「保育園落ちた日本死ね」から7年…「学童落ちた」SNSに投稿相次ぐ “留守番の練習”を提案する自治体も【news23】

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2016年、「保育園落ちた、日本死ね」と題した匿名ブログに端を発し、待機児童の問題が注目されました。そして今、小学生の子を持つ親から、「学童落ちた」「仕事辞めなければ」「ある意味異次元」といった悲鳴のような訴えがSNSに投稿され波紋を広げています。保護者に「留守番の練習」を求める文書を送った自治体も…。【写真を見る】「保育園落ちた日本死ね」から7年…「学童落ちた」SNSに投稿相次ぐ “留守番の練習”を提案する自治体も【news23】「頭が真っ白…」 共働きなのに“学童落ちた”都内に住む伴さん一家。2023年2月に届いた一通の通知書により、4月からの暮らしが見通せない事態になりました。

伴さん(30代)「(通知書を見せながら)これですね。空きが無いので“待機とします”と」長男のりんたろう君が通う予定だった学童に落ちたのです。放課後児童クラブ、いわゆる学童保育は、共働き家庭などの小学生を放課後に預かる施設で、保護者の勤務状況などをもとに自治体が受け入れる児童を決めます。4月から2年生になるりんたろう君は、その学童に入れないため、放課後から両親が帰宅するまで一人で過ごさなくてはならないのです。伴さん「頭真っ白でした。え!?え!?って二度見した」ーー春からどうなる?伴さん「…どうしようね」りんたろう君「どうにもできない」「会社辞めるわけにはいかない?」伴さん「会社は辞められないね」りんたろう君のように空きを待つ児童は、2022年より約1割増えて1万5000人に上っています。ーー春から学童に行けないと聞いてどんなことを思った?りんたろう君「学校でもすごく仲良しの子が学童に受かったから、その子と離れるのが…」伴さん「一刻も早く何とかしてほしい。『これからします』ではなく実際(学童に)落ちているので、いま助けてほしい」“留守番の練習を”自治体からの提案に…待機学童が増える中、自治体が保護者に送った文書が波紋を広げています。「現状では2年生から待機児童の発生が見込まれます」「留守番の練習や祖父母等の協力等の代替手段について検討していただき、新年度における準備を進めていただければと思います」1月にこの文書を送った静岡県島田市。「留守番の練習」の提案に市民は…母親「1、2年生で(子どもを一人で)置いておくのは厳しいなと。留守番の練習というのも難しいなと思いますね」母親「仕事を優先したら子どもは産めないだろうし。子育てしづらい現状があるのかなと思う」3月7日の市議会では…市の担当者「増加した新1年生を優先して受け入れることになるので、結果的に2年生や3年生に進級する児童は優先順位が下がってしまう」3月7日、島田市内の学童保育では、授業を終えた子どもたちが、本を読んだり将棋を指したりして保護者の迎えを待ちます。母親「仕事終えて子どもを迎えに来られるのが午後5時半くらいなので、見ててもらえると安心」母親「たまに仕事が休みで『家にいるから帰っておいで』と言っても『学童に行きたい』と子どもが言うくらい楽しい場所」ーーどこが楽しい?児童「大親友がいるんだけど、大親友と遊べるところが」静岡県島田市では、子ども4人に1人が学童の申し込みをしていて、2022年12月の時点で143人が待機見込みの状態でした。市は、「少しでも早く対策をとって欲しい」との思いから、留守番の練習などを提案したといいます。島田市役所子育て応援課 森川利久課長「不安を煽るだけでなく、市としても待機児童解消に動いていると発信できればと。(学童を)増やせば増やすだけ申込も増える傾向なので、なかなか追いついていないのが現実」学童保育はなぜ増えない?「縦割りの弊害」の声も政府はどう考えているのでしょうか。加藤勝信厚労大臣「総理からも子ども対策の強化に関して、学童保育について質・量、両面から強化を進めると指示もありました。早期に学童保育における待機児童解消を図っていきたい」国も学童保育を増やそうと学校施設の活用を行っていますが、思った以上に進んでいない現状があると専門家は指摘します。放課後NPOアフタースクール 平岩国泰代表理事「学童保育は厚労省の管轄で、学校は文科省の管轄、ここに縦割りが生じていて、もともと「別物」「成り立ちが別」という考え方があって、学童保育に学校を使うのは思った以上に進んでいない」「学童落ちた」で悲鳴 職員も人手不足喜入友浩キャスター:不安を抱えたまま迎える新学期は、もうすぐそこということで、いま助けてほしいという声は痛切でした。そういった中、学童の職員も足りていないという状況です。3月7日、職員でつくる労働組合は都内で会見を行いました。職員たちは、「処遇の改善」を求めています。状況としては、「雇用の不安定さ・低賃金」が問題だというんですね。多くの雇用が1年ごとの契約ということで、安定していない。そして賃金が低いということで、人手が足りていないと。そこで参加者は、「安全面でも子ども達を見る目を曇らせないためにも、人がいることは大事なこと」と訴えています。小川彩佳キャスター:子どもを預かる側も負担が増えていると。子どもを育てる親には、どんどん働いて労働力になってください、子どもも産んでください、でも預け先は自分で何とかしてください、というのは、とてもじゃないけど無理ですよね。慶応義塾大学 宮田裕章教授:静岡県島田市から提案のあった『祖父母の子育て』ですが、いまは核家族化が不可逆的に進行してるんですよね。かつての前提はもう成り立っていない。少子化対策がうまくいってる国を見ると、社会が子育てを支えている。個人が生むけれども、社会全体で子育てをしていき、多様なバックグラウンドの人たちに寄り添うことができる。これが安心して子供を産み育てられる一つの前提になっているんですよ。政府は“異次元の少子化対策”というふうに言っているんですが、必ずどんな対策もうまくいくもの、いかないものが出てくるので、これを見極めるということ。今回の学童に入れないという問題でいえば、これまで保育園の待機児童を減らすことはやっていたんですが、数年経つとこの問題が学童に来るということも、本来予測できたはず。こういった予測も含めてデータを使っていく必要があるかなと思います。
2016年、「保育園落ちた、日本死ね」と題した匿名ブログに端を発し、待機児童の問題が注目されました。そして今、小学生の子を持つ親から、「学童落ちた」「仕事辞めなければ」「ある意味異次元」といった悲鳴のような訴えがSNSに投稿され波紋を広げています。保護者に「留守番の練習」を求める文書を送った自治体も…。
【写真を見る】「保育園落ちた日本死ね」から7年…「学童落ちた」SNSに投稿相次ぐ “留守番の練習”を提案する自治体も【news23】「頭が真っ白…」 共働きなのに“学童落ちた”都内に住む伴さん一家。2023年2月に届いた一通の通知書により、4月からの暮らしが見通せない事態になりました。

伴さん(30代)「(通知書を見せながら)これですね。空きが無いので“待機とします”と」長男のりんたろう君が通う予定だった学童に落ちたのです。放課後児童クラブ、いわゆる学童保育は、共働き家庭などの小学生を放課後に預かる施設で、保護者の勤務状況などをもとに自治体が受け入れる児童を決めます。4月から2年生になるりんたろう君は、その学童に入れないため、放課後から両親が帰宅するまで一人で過ごさなくてはならないのです。伴さん「頭真っ白でした。え!?え!?って二度見した」ーー春からどうなる?伴さん「…どうしようね」りんたろう君「どうにもできない」「会社辞めるわけにはいかない?」伴さん「会社は辞められないね」りんたろう君のように空きを待つ児童は、2022年より約1割増えて1万5000人に上っています。ーー春から学童に行けないと聞いてどんなことを思った?りんたろう君「学校でもすごく仲良しの子が学童に受かったから、その子と離れるのが…」伴さん「一刻も早く何とかしてほしい。『これからします』ではなく実際(学童に)落ちているので、いま助けてほしい」“留守番の練習を”自治体からの提案に…待機学童が増える中、自治体が保護者に送った文書が波紋を広げています。「現状では2年生から待機児童の発生が見込まれます」「留守番の練習や祖父母等の協力等の代替手段について検討していただき、新年度における準備を進めていただければと思います」1月にこの文書を送った静岡県島田市。「留守番の練習」の提案に市民は…母親「1、2年生で(子どもを一人で)置いておくのは厳しいなと。留守番の練習というのも難しいなと思いますね」母親「仕事を優先したら子どもは産めないだろうし。子育てしづらい現状があるのかなと思う」3月7日の市議会では…市の担当者「増加した新1年生を優先して受け入れることになるので、結果的に2年生や3年生に進級する児童は優先順位が下がってしまう」3月7日、島田市内の学童保育では、授業を終えた子どもたちが、本を読んだり将棋を指したりして保護者の迎えを待ちます。母親「仕事終えて子どもを迎えに来られるのが午後5時半くらいなので、見ててもらえると安心」母親「たまに仕事が休みで『家にいるから帰っておいで』と言っても『学童に行きたい』と子どもが言うくらい楽しい場所」ーーどこが楽しい?児童「大親友がいるんだけど、大親友と遊べるところが」静岡県島田市では、子ども4人に1人が学童の申し込みをしていて、2022年12月の時点で143人が待機見込みの状態でした。市は、「少しでも早く対策をとって欲しい」との思いから、留守番の練習などを提案したといいます。島田市役所子育て応援課 森川利久課長「不安を煽るだけでなく、市としても待機児童解消に動いていると発信できればと。(学童を)増やせば増やすだけ申込も増える傾向なので、なかなか追いついていないのが現実」学童保育はなぜ増えない?「縦割りの弊害」の声も政府はどう考えているのでしょうか。加藤勝信厚労大臣「総理からも子ども対策の強化に関して、学童保育について質・量、両面から強化を進めると指示もありました。早期に学童保育における待機児童解消を図っていきたい」国も学童保育を増やそうと学校施設の活用を行っていますが、思った以上に進んでいない現状があると専門家は指摘します。放課後NPOアフタースクール 平岩国泰代表理事「学童保育は厚労省の管轄で、学校は文科省の管轄、ここに縦割りが生じていて、もともと「別物」「成り立ちが別」という考え方があって、学童保育に学校を使うのは思った以上に進んでいない」「学童落ちた」で悲鳴 職員も人手不足喜入友浩キャスター:不安を抱えたまま迎える新学期は、もうすぐそこということで、いま助けてほしいという声は痛切でした。そういった中、学童の職員も足りていないという状況です。3月7日、職員でつくる労働組合は都内で会見を行いました。職員たちは、「処遇の改善」を求めています。状況としては、「雇用の不安定さ・低賃金」が問題だというんですね。多くの雇用が1年ごとの契約ということで、安定していない。そして賃金が低いということで、人手が足りていないと。そこで参加者は、「安全面でも子ども達を見る目を曇らせないためにも、人がいることは大事なこと」と訴えています。小川彩佳キャスター:子どもを預かる側も負担が増えていると。子どもを育てる親には、どんどん働いて労働力になってください、子どもも産んでください、でも預け先は自分で何とかしてください、というのは、とてもじゃないけど無理ですよね。慶応義塾大学 宮田裕章教授:静岡県島田市から提案のあった『祖父母の子育て』ですが、いまは核家族化が不可逆的に進行してるんですよね。かつての前提はもう成り立っていない。少子化対策がうまくいってる国を見ると、社会が子育てを支えている。個人が生むけれども、社会全体で子育てをしていき、多様なバックグラウンドの人たちに寄り添うことができる。これが安心して子供を産み育てられる一つの前提になっているんですよ。政府は“異次元の少子化対策”というふうに言っているんですが、必ずどんな対策もうまくいくもの、いかないものが出てくるので、これを見極めるということ。今回の学童に入れないという問題でいえば、これまで保育園の待機児童を減らすことはやっていたんですが、数年経つとこの問題が学童に来るということも、本来予測できたはず。こういった予測も含めてデータを使っていく必要があるかなと思います。
都内に住む伴さん一家。2023年2月に届いた一通の通知書により、4月からの暮らしが見通せない事態になりました。
伴さん(30代)「(通知書を見せながら)これですね。空きが無いので“待機とします”と」
長男のりんたろう君が通う予定だった学童に落ちたのです。
放課後児童クラブ、いわゆる学童保育は、共働き家庭などの小学生を放課後に預かる施設で、保護者の勤務状況などをもとに自治体が受け入れる児童を決めます。
4月から2年生になるりんたろう君は、その学童に入れないため、放課後から両親が帰宅するまで一人で過ごさなくてはならないのです。
伴さん「頭真っ白でした。え!?え!?って二度見した」
ーー春からどうなる?伴さん「…どうしようね」りんたろう君「どうにもできない」「会社辞めるわけにはいかない?」伴さん「会社は辞められないね」
りんたろう君のように空きを待つ児童は、2022年より約1割増えて1万5000人に上っています。
ーー春から学童に行けないと聞いてどんなことを思った?りんたろう君「学校でもすごく仲良しの子が学童に受かったから、その子と離れるのが…」
伴さん「一刻も早く何とかしてほしい。『これからします』ではなく実際(学童に)落ちているので、いま助けてほしい」
待機学童が増える中、自治体が保護者に送った文書が波紋を広げています。
「現状では2年生から待機児童の発生が見込まれます」「留守番の練習や祖父母等の協力等の代替手段について検討していただき、新年度における準備を進めていただければと思います」
1月にこの文書を送った静岡県島田市。
「留守番の練習」の提案に市民は…
母親「1、2年生で(子どもを一人で)置いておくのは厳しいなと。留守番の練習というのも難しいなと思いますね」
母親「仕事を優先したら子どもは産めないだろうし。子育てしづらい現状があるのかなと思う」
3月7日の市議会では…
市の担当者「増加した新1年生を優先して受け入れることになるので、結果的に2年生や3年生に進級する児童は優先順位が下がってしまう」
3月7日、島田市内の学童保育では、授業を終えた子どもたちが、本を読んだり将棋を指したりして保護者の迎えを待ちます。
母親「仕事終えて子どもを迎えに来られるのが午後5時半くらいなので、見ててもらえると安心」
母親「たまに仕事が休みで『家にいるから帰っておいで』と言っても『学童に行きたい』と子どもが言うくらい楽しい場所」
ーーどこが楽しい?児童「大親友がいるんだけど、大親友と遊べるところが」
静岡県島田市では、子ども4人に1人が学童の申し込みをしていて、2022年12月の時点で143人が待機見込みの状態でした。
市は、「少しでも早く対策をとって欲しい」との思いから、留守番の練習などを提案したといいます。
島田市役所子育て応援課 森川利久課長「不安を煽るだけでなく、市としても待機児童解消に動いていると発信できればと。(学童を)増やせば増やすだけ申込も増える傾向なので、なかなか追いついていないのが現実」
政府はどう考えているのでしょうか。
加藤勝信厚労大臣「総理からも子ども対策の強化に関して、学童保育について質・量、両面から強化を進めると指示もありました。早期に学童保育における待機児童解消を図っていきたい」
国も学童保育を増やそうと学校施設の活用を行っていますが、思った以上に進んでいない現状があると専門家は指摘します。
放課後NPOアフタースクール 平岩国泰代表理事「学童保育は厚労省の管轄で、学校は文科省の管轄、ここに縦割りが生じていて、もともと「別物」「成り立ちが別」という考え方があって、学童保育に学校を使うのは思った以上に進んでいない」
喜入友浩キャスター:不安を抱えたまま迎える新学期は、もうすぐそこということで、いま助けてほしいという声は痛切でした。そういった中、学童の職員も足りていないという状況です。3月7日、職員でつくる労働組合は都内で会見を行いました。
職員たちは、「処遇の改善」を求めています。状況としては、「雇用の不安定さ・低賃金」が問題だというんですね。多くの雇用が1年ごとの契約ということで、安定していない。そして賃金が低いということで、人手が足りていないと。そこで参加者は、「安全面でも子ども達を見る目を曇らせないためにも、人がいることは大事なこと」と訴えています。
小川彩佳キャスター:子どもを預かる側も負担が増えていると。子どもを育てる親には、どんどん働いて労働力になってください、子どもも産んでください、でも預け先は自分で何とかしてください、というのは、とてもじゃないけど無理ですよね。
慶応義塾大学 宮田裕章教授:静岡県島田市から提案のあった『祖父母の子育て』ですが、いまは核家族化が不可逆的に進行してるんですよね。かつての前提はもう成り立っていない。
少子化対策がうまくいってる国を見ると、社会が子育てを支えている。個人が生むけれども、社会全体で子育てをしていき、多様なバックグラウンドの人たちに寄り添うことができる。これが安心して子供を産み育てられる一つの前提になっているんですよ。

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