「心を鬼にして…」JA共済不適切契約の実態“解約新規”とは農水大臣「悪しき慣習だった」【news23】

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今年1月、農協の金融商品「共済」をめぐる過大なノルマと自爆契約の問題を放送しましたが、その後の取材で、ノルマ達成のために不適切な“解約新規”という契約が行なわれていることが明らかになりました。【写真を見る】「心を鬼にして…」JA共済不適切契約の実態“解約新規”とは農水大臣「悪しき慣習だった」【news23】そして野村農水大臣は14日、この“解約新規”について「悪しき慣例だった」と認めました。農協職員Aさん(会議の録音)「ずっと言われていたのですが、コンプラ違反みたいな推進(営業)はしたくなかったですし」

これは、ある農協の支店で会議のやりとりを録音した音声だ。農協職員Aさん(会議の録音)「『解約新規をまずしてこい』と」Aさんの上司(会議の録音)「コンプラ違反なんてみんな思っている。しょうがないよ。心を鬼にしてみんなやっているんだ」販売ノルマを達成するための販売手法 “解約新規”とは農協が販売する金融商品JA共済。その販売手法に、新たな問題が浮上した。news23では今年1月、農協の職員が共済の販売ノルマを達成するために自腹で契約を行う、いわゆる“自爆契約”の問題を報じた。農協は、本業である農業関連の経済事業が赤字で、JAバンク(信用事業)とJA共済(共済事業)が収益を支えている。しかしJAバンクも近年の低金利で成長が見込めず、“共済”を販売する職員の多くには、厳しいノルマが課せられているという。放送の直後、農協関係者からは、多くの反響が寄せられた。情報提供窓口「TBSインサイダーズ」への投稿内容「過度なノルマの強要」「職員がどんどん辞めていく」そしてその中には、“自爆”とは別の問題を指摘する情報も…「解約新規の契約を暗黙の了解のもと行っていました」「自爆営業よりも解約新規がメイン」この“解約新規”とは、一体なんなのか…東日本の農協に勤めるAさん。長年、共済の営業を担当し、販売ノルマに苦しめられてきた。農協職員のAさん「(ノルマ達成は)本当に不可能だと思いました。まともにやっては…。自分の担当地区を車で走った時に、ここの家は行った、ここは行った、あとはどこへ行けばいいんだろうって」こうした中、Aさんが勤める農協ではノルマを達成するために、顧客に不利益になる可能性のある“解約新規”と呼ばれる販売手法が行なわれていたという。農協職員のAさん「解約新規は(職員の中で)合言葉になっていました。当たり前のように会話の中に入っていました。『解約新規で(ノルマの)3000ポイント取ってきたぞ』ぐらいに…。(解約新規は)ポイント稼ぎのためだけの手段です」“解約新規”は、これまでの契約が満期を迎える前に「解約」し、ほぼ同じ内容の共済を、もう一度新規に契約すること。顧客にとって、こうした“解約新規”は必要性に乏しいばかりか、共済は一般的に満期前に解約すると戻ってくるお金が減額されるため、不利益になる可能性がある。しかし、Aさんによると同僚たちはそうした説明を十分せずに、“解約新規”を顧客に勧めていたと言う。農協職員のAさん「『満期を迎えさせない』という。 私はそれを聞いた時にぞっとしたというか、本当に最低だなと思いました」「心を鬼にしてみんなやっているんだ」 JA共済不適切契約の実態Aさんはこうした不適切な“解約新規”について数年前、支店の会議で問題提起した。これはその時に、上司とやりとりした音声記録だ。農協職員Aさん(会議の録音)「『建物共済の解約新規をまずしてこい』とずっと言われていたのですが、コンプラ違反みたいな推進(営業)はしたくなかったですし、すごく辛くて…大変…『綺麗な言葉で言って』って、支店長から何回も言われましたが…」Aさんの上司(会議の録音)「コンプラ違反なんてみんな思っている。しょうがないよ。心を鬼してみんなやっているんだ」上司自ら、コンプライアンス違反を認めている。しかも、「心を鬼にしてみんなやっている」とまで言っている。農協職員Aさん「上司の指示で最終的にお客さんが不利益を被っているので、本当にそんな状況でいいのか…。JAはもっときちんと今後のことを見直していかなければ、絶対にいけないと思います」かつて農協の職員だった野村哲郎農水大臣は、14日の会見で、農協の共済事業で不適切な解約新規の契約が行われてきたことを認めた。野村哲郎農水大臣「私もJA出身ですからよくわかっていますが、こういうことはやっぱりやっちゃいけないんですよ。だけれども、しょうがないということで、今まで目をつぶってきたところがある。これは悪しき慣例だったと思っている。これからはないようにしていかなければいかん」
今年1月、農協の金融商品「共済」をめぐる過大なノルマと自爆契約の問題を放送しましたが、その後の取材で、ノルマ達成のために不適切な“解約新規”という契約が行なわれていることが明らかになりました。
【写真を見る】「心を鬼にして…」JA共済不適切契約の実態“解約新規”とは農水大臣「悪しき慣習だった」【news23】そして野村農水大臣は14日、この“解約新規”について「悪しき慣例だった」と認めました。農協職員Aさん(会議の録音)「ずっと言われていたのですが、コンプラ違反みたいな推進(営業)はしたくなかったですし」

これは、ある農協の支店で会議のやりとりを録音した音声だ。農協職員Aさん(会議の録音)「『解約新規をまずしてこい』と」Aさんの上司(会議の録音)「コンプラ違反なんてみんな思っている。しょうがないよ。心を鬼にしてみんなやっているんだ」販売ノルマを達成するための販売手法 “解約新規”とは農協が販売する金融商品JA共済。その販売手法に、新たな問題が浮上した。news23では今年1月、農協の職員が共済の販売ノルマを達成するために自腹で契約を行う、いわゆる“自爆契約”の問題を報じた。農協は、本業である農業関連の経済事業が赤字で、JAバンク(信用事業)とJA共済(共済事業)が収益を支えている。しかしJAバンクも近年の低金利で成長が見込めず、“共済”を販売する職員の多くには、厳しいノルマが課せられているという。放送の直後、農協関係者からは、多くの反響が寄せられた。情報提供窓口「TBSインサイダーズ」への投稿内容「過度なノルマの強要」「職員がどんどん辞めていく」そしてその中には、“自爆”とは別の問題を指摘する情報も…「解約新規の契約を暗黙の了解のもと行っていました」「自爆営業よりも解約新規がメイン」この“解約新規”とは、一体なんなのか…東日本の農協に勤めるAさん。長年、共済の営業を担当し、販売ノルマに苦しめられてきた。農協職員のAさん「(ノルマ達成は)本当に不可能だと思いました。まともにやっては…。自分の担当地区を車で走った時に、ここの家は行った、ここは行った、あとはどこへ行けばいいんだろうって」こうした中、Aさんが勤める農協ではノルマを達成するために、顧客に不利益になる可能性のある“解約新規”と呼ばれる販売手法が行なわれていたという。農協職員のAさん「解約新規は(職員の中で)合言葉になっていました。当たり前のように会話の中に入っていました。『解約新規で(ノルマの)3000ポイント取ってきたぞ』ぐらいに…。(解約新規は)ポイント稼ぎのためだけの手段です」“解約新規”は、これまでの契約が満期を迎える前に「解約」し、ほぼ同じ内容の共済を、もう一度新規に契約すること。顧客にとって、こうした“解約新規”は必要性に乏しいばかりか、共済は一般的に満期前に解約すると戻ってくるお金が減額されるため、不利益になる可能性がある。しかし、Aさんによると同僚たちはそうした説明を十分せずに、“解約新規”を顧客に勧めていたと言う。農協職員のAさん「『満期を迎えさせない』という。 私はそれを聞いた時にぞっとしたというか、本当に最低だなと思いました」「心を鬼にしてみんなやっているんだ」 JA共済不適切契約の実態Aさんはこうした不適切な“解約新規”について数年前、支店の会議で問題提起した。これはその時に、上司とやりとりした音声記録だ。農協職員Aさん(会議の録音)「『建物共済の解約新規をまずしてこい』とずっと言われていたのですが、コンプラ違反みたいな推進(営業)はしたくなかったですし、すごく辛くて…大変…『綺麗な言葉で言って』って、支店長から何回も言われましたが…」Aさんの上司(会議の録音)「コンプラ違反なんてみんな思っている。しょうがないよ。心を鬼してみんなやっているんだ」上司自ら、コンプライアンス違反を認めている。しかも、「心を鬼にしてみんなやっている」とまで言っている。農協職員Aさん「上司の指示で最終的にお客さんが不利益を被っているので、本当にそんな状況でいいのか…。JAはもっときちんと今後のことを見直していかなければ、絶対にいけないと思います」かつて農協の職員だった野村哲郎農水大臣は、14日の会見で、農協の共済事業で不適切な解約新規の契約が行われてきたことを認めた。野村哲郎農水大臣「私もJA出身ですからよくわかっていますが、こういうことはやっぱりやっちゃいけないんですよ。だけれども、しょうがないということで、今まで目をつぶってきたところがある。これは悪しき慣例だったと思っている。これからはないようにしていかなければいかん」
そして野村農水大臣は14日、この“解約新規”について「悪しき慣例だった」と認めました。
農協職員Aさん(会議の録音)「ずっと言われていたのですが、コンプラ違反みたいな推進(営業)はしたくなかったですし」
これは、ある農協の支店で会議のやりとりを録音した音声だ。
農協職員Aさん(会議の録音)「『解約新規をまずしてこい』と」
Aさんの上司(会議の録音)「コンプラ違反なんてみんな思っている。しょうがないよ。心を鬼にしてみんなやっているんだ」
農協が販売する金融商品JA共済。その販売手法に、新たな問題が浮上した。
news23では今年1月、農協の職員が共済の販売ノルマを達成するために自腹で契約を行う、いわゆる“自爆契約”の問題を報じた。
農協は、本業である農業関連の経済事業が赤字で、JAバンク(信用事業)とJA共済(共済事業)が収益を支えている。しかしJAバンクも近年の低金利で成長が見込めず、“共済”を販売する職員の多くには、厳しいノルマが課せられているという。
放送の直後、農協関係者からは、多くの反響が寄せられた。
情報提供窓口「TBSインサイダーズ」への投稿内容「過度なノルマの強要」「職員がどんどん辞めていく」
そしてその中には、“自爆”とは別の問題を指摘する情報も…「解約新規の契約を暗黙の了解のもと行っていました」「自爆営業よりも解約新規がメイン」
この“解約新規”とは、一体なんなのか…
東日本の農協に勤めるAさん。長年、共済の営業を担当し、販売ノルマに苦しめられてきた。
農協職員のAさん「(ノルマ達成は)本当に不可能だと思いました。まともにやっては…。自分の担当地区を車で走った時に、ここの家は行った、ここは行った、あとはどこへ行けばいいんだろうって」
こうした中、Aさんが勤める農協ではノルマを達成するために、顧客に不利益になる可能性のある“解約新規”と呼ばれる販売手法が行なわれていたという。
農協職員のAさん「解約新規は(職員の中で)合言葉になっていました。当たり前のように会話の中に入っていました。『解約新規で(ノルマの)3000ポイント取ってきたぞ』ぐらいに…。(解約新規は)ポイント稼ぎのためだけの手段です」
“解約新規”は、これまでの契約が満期を迎える前に「解約」し、ほぼ同じ内容の共済を、もう一度新規に契約すること。
顧客にとって、こうした“解約新規”は必要性に乏しいばかりか、共済は一般的に満期前に解約すると戻ってくるお金が減額されるため、不利益になる可能性がある。
しかし、Aさんによると同僚たちはそうした説明を十分せずに、“解約新規”を顧客に勧めていたと言う。
農協職員のAさん「『満期を迎えさせない』という。 私はそれを聞いた時にぞっとしたというか、本当に最低だなと思いました」
Aさんはこうした不適切な“解約新規”について数年前、支店の会議で問題提起した。これはその時に、上司とやりとりした音声記録だ。
農協職員Aさん(会議の録音)「『建物共済の解約新規をまずしてこい』とずっと言われていたのですが、コンプラ違反みたいな推進(営業)はしたくなかったですし、すごく辛くて…大変…『綺麗な言葉で言って』って、支店長から何回も言われましたが…」
Aさんの上司(会議の録音)「コンプラ違反なんてみんな思っている。しょうがないよ。心を鬼してみんなやっているんだ」
上司自ら、コンプライアンス違反を認めている。しかも、「心を鬼にしてみんなやっている」とまで言っている。
農協職員Aさん「上司の指示で最終的にお客さんが不利益を被っているので、本当にそんな状況でいいのか…。JAはもっときちんと今後のことを見直していかなければ、絶対にいけないと思います」
かつて農協の職員だった野村哲郎農水大臣は、14日の会見で、農協の共済事業で不適切な解約新規の契約が行われてきたことを認めた。

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