「渋谷で夜、遊んでる人たちなんて最初からマスクなんてしていませんよ!コロナ、もう、それ何?って感じです」
そう話して笑うのは渋谷・円山町にあるナイトクラブに訪れていた20代の男性。一緒に路上に座り、酒を飲んでいた他の3人の男性もみなノーマスク。午前2時過ぎ、周囲を見渡してみるとマスクをしている人の方が少ない。
ナイトクラブを訪れる若者たちで賑わう円山町
「女の子はメークのこともあって、マスクしている子もいますが、男はみんなもうマスクなんてしてませんよ」(前出同)
3月13日からマスク着用が緩和される。つける・つけないについては個人の判断に委ねられることになった。コロナ禍を象徴したアイテム。その着脱をめぐってこれまで数々のトラブルが発生していた。「ノーマスク」であることは「悪」とされ、「マスク警察」なるものも各地で現れていた。だが、そんな社会とは違う「価値観」を見せてきたのが渋谷だ。冒頭の若者達に限らず、記者が話を聞いた多くが「渋谷で夜遊んでいるやつはもうずっと誰もマスクなんてつけてない」と笑っていた。マスク解禁前の最後の週末の眠らない街・渋谷を緊急リポート――!いち早くマスクを解禁する若者たちノーマスクの若者達が狂乱する街・渋谷。新型コロナウイルスの「世界的大流行宣言」を表明してから丸3年が経過したこの日、若者達はいち早くマスクを解禁をしていた。3月11日、午後23時30分ごろのJR渋谷駅ハチ公前。スクランブル交差点には帰宅を急ぐ多くの人でごった返していた。この時間帯は、まだ渋谷にいる人たちは多種多様なため、マスクを着用している人も多い。だが、ちらほらとノーマスクの人々も目立ってきた。午前0時、日付変更とともに街は新しい顔を見せはじめた。終電で帰宅をしようと駅に向かう人と逆行するように、センター街や道玄坂方面に向かう若者たちが増え始めたのだ。終電直前のJR渋谷駅。構内に走る人が目立った特にハチ公前には、待ち合わせや雑談を楽しむ10代後半~20代と見られる若者達が多く見られた。「クラブに行くために終電できました~」ハチ公前の手すりに腰掛けていた2人組の20代の女性。2人ともノーマスクで、コロナ禍ではしばらく見ることがなかった真っ赤な口紅が印象的だった。終電が終わった直後に居酒屋から出てきた20代の3人組の男女。会社の同僚という間柄で、この日は上野・アメ横をハシゴした後に渋谷にたどり着いたという。男性の1人はマスクをしていたが、後の男女はノーマスク。「渋谷では周りの人もマスクはしていません。流石に移動する時はしますが、もうマスクしても意味ないかな~」そう言って3人は雑踏に消えていった。終電間際、センター街や道玄坂方面に向かっていく人も多い休憩中の警備員の男性も渋谷の変化を目撃していた。「今日は午後9時ごろから仕事をしていましたが、すごい人ですね。マスクをとっている人がたくさんいて、今日は違うねって話題になっていました。ただ、マスクを外しているのは若い人が多くて、年齢が上の人達はマスクをしている印象かな」(警備員の42歳男性)ナンパ目当ての若者たちも急増中!終電が渋谷駅を発車した午前1時過ぎ。クラブやバーの前ではアルコールを片手に盛り上がる人々のグループがあちらこちらで見られた。屋外に設置された看板の上に酒を置き、大騒ぎする一群が。ステップをふみながら踊ったり、その足元では泥酔している友達が眠っており、歩道は空き缶やタバコの吸い殻が散乱していた。センター街の路上で酒盛りをする人々の姿が目立った「マスクをしない人が増えるのは終電後ですね。その時間くらいから、最近では酒で潰れる人も戻ってきましたね」そう話すのは休憩中だった居酒屋の男性店員(20歳)。「最近、店の紹介で、お客さんに声をかけていて思うのは、ナンパが増えたことですね。男も女もあったかくなってムラムラしてくるのか、ナンパ目当ての人が増えた印象です。センター街とかでナンパ待ちをしている女の子も増えましたよ。マッチングアプリとかで探すんじゃなくて。終電で渋谷に来て、その辺に立っていれば声かけられますから。それで飲んで遊んでホテル行って、その日でバイバイもある。僕らも仕事終わりにそういう子をナンパしたりしますよ(笑)」渋谷にあの熱気が戻ってほしい!深夜の渋谷を訪れていたのはなにも遊びにきた人々だけではない。MVの撮影をしていた若手ヒップホップアーティストのホットスパーさん、ビニーさんだ。左からビニーさん、戸塚さん、ホットスパーさんこの日はビデオグラファーの戸塚凌侑さんとともに渋谷の街を舞台に、ビニーさんの最新MVの撮影をしていた。「渋谷で撮影していて思ったのは街が活気を取り戻している感じがしましたね。マスクを外している人も多くて、コロナ前の2019年に戻った感じがして嬉しいですね。あの時のようにまた渋谷の熱気が戻って欲しいです」(ホットスパーさん)一方で、撮影の補助を勤めていた広報の男性(20代)は、複雑な胸の内を吐露する。「僕はちょっと不安もありますね。マスクについてはまだもう少しそのままでいて欲しいかな、と。電車や人の多いところだと少し怖いな、と思うので」渋谷のカルチャーや街の持つパワーを自分たちの作品と上手く融合させようとしているクリエイティブな若者達の、前向きな姿もそこにはあった。渋谷街に集う若者たちにとって「マスク」も「コロナ」ももはや過去の出来事なのか。夜が更けるほどに、コロナ前と変わらぬ狂乱ぶりが広がっていった。写真は一部加工。撮影:小久保松直 後半記事『「センター街は『トー横』みたいに暗くない!」渋谷に集うノーマスクの若者達の陽気な叫び』で続けて紹介する。
3月13日からマスク着用が緩和される。つける・つけないについては個人の判断に委ねられることになった。コロナ禍を象徴したアイテム。その着脱をめぐってこれまで数々のトラブルが発生していた。「ノーマスク」であることは「悪」とされ、「マスク警察」なるものも各地で現れていた。
だが、そんな社会とは違う「価値観」を見せてきたのが渋谷だ。冒頭の若者達に限らず、記者が話を聞いた多くが「渋谷で夜遊んでいるやつはもうずっと誰もマスクなんてつけてない」と笑っていた。
マスク解禁前の最後の週末の眠らない街・渋谷を緊急リポート――!
ノーマスクの若者達が狂乱する街・渋谷。新型コロナウイルスの「世界的大流行宣言」を表明してから丸3年が経過したこの日、若者達はいち早くマスクを解禁をしていた。
3月11日、午後23時30分ごろのJR渋谷駅ハチ公前。スクランブル交差点には帰宅を急ぐ多くの人でごった返していた。この時間帯は、まだ渋谷にいる人たちは多種多様なため、マスクを着用している人も多い。だが、ちらほらとノーマスクの人々も目立ってきた。
午前0時、日付変更とともに街は新しい顔を見せはじめた。終電で帰宅をしようと駅に向かう人と逆行するように、センター街や道玄坂方面に向かう若者たちが増え始めたのだ。
終電直前のJR渋谷駅。構内に走る人が目立った
特にハチ公前には、待ち合わせや雑談を楽しむ10代後半~20代と見られる若者達が多く見られた。
「クラブに行くために終電できました~」
ハチ公前の手すりに腰掛けていた2人組の20代の女性。2人ともノーマスクで、コロナ禍ではしばらく見ることがなかった真っ赤な口紅が印象的だった。
終電が終わった直後に居酒屋から出てきた20代の3人組の男女。会社の同僚という間柄で、この日は上野・アメ横をハシゴした後に渋谷にたどり着いたという。
男性の1人はマスクをしていたが、後の男女はノーマスク。
「渋谷では周りの人もマスクはしていません。流石に移動する時はしますが、もうマスクしても意味ないかな~」
そう言って3人は雑踏に消えていった。
終電間際、センター街や道玄坂方面に向かっていく人も多い
休憩中の警備員の男性も渋谷の変化を目撃していた。
「今日は午後9時ごろから仕事をしていましたが、すごい人ですね。マスクをとっている人がたくさんいて、今日は違うねって話題になっていました。ただ、マスクを外しているのは若い人が多くて、年齢が上の人達はマスクをしている印象かな」(警備員の42歳男性)
終電が渋谷駅を発車した午前1時過ぎ。クラブやバーの前ではアルコールを片手に盛り上がる人々のグループがあちらこちらで見られた。
屋外に設置された看板の上に酒を置き、大騒ぎする一群が。ステップをふみながら踊ったり、その足元では泥酔している友達が眠っており、歩道は空き缶やタバコの吸い殻が散乱していた。
センター街の路上で酒盛りをする人々の姿が目立った
「マスクをしない人が増えるのは終電後ですね。その時間くらいから、最近では酒で潰れる人も戻ってきましたね」
そう話すのは休憩中だった居酒屋の男性店員(20歳)。
「最近、店の紹介で、お客さんに声をかけていて思うのは、ナンパが増えたことですね。男も女もあったかくなってムラムラしてくるのか、ナンパ目当ての人が増えた印象です。センター街とかでナンパ待ちをしている女の子も増えましたよ。マッチングアプリとかで探すんじゃなくて。終電で渋谷に来て、その辺に立っていれば声かけられますから。それで飲んで遊んでホテル行って、その日でバイバイもある。僕らも仕事終わりにそういう子をナンパしたりしますよ(笑)」
深夜の渋谷を訪れていたのはなにも遊びにきた人々だけではない。
MVの撮影をしていた若手ヒップホップアーティストのホットスパーさん、ビニーさんだ。
左からビニーさん、戸塚さん、ホットスパーさん
この日はビデオグラファーの戸塚凌侑さんとともに渋谷の街を舞台に、ビニーさんの最新MVの撮影をしていた。
「渋谷で撮影していて思ったのは街が活気を取り戻している感じがしましたね。マスクを外している人も多くて、コロナ前の2019年に戻った感じがして嬉しいですね。あの時のようにまた渋谷の熱気が戻って欲しいです」(ホットスパーさん)
一方で、撮影の補助を勤めていた広報の男性(20代)は、複雑な胸の内を吐露する。
「僕はちょっと不安もありますね。マスクについてはまだもう少しそのままでいて欲しいかな、と。電車や人の多いところだと少し怖いな、と思うので」
渋谷のカルチャーや街の持つパワーを自分たちの作品と上手く融合させようとしているクリエイティブな若者達の、前向きな姿もそこにはあった。
渋谷街に集う若者たちにとって「マスク」も「コロナ」ももはや過去の出来事なのか。夜が更けるほどに、コロナ前と変わらぬ狂乱ぶりが広がっていった。
写真は一部加工。撮影:小久保松直
後半記事『「センター街は『トー横』みたいに暗くない!」渋谷に集うノーマスクの若者達の陽気な叫び』で続けて紹介する。
後半記事『「センター街は『トー横』みたいに暗くない!」渋谷に集うノーマスクの若者達の陽気な叫び』で続けて紹介する。