「ガチの寄付を」 長野県が返礼品なし直営ふるさと納税サイト開設

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ふるさと納税をめぐる自治体間の返礼品競争が激化し、民間サイトの手数料などが負担となる中、長野県が返礼品を設定しない直営のふるさと納税サイト「ガチなが」を開設した。「ガチ(本気)で長野県をより良くしたい」との思いを込め、返礼品人気に頼りがちな、ふるさと納税の現状に一石を投じる。
上杉謙信の愛刀・国宝「山鳥毛」の写し ふるさと納税返礼品に返礼品、手数料で半額消える 県税務課によると、県はふるさと納税で二つの民間サイトを利用している。県特産のリンゴやブドウをはじめとした返礼品を用意し、2022年度は約11億円を集めたが、返礼品の準備には多くの場合、限度いっぱいの寄付額の3割の費用がかかる。同様の返礼品は県内外の自治体も設定しており、より大勢にアピールするために民間サイトを利用しているが、寄付額の10%超の手数料が発生する。そのため、ほとんどの場合、寄付額の5割強しか自治体に届かないのが現状だ。

一方、「ガチなが」は医療や学びなどの「使い道」を具体的に示して寄付を募り、返礼品にかかる費用を減らすことで、地域や住民のために使える金額を増やす狙いがある。 ホームページ製作費は約438万円で、年間運営費は約60万円。カード決済の手数料は1~1・5%ほどで、事業に使う金額を大きく増やすことができる。若手職員が中心になって企画した。担当者は「ふるさと納税の目的は『生まれ育ったふるさとや応援したい地域に貢献したい』との思いを税制を通じて実現すること。返礼品で寄付先が選ばれている現状を変えたかった」と言う。共感されるPRを 3日に開設された「ガチなが」は、寄付の使い道として、年齢や障害にかかわらず観光を楽しめる「ユニバーサルツーリズム」や「伝統的工芸品応援」など4事業を掲載して始まった。プロジェクトの内容を動画や写真で詳しく紹介し、寄付先に選ばれるようPRしている。寄付者がコメントを寄せることができ、県も返答したり、寄付された事業の進捗(しんちょく)状況を掲載したりする「共創型」をうたう。今後も事業を増やしていく予定だ。 「ガチなが」が軌道に乗れば、民間サイトの利用をやめ、ふるさと納税の入り口を一本化することも視野に入れている。担当者は「返礼品のある寄付先との競争は大変。共感してもらえるようなPRを考えていかないといけない」。地域を代表する魅力的な返礼品という武器はあえて持たず、「ガチンコ」で知恵を絞って競争に臨む。【鈴木英世】
返礼品、手数料で半額消える
県税務課によると、県はふるさと納税で二つの民間サイトを利用している。県特産のリンゴやブドウをはじめとした返礼品を用意し、2022年度は約11億円を集めたが、返礼品の準備には多くの場合、限度いっぱいの寄付額の3割の費用がかかる。同様の返礼品は県内外の自治体も設定しており、より大勢にアピールするために民間サイトを利用しているが、寄付額の10%超の手数料が発生する。そのため、ほとんどの場合、寄付額の5割強しか自治体に届かないのが現状だ。
一方、「ガチなが」は医療や学びなどの「使い道」を具体的に示して寄付を募り、返礼品にかかる費用を減らすことで、地域や住民のために使える金額を増やす狙いがある。
ホームページ製作費は約438万円で、年間運営費は約60万円。カード決済の手数料は1~1・5%ほどで、事業に使う金額を大きく増やすことができる。若手職員が中心になって企画した。担当者は「ふるさと納税の目的は『生まれ育ったふるさとや応援したい地域に貢献したい』との思いを税制を通じて実現すること。返礼品で寄付先が選ばれている現状を変えたかった」と言う。
共感されるPRを
3日に開設された「ガチなが」は、寄付の使い道として、年齢や障害にかかわらず観光を楽しめる「ユニバーサルツーリズム」や「伝統的工芸品応援」など4事業を掲載して始まった。プロジェクトの内容を動画や写真で詳しく紹介し、寄付先に選ばれるようPRしている。寄付者がコメントを寄せることができ、県も返答したり、寄付された事業の進捗(しんちょく)状況を掲載したりする「共創型」をうたう。今後も事業を増やしていく予定だ。
「ガチなが」が軌道に乗れば、民間サイトの利用をやめ、ふるさと納税の入り口を一本化することも視野に入れている。担当者は「返礼品のある寄付先との競争は大変。共感してもらえるようなPRを考えていかないといけない」。地域を代表する魅力的な返礼品という武器はあえて持たず、「ガチンコ」で知恵を絞って競争に臨む。【鈴木英世】

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