「家族5人でレジを取り囲んで、手元を隠す」「操作ミスで店員に逆ギレ」…本当にいる、セルフレジの“ヤバい客”

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スーパーが「セルフレジ」の万引き被害に頭を悩ませている。バーコードの読み取りから会計までを客自身が行うセルフレジは、店員の目が届きにくいのだ。
【写真】この記事の写真を見る(2枚) しかし、セルフレジで増えたのは万引きだけではない。あるスーパーの店員は「セルフレジの導入でおかしな客の迷惑行為も目立つようになりました」と話す。店員が目撃したセルフレジのヤバい客を紹介する。(取材・文=押尾ダン/清談社)写真はイメージ AFLO

◆◆◆家族5人でセルフレジをぐるりと取り囲み… セルフレジには「人手不足解消」「会計時間短縮による回転率アップ」「感染症予防」などのメリットがあるとされる。 たしかにセルフレジを利用すると便利で、あまり並ばずに会計できるし、有人レジに比べて列の進み具合が格段に早い。動作の遅い店員にイライラさせられることもない。 近所のスーパーで毎日買い物をするという浅井恭子さん(仮名、36歳)も、セルフレジの良さについてこう話す。「セルフレジのおかげで買い物時の行列のストレスがかなり軽減されました。夜6~7時の混雑する時間帯に有人レジでお会計をするために行列をつくっている人を見ると、『なんでセルフレジを使わないんだろう?』って不思議に思うくらいです」 その一方、スーパー側が頭を悩ましているように、セルフレジは万引き被害に遭いやすいデメリットもある。じつは浅井さん自身、危うく万引きしそうになったヤバい経験があるという。「その日、考えごとしながら買い物していたんですね。心ここにあらずの状態でセルフレジに行き、無意識に商品をマイバッグに入れて外に出たんですが、家に着く直前にハッと我に返ったんです。『あれ? 私さっきのスーパーでお会計したっけ?』と。 でも、どう考えてもお金を払った覚えがなかったんですよ。あわててスーパーに戻り、何食わぬ顔で商品のバーコードをスキャンして事なきを得ましたけど……。この一件で『だからセルフレジって万引き被害が多いのか』と妙に納得しました」 実際に首都圏近郊のスーパーで働く太田鈴羽さん(仮名、44歳)はセルフレジの万引きを何度も目撃したことがある。「なかでもタチが悪かったのは、中高生ぐらいの子ども3人を含めた家族5人でセルフレジをぐるりと取り囲み、案内係の私に商品のバーコードを読み取っているところを見せないようにしていたお客さんです。もう、見るからに怪しすぎるんですよ。 そこで『おひとりさまずつお会計をお願いします』と注意したんですが、すると『そんなの客の勝手だろ!』と逆ギレ。ヤバそうな雰囲気の人たちだったのでそれ以上は何も言わなかったんですが、あとで聞いたらブラックリストのお客さんでした」大量の硬貨でセルフレジを詰まらせる もっとも、万引きというのは有人レジのスーパーでも起こりうるもの。店側にとってそれ以上に困りものなのは、迷惑行為でセルフレジの回転率を低下させる客だという声もあった。 都内の中堅スーパーでセルフレジの案内係をしている井垣博行さん(仮名、29歳)がうんざりした顔でこう証言する。「夜7時ぐらいの一番混雑する時間に買い物にきて、毎回レジを詰まらせるお客さんがいます。うちのセルフレジは一度に20~30枚の硬貨を入れると詰まるのですが、ある中年男性のお客さんは大量の硬貨で会計をしていつもレジを詰まらせるんです。 しかも、『詰まるので一度に小銭をたくさん入れないでください』と注意しても言うことを聞かず、翌日になるとまた謎の巾着袋に大量の硬貨を入れてやってくる。あるときなんて、硬貨で詰まらせたあげく、セルフレジを蹴っ飛ばして怒り狂っていました」 東京杉並区に住む主婦の内村優子さん(仮名、41歳)は夕飯の買い物をするために毎日のように近所のスーパーに行くが、その店のセルフレジにはこんなヤバい女性客がいるという。「セルフレジは電子マネー、クレジットカード、QRコードといろんな決済方法を使えますが、その中年女性がレジにかざすとカードも電子マネーも全部エラーになるんです。おそらく使用できないカードしか持っていないんじゃないかと思います。 それなのに、ひとつエラーになるたびにガサゴソとバッグを漁って別のカードを探し、またエラーになるということを毎日繰り返している。そして15分ぐらいセルフレジを占領したあげく、最後は仕方なく現金でお会計するのが毎回のパターン。これを夕方の混雑時に毎日やるんですよ。本当に意味がわからない」「俺のせいじゃない。機械が悪い」とキレる高齢者 こうしたセルフレジの迷惑客のなかでも、店員たちがもっとも困っているのはクレーマーに近い高齢者たちだという。 東京北部のスーパーで働く太田涼さん(仮名、33歳)は「店員に当たり散らすお年寄りに困ってます」と話す。「うちの店のセルフレジは現金でお会計ができないんですよ。ところが、あるとき70代半ばのおじいちゃんが現金不可とわかったとたんに激高し始めて……。『並んで順番を待ったのに、現金が使えないってどういうことだ!』とすごい剣幕なんです。 そこで仕方なく謝り、『申しわけございません。あちらのレジをお使いください』と有人レジを案内したんですが、おじいちゃんは『ふざけるな! もう一度並べというのか!』と怒りが収まらない。たぶん10分以上は怒り続けていたと思います」 さらに、「自分の操作ミスをセルフレジのせいにして怒るヤバいおじいちゃんもいます」と言うのは神奈川県のスーパーでレジを担当している江藤麻理恵さん(仮名、35歳)だ。「呼び出しのライトが点灯したのでそのおじいちゃんのところに行くと、エラーが出ていたんです。それで『どうしましたか?』と声をかけたんですが、おじいちゃんは理由を説明せず、怒り狂って『俺のせいじゃない。機械が悪い!』の一点張り。 どうやら支払い方法の選択を間違えていたようなので、そう伝えたんですね。でも、おじいちゃんは『俺はちゃんと操作していた!』『こんな機械を入れた店の責任だ』と言い張るばかりで話が噛み合わない。結局、5分以上も怒鳴られ続けました」 セルフレジはスーパーの人手不足の解消につながり、利用している側から見てもデメリットは感じられないのだが、もしかすると店側にとっていいことばかりでもないのかもしれない。(清談社)
しかし、セルフレジで増えたのは万引きだけではない。あるスーパーの店員は「セルフレジの導入でおかしな客の迷惑行為も目立つようになりました」と話す。店員が目撃したセルフレジのヤバい客を紹介する。(取材・文=押尾ダン/清談社)
写真はイメージ AFLO

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セルフレジには「人手不足解消」「会計時間短縮による回転率アップ」「感染症予防」などのメリットがあるとされる。
たしかにセルフレジを利用すると便利で、あまり並ばずに会計できるし、有人レジに比べて列の進み具合が格段に早い。動作の遅い店員にイライラさせられることもない。
近所のスーパーで毎日買い物をするという浅井恭子さん(仮名、36歳)も、セルフレジの良さについてこう話す。
「セルフレジのおかげで買い物時の行列のストレスがかなり軽減されました。夜6~7時の混雑する時間帯に有人レジでお会計をするために行列をつくっている人を見ると、『なんでセルフレジを使わないんだろう?』って不思議に思うくらいです」
その一方、スーパー側が頭を悩ましているように、セルフレジは万引き被害に遭いやすいデメリットもある。じつは浅井さん自身、危うく万引きしそうになったヤバい経験があるという。
「その日、考えごとしながら買い物していたんですね。心ここにあらずの状態でセルフレジに行き、無意識に商品をマイバッグに入れて外に出たんですが、家に着く直前にハッと我に返ったんです。『あれ? 私さっきのスーパーでお会計したっけ?』と。
でも、どう考えてもお金を払った覚えがなかったんですよ。あわててスーパーに戻り、何食わぬ顔で商品のバーコードをスキャンして事なきを得ましたけど……。この一件で『だからセルフレジって万引き被害が多いのか』と妙に納得しました」
実際に首都圏近郊のスーパーで働く太田鈴羽さん(仮名、44歳)はセルフレジの万引きを何度も目撃したことがある。
「なかでもタチが悪かったのは、中高生ぐらいの子ども3人を含めた家族5人でセルフレジをぐるりと取り囲み、案内係の私に商品のバーコードを読み取っているところを見せないようにしていたお客さんです。もう、見るからに怪しすぎるんですよ。
そこで『おひとりさまずつお会計をお願いします』と注意したんですが、すると『そんなの客の勝手だろ!』と逆ギレ。ヤバそうな雰囲気の人たちだったのでそれ以上は何も言わなかったんですが、あとで聞いたらブラックリストのお客さんでした」
もっとも、万引きというのは有人レジのスーパーでも起こりうるもの。店側にとってそれ以上に困りものなのは、迷惑行為でセルフレジの回転率を低下させる客だという声もあった。
都内の中堅スーパーでセルフレジの案内係をしている井垣博行さん(仮名、29歳)がうんざりした顔でこう証言する。
「夜7時ぐらいの一番混雑する時間に買い物にきて、毎回レジを詰まらせるお客さんがいます。うちのセルフレジは一度に20~30枚の硬貨を入れると詰まるのですが、ある中年男性のお客さんは大量の硬貨で会計をしていつもレジを詰まらせるんです。
しかも、『詰まるので一度に小銭をたくさん入れないでください』と注意しても言うことを聞かず、翌日になるとまた謎の巾着袋に大量の硬貨を入れてやってくる。あるときなんて、硬貨で詰まらせたあげく、セルフレジを蹴っ飛ばして怒り狂っていました」
東京杉並区に住む主婦の内村優子さん(仮名、41歳)は夕飯の買い物をするために毎日のように近所のスーパーに行くが、その店のセルフレジにはこんなヤバい女性客がいるという。「セルフレジは電子マネー、クレジットカード、QRコードといろんな決済方法を使えますが、その中年女性がレジにかざすとカードも電子マネーも全部エラーになるんです。おそらく使用できないカードしか持っていないんじゃないかと思います。 それなのに、ひとつエラーになるたびにガサゴソとバッグを漁って別のカードを探し、またエラーになるということを毎日繰り返している。そして15分ぐらいセルフレジを占領したあげく、最後は仕方なく現金でお会計するのが毎回のパターン。これを夕方の混雑時に毎日やるんですよ。本当に意味がわからない」「俺のせいじゃない。機械が悪い」とキレる高齢者 こうしたセルフレジの迷惑客のなかでも、店員たちがもっとも困っているのはクレーマーに近い高齢者たちだという。 東京北部のスーパーで働く太田涼さん(仮名、33歳)は「店員に当たり散らすお年寄りに困ってます」と話す。「うちの店のセルフレジは現金でお会計ができないんですよ。ところが、あるとき70代半ばのおじいちゃんが現金不可とわかったとたんに激高し始めて……。『並んで順番を待ったのに、現金が使えないってどういうことだ!』とすごい剣幕なんです。 そこで仕方なく謝り、『申しわけございません。あちらのレジをお使いください』と有人レジを案内したんですが、おじいちゃんは『ふざけるな! もう一度並べというのか!』と怒りが収まらない。たぶん10分以上は怒り続けていたと思います」 さらに、「自分の操作ミスをセルフレジのせいにして怒るヤバいおじいちゃんもいます」と言うのは神奈川県のスーパーでレジを担当している江藤麻理恵さん(仮名、35歳)だ。「呼び出しのライトが点灯したのでそのおじいちゃんのところに行くと、エラーが出ていたんです。それで『どうしましたか?』と声をかけたんですが、おじいちゃんは理由を説明せず、怒り狂って『俺のせいじゃない。機械が悪い!』の一点張り。 どうやら支払い方法の選択を間違えていたようなので、そう伝えたんですね。でも、おじいちゃんは『俺はちゃんと操作していた!』『こんな機械を入れた店の責任だ』と言い張るばかりで話が噛み合わない。結局、5分以上も怒鳴られ続けました」 セルフレジはスーパーの人手不足の解消につながり、利用している側から見てもデメリットは感じられないのだが、もしかすると店側にとっていいことばかりでもないのかもしれない。(清談社)
東京杉並区に住む主婦の内村優子さん(仮名、41歳)は夕飯の買い物をするために毎日のように近所のスーパーに行くが、その店のセルフレジにはこんなヤバい女性客がいるという。
「セルフレジは電子マネー、クレジットカード、QRコードといろんな決済方法を使えますが、その中年女性がレジにかざすとカードも電子マネーも全部エラーになるんです。おそらく使用できないカードしか持っていないんじゃないかと思います。
それなのに、ひとつエラーになるたびにガサゴソとバッグを漁って別のカードを探し、またエラーになるということを毎日繰り返している。そして15分ぐらいセルフレジを占領したあげく、最後は仕方なく現金でお会計するのが毎回のパターン。これを夕方の混雑時に毎日やるんですよ。本当に意味がわからない」
こうしたセルフレジの迷惑客のなかでも、店員たちがもっとも困っているのはクレーマーに近い高齢者たちだという。
東京北部のスーパーで働く太田涼さん(仮名、33歳)は「店員に当たり散らすお年寄りに困ってます」と話す。
「うちの店のセルフレジは現金でお会計ができないんですよ。ところが、あるとき70代半ばのおじいちゃんが現金不可とわかったとたんに激高し始めて……。『並んで順番を待ったのに、現金が使えないってどういうことだ!』とすごい剣幕なんです。
そこで仕方なく謝り、『申しわけございません。あちらのレジをお使いください』と有人レジを案内したんですが、おじいちゃんは『ふざけるな! もう一度並べというのか!』と怒りが収まらない。たぶん10分以上は怒り続けていたと思います」
さらに、「自分の操作ミスをセルフレジのせいにして怒るヤバいおじいちゃんもいます」と言うのは神奈川県のスーパーでレジを担当している江藤麻理恵さん(仮名、35歳)だ。
「呼び出しのライトが点灯したのでそのおじいちゃんのところに行くと、エラーが出ていたんです。それで『どうしましたか?』と声をかけたんですが、おじいちゃんは理由を説明せず、怒り狂って『俺のせいじゃない。機械が悪い!』の一点張り。
どうやら支払い方法の選択を間違えていたようなので、そう伝えたんですね。でも、おじいちゃんは『俺はちゃんと操作していた!』『こんな機械を入れた店の責任だ』と言い張るばかりで話が噛み合わない。結局、5分以上も怒鳴られ続けました」
セルフレジはスーパーの人手不足の解消につながり、利用している側から見てもデメリットは感じられないのだが、もしかすると店側にとっていいことばかりでもないのかもしれない。
(清談社)

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