが……。「そういう報道が出たから、宣伝のためにやってんでねえのかな。焼肉店の人が」
── どういうことですか?「いや、焼肉店がお客さんに宣伝するためにやってんでねえのって。だって、(動画を撮影したのは)1年前とかの話でしょ? そんで(息子は)謝りに行って、話して、(店主が)『チラシ配達してください、そうすればいいです』って話して」
──焼肉店の社長の「謝って済む案件ではない」という発言も報じられていますが、当初は、チラシを配れば許してくれるという話だったんですか?「2日後に来て、店のチラシを撒くのを手伝ってくれればいいってことになってたみたいだよ」
──隆彦さんがお父さんにそう言っていたんですね?「うんうん」
──でも結局、警察沙汰になっている。「だから、宣伝のためでねえのって。そうすればお客さんが入ってくれるって」
──隆彦さんはチラシを撒くのを手伝ったんですか?「撒かねえ撒かねえ。俺のところに連絡が来るって(息子から)聞いたけど、来なかったから」
──それはいつ頃の話ですか?「手土産持って謝りに行ったときだと思うけどなぁ」
──最後に隆彦さんとお話ししたのはいつですか?「一緒に住んでんだから、そりゃいつも話してっぺ。今は刑務所行ってるけどな」
──隆彦さんは後悔の念を口にしてませんでしたか?「別にそんな話はしてなかったよ、急に(警察が)来て連れてかれたんだから。全然そんな話はしてねぇ」
父親の話によると、逮捕前に謝罪に行った際、店のチラシ配りを手伝うことで話がついたという。一方で、被害にあった焼肉店の社長は「そんなことは一言も言っていない」と冷静に断言する。13日、社長にも話を聞いた。
──容疑者が謝罪に来た経緯を教えてください。「問題となった動画が投稿されたのは、昨年9月頃のことです。その時点で一度小さく炎上したらしく、店に問い合わせが来て、つまようじを全部取り替えて消毒してという措置を取りました。警察にも相談に行きましたが、24時間経つと消える性質の動画で、小規模に公開されたものだったので、そのときは『様子見でいいんじゃないか』という話になりました。
でも今年2月、ネット上のとっても迷惑な人がその動画をどこからか拾ってきてアップして、さらに暇な人が調べた結果、うちの店だとわかり、容疑者2人の情報がネット上に晒されました。そうなってから彼らが泡を食って、菓子折を持って謝りに来たんです」
──どんなやりとりをしましたか?「『ごめんなさいで済む話じゃねえよ』と伝えました。彼らだけでなく私たちもそういう噂で全国区になってしまった。だから、『そんな菓子折もらう気もないし、持って帰れ』と。謝罪に来たことは認めますし、彼らが(動画を)広めたわけじゃないというのはわかりますけどね。具体的に何が出来るかという話でもないし、『弁護士さんを介して解決策を見つけます』みたいな具体的な話もしてきてないわけですから」
──「『ビラ配りを手伝えば許してあげる』と言われた」という情報を聞きました。「そんなことは一言も言ってないです。どこがそんなこと言ってたんですか。初耳ですし、事実無根です」
──今回の騒動で、お店はどんな被害を受けましたか?「つまようじを破棄するといった作業もそうですし、『気持ち悪くて行けません』と電話で言われたこともありました。そもそも動画が出なければ、そういう電話対応は発生していませんよね。動画を見て店に来るのを控える人もいただろうし、実際、売上は3割落ちてます。ただ弁護士さんにも相談しましたが、コロナ禍なども関係しているだろうから、売上が落ちたのと炎上との関係を立証するのは難しいみたいです」
──お店としては今後どうしていきますか?「私たちがやれる予防策は全部やったし、これ以上やれることはありません。外食産業って普通、お客様がそんないたずらをするとは思っていない。性善説でもっているんです。だから、『ごめんなさいじゃ済まねえよ』ってことなんです。
『彼らだけでなく、動画を拡散させたTwitterユーザーも一緒に訴えたほうがいいんですか?』と警察に相談しましたが、 『それは厳しい』と言われてしまいました。拡散したことについて、悪気がなかったと言えばそれまでですからね。
でも拡散した側が悪意ゼロだとは、われわれ被害者側としては到底思えないですけどね。去年の9月の時点で消えたはずの話が再燃した。私たちは何もできないんですから」
──逮捕された2人に言いたいことは何でしょうか?「何もねえけど、ほんの一時のおふざけが大変なことになりましたよねと。ちょっと考えれば、あれはなかったと思うんです。だって小学生じゃないんですよ。やっていいことか悪いことか、いい年だからわかると思うんです。外食に行ったとき、いちいち疑問を持ってつまようじを使いたくないですよ。
外食産業の人たちって今、厳しい人手不足のなか、お客さんのために本当に一生懸命やってるんです。(声を震わせながら)その思いを踏みにじるようなことはしてほしくない。それは彼らだけじゃないです。ネットの人も、こういうことをしちゃダメだよと思って拡散してくれるならいいですけど、あんまり大きくやりすぎると、本来それに気づかない人まで悪意ある形でそれを見て、(店を)敬遠してしまうと思うんです」
ビラ配りをめぐり、食い違う発言。「ビラ配りで手打ち」が事実と違うのだとしたら、一体それはどういう意図での発言だったのだろうか。
30歳の悪ふざけは、父親まで巻き込む大事に繋がってしまった。