「もう出世はないぞ」と総務官僚を脅した安倍官邸…窮地の高市早苗は「総理の意向」を知っていた?

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一昨年の総裁選では、岸田文雄首相に次ぐ2位の票を獲得し、「初の女性総理」とも呼び声高かった高市早苗経済安全保障相が、窮地に陥っている。
国会を混乱させている総務省の「行政文書」問題における答弁だけではない。4月に予定されている奈良県知事選で「保守分裂」となった自民党が敗色濃厚なのだ。
2015年、礒崎陽輔首相補佐官が安倍晋三首相(いずれも当時)の意を受けてか、総務省に放送法4条、政治的に中立の解釈変更を求めようと、何度も官僚を呼びつけて協議をしていた。そこに高市氏も加わって、レクを受けて「後押し」をしかねない発言を繰り返したとされる行政文書を、高市氏は「捏造」と一方的に文書を否定した。
《2015年2月13日(金)15:45~16:00 場所 大臣室 先方 高市大臣(〇)》と明確に記された文書において、高市氏は
《そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてある? どの番組も極端な印象。関西の朝日放送は維新一色》《苦しくない答弁の形にするか。それとも民放を相手に徹底抗戦するか。TBSとテレビ朝日よね》
と、非常に具体的に不快感を示している。
それでも高市氏は国会で「捏造」だという主張を繰り返した。メディアで批判を受け、古巣の総務省からも「大臣レクがあった可能性が高い」「文書は総務省が作成したもの」と反撃を受けると、「何月何日何時の大臣レクがあったかどうか、確認のとりようがありません」「この紙に書かれている内容は改めて自信をもって否定させていただきます」と否定した。テレビ朝日についての発言では、こう煙に巻いた。「テレビ朝日をディスるはずもございません。恥ずかしながら、羽鳥アナウンサーの大ファンで、朝8時から8時5分までの間は、羽鳥さんの顔をひと目見て出かける」呆れ顔の総務官僚立憲民主党の議員からは「意味不明な根拠で理由になっていない」と反撃をくらう始末で、ついに「私の発言が信用できない、答弁が信用できないなら、もう質問はなさらないでください」とブチ切れたのだ。総務官僚のひとりが呆れ顔で語る。「もともと総務省は、高市氏のことだけは守りたいと動いていた。高市氏は2度も総務大臣を経験し、通算約4年間その座にいた。安倍政権では森友学園問題で財務省などは追及を受けたが、うちは大きなトラブルはなかった。総務省としては最も大事にしている国会議員の一人なのです。ですからこちらからも『守ります』とシグナルを送ってきたのに、いきなり『文書は捏造』とやった。もう守り切れないので、国会でも迷走する答弁が続いている」 一連の放送法の文書の問題は、2017年5月、礒崎氏らの意を受けた自民党の藤川政人衆議院議員が「放送法の政治的中立について」を質問したことで一定の決着を見た。GettyImages高市氏が「政治的公平の観点から番組編集の考え方について社会的に問われた場合には、放送事業者が政治的公平を確保しているかどうか国民に説明する必要がある」と答弁すると藤川氏が「総務省が放送事業者を指導してほしい」と締めくくったことで、テレビ局への間接的圧力となった。当時の自民党を知る幹部が語る。「安倍氏はTBSやテレビ朝日の報道にはよく文句を言っていました。礒崎氏が安倍氏をうまく乗せて仕掛けたことは、ある意味成功したのです。その後、安倍氏の意に沿わない『報道ステーション』の古舘キャスターなどが交代していますからね。礒崎氏は『俺が(交代を)やったんだ』ととてもご満悦だった。実はその後が、もっととんでもないことになっていた」安倍氏最側近の重大発言当時の総理秘書官は、総務官僚で「飲み会を断らない」ことで有名な山田真紀子氏だった。山田氏は、その後総務省に戻り局長、官房長を歴任したが、菅義偉元首相の長男が勤める放送事業者から接待を受けたことが発覚し、総務省から去っていった。官邸がさらに仕掛けた「乱」の被害者は山田氏だった。総務省の姿勢については、文書にも山田氏の発言として「政府がこんなことしてどうするつもりなのか」「どこのメディアも萎縮するだろう、言論弾圧」とごく当たり前のことを語っている記録が残っている。だが、前出の自民党幹部はこう証言する。「山田氏が総務省に戻ってからのことです。別の幹部ら2~3人とともに官邸に呼ばれました。安倍氏の最側近が『放送法4条を変えたいと思っている』と語気鋭く話し始めた。安倍総理の意向だとも言っていたそうです。総務省は放送法4条を変えるなどあり得ないという方針を堅持していた。山田氏らが抵抗する姿勢を見せると『もうこれから出世はないぞ』『どうなるかわかっているだろうな』などと激怒したそうです。放送法4条の改正を企図する安倍氏は、その先に安保法制や憲法改正が念頭にあり、政権の意向に従わせるテレビ報道をさせたいという考えがあった。 高市さんは、安倍氏の寵愛を受けて総裁選にまで出馬しています。この件でむきになっているのは、放送法4条改正の意向まで知っていたからではないか。それがバレたら大バッシングになるでしょうからね。しかし高市氏があまりに感情的なので、岸田首相もかばいきれなくなっている。高市氏が自ら辞職するのを祈るしかなくなっている」高市氏をさらに窮地に陥らせているのが、奈良県知事選だ。記事の後篇《高市泣きっ面に蜂!奈良県知事選「維新勝利」の世論調査で、これから起こること》では、奈良県知事選の擁立劇の真相を明かす。記事の後篇《高市泣きっ面に蜂!奈良県知事選「維新勝利」の世論調査で、これから起こること》もあわせてお読み下さい。
それでも高市氏は国会で「捏造」だという主張を繰り返した。メディアで批判を受け、古巣の総務省からも「大臣レクがあった可能性が高い」「文書は総務省が作成したもの」と反撃を受けると、
「何月何日何時の大臣レクがあったかどうか、確認のとりようがありません」「この紙に書かれている内容は改めて自信をもって否定させていただきます」
と否定した。テレビ朝日についての発言では、こう煙に巻いた。
「テレビ朝日をディスるはずもございません。恥ずかしながら、羽鳥アナウンサーの大ファンで、朝8時から8時5分までの間は、羽鳥さんの顔をひと目見て出かける」
立憲民主党の議員からは「意味不明な根拠で理由になっていない」と反撃をくらう始末で、ついに
「私の発言が信用できない、答弁が信用できないなら、もう質問はなさらないでください」
とブチ切れたのだ。総務官僚のひとりが呆れ顔で語る。
「もともと総務省は、高市氏のことだけは守りたいと動いていた。高市氏は2度も総務大臣を経験し、通算約4年間その座にいた。安倍政権では森友学園問題で財務省などは追及を受けたが、うちは大きなトラブルはなかった。総務省としては最も大事にしている国会議員の一人なのです。ですからこちらからも『守ります』とシグナルを送ってきたのに、いきなり『文書は捏造』とやった。もう守り切れないので、国会でも迷走する答弁が続いている」
一連の放送法の文書の問題は、2017年5月、礒崎氏らの意を受けた自民党の藤川政人衆議院議員が「放送法の政治的中立について」を質問したことで一定の決着を見た。GettyImages高市氏が「政治的公平の観点から番組編集の考え方について社会的に問われた場合には、放送事業者が政治的公平を確保しているかどうか国民に説明する必要がある」と答弁すると藤川氏が「総務省が放送事業者を指導してほしい」と締めくくったことで、テレビ局への間接的圧力となった。当時の自民党を知る幹部が語る。「安倍氏はTBSやテレビ朝日の報道にはよく文句を言っていました。礒崎氏が安倍氏をうまく乗せて仕掛けたことは、ある意味成功したのです。その後、安倍氏の意に沿わない『報道ステーション』の古舘キャスターなどが交代していますからね。礒崎氏は『俺が(交代を)やったんだ』ととてもご満悦だった。実はその後が、もっととんでもないことになっていた」安倍氏最側近の重大発言当時の総理秘書官は、総務官僚で「飲み会を断らない」ことで有名な山田真紀子氏だった。山田氏は、その後総務省に戻り局長、官房長を歴任したが、菅義偉元首相の長男が勤める放送事業者から接待を受けたことが発覚し、総務省から去っていった。官邸がさらに仕掛けた「乱」の被害者は山田氏だった。総務省の姿勢については、文書にも山田氏の発言として「政府がこんなことしてどうするつもりなのか」「どこのメディアも萎縮するだろう、言論弾圧」とごく当たり前のことを語っている記録が残っている。だが、前出の自民党幹部はこう証言する。「山田氏が総務省に戻ってからのことです。別の幹部ら2~3人とともに官邸に呼ばれました。安倍氏の最側近が『放送法4条を変えたいと思っている』と語気鋭く話し始めた。安倍総理の意向だとも言っていたそうです。総務省は放送法4条を変えるなどあり得ないという方針を堅持していた。山田氏らが抵抗する姿勢を見せると『もうこれから出世はないぞ』『どうなるかわかっているだろうな』などと激怒したそうです。放送法4条の改正を企図する安倍氏は、その先に安保法制や憲法改正が念頭にあり、政権の意向に従わせるテレビ報道をさせたいという考えがあった。 高市さんは、安倍氏の寵愛を受けて総裁選にまで出馬しています。この件でむきになっているのは、放送法4条改正の意向まで知っていたからではないか。それがバレたら大バッシングになるでしょうからね。しかし高市氏があまりに感情的なので、岸田首相もかばいきれなくなっている。高市氏が自ら辞職するのを祈るしかなくなっている」高市氏をさらに窮地に陥らせているのが、奈良県知事選だ。記事の後篇《高市泣きっ面に蜂!奈良県知事選「維新勝利」の世論調査で、これから起こること》では、奈良県知事選の擁立劇の真相を明かす。記事の後篇《高市泣きっ面に蜂!奈良県知事選「維新勝利」の世論調査で、これから起こること》もあわせてお読み下さい。
一連の放送法の文書の問題は、2017年5月、礒崎氏らの意を受けた自民党の藤川政人衆議院議員が「放送法の政治的中立について」を質問したことで一定の決着を見た。
GettyImages
高市氏が「政治的公平の観点から番組編集の考え方について社会的に問われた場合には、放送事業者が政治的公平を確保しているかどうか国民に説明する必要がある」と答弁すると藤川氏が「総務省が放送事業者を指導してほしい」と締めくくったことで、テレビ局への間接的圧力となった。
当時の自民党を知る幹部が語る。
「安倍氏はTBSやテレビ朝日の報道にはよく文句を言っていました。礒崎氏が安倍氏をうまく乗せて仕掛けたことは、ある意味成功したのです。その後、安倍氏の意に沿わない『報道ステーション』の古舘キャスターなどが交代していますからね。礒崎氏は『俺が(交代を)やったんだ』ととてもご満悦だった。実はその後が、もっととんでもないことになっていた」
当時の総理秘書官は、総務官僚で「飲み会を断らない」ことで有名な山田真紀子氏だった。山田氏は、その後総務省に戻り局長、官房長を歴任したが、菅義偉元首相の長男が勤める放送事業者から接待を受けたことが発覚し、総務省から去っていった。
官邸がさらに仕掛けた「乱」の被害者は山田氏だった。総務省の姿勢については、文書にも山田氏の発言として「政府がこんなことしてどうするつもりなのか」「どこのメディアも萎縮するだろう、言論弾圧」とごく当たり前のことを語っている記録が残っている。
だが、前出の自民党幹部はこう証言する。
「山田氏が総務省に戻ってからのことです。別の幹部ら2~3人とともに官邸に呼ばれました。安倍氏の最側近が『放送法4条を変えたいと思っている』と語気鋭く話し始めた。安倍総理の意向だとも言っていたそうです。
総務省は放送法4条を変えるなどあり得ないという方針を堅持していた。山田氏らが抵抗する姿勢を見せると『もうこれから出世はないぞ』『どうなるかわかっているだろうな』などと激怒したそうです。
放送法4条の改正を企図する安倍氏は、その先に安保法制や憲法改正が念頭にあり、政権の意向に従わせるテレビ報道をさせたいという考えがあった。
高市さんは、安倍氏の寵愛を受けて総裁選にまで出馬しています。この件でむきになっているのは、放送法4条改正の意向まで知っていたからではないか。それがバレたら大バッシングになるでしょうからね。しかし高市氏があまりに感情的なので、岸田首相もかばいきれなくなっている。高市氏が自ら辞職するのを祈るしかなくなっている」高市氏をさらに窮地に陥らせているのが、奈良県知事選だ。記事の後篇《高市泣きっ面に蜂!奈良県知事選「維新勝利」の世論調査で、これから起こること》では、奈良県知事選の擁立劇の真相を明かす。記事の後篇《高市泣きっ面に蜂!奈良県知事選「維新勝利」の世論調査で、これから起こること》もあわせてお読み下さい。
高市さんは、安倍氏の寵愛を受けて総裁選にまで出馬しています。この件でむきになっているのは、放送法4条改正の意向まで知っていたからではないか。それがバレたら大バッシングになるでしょうからね。
しかし高市氏があまりに感情的なので、岸田首相もかばいきれなくなっている。高市氏が自ら辞職するのを祈るしかなくなっている」
高市氏をさらに窮地に陥らせているのが、奈良県知事選だ。記事の後篇《高市泣きっ面に蜂!奈良県知事選「維新勝利」の世論調査で、これから起こること》では、奈良県知事選の擁立劇の真相を明かす。
記事の後篇《高市泣きっ面に蜂!奈良県知事選「維新勝利」の世論調査で、これから起こること》もあわせてお読み下さい。

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