収蔵品の盗難判明、調べたらコローの銅版画も所在不明…山梨県立美術館

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山梨県は2日、県立美術館の収蔵品2点の所在が分からなくなっていると発表した。
昨年8月に収蔵品の盗難が判明したことを受け、全ての収蔵品を確認し明らかになった。さらに、全体の6割以上の登録内容に不備があったほか、データベースに登録されていない収蔵品が400点以上あり、ずさんな管理状況も明らかになった。
発表によると、所在が分からないのは、山下新太郎氏の油彩画「母親の心づかい」と、ジャン=バティスト=カミーユ・コローの銅版画「イタリアの思い出」の2点。昨年10月27日~今年2月19日、全収蔵品1万1569点についてデータベースと突き合わせて現物を調べた結果、所在が分からなくなっていたという。
「母親の心づかい」は、1905年頃に制作され、縦30・3センチ、横21・4センチ。1984年に160万円で購入した。
「イタリアの思い出」は、90年に購入した銅版画集「腐食銅版画家協会 近代の腐食銅版画」全5巻に収められた329点のうちの1枚。1862~67年に制作され、縦29・4センチ、横22センチ。「イタリアの思い出」の購入当時の市場価格は5万~8万円という。
また、同館のデータベースに登録されていない収蔵品が444点(全体の約4%)あり、登録内容に不備がある収蔵品は7635点(同約66%)あったことも明らかにした。
県によると、1998年2月、館内の耐震工事に伴い収蔵品を別の場所に移す際に全ての収蔵品を調査して所在を確認していたが、それ以降は全数調査を行っていなかった。
県の財務規則によると毎年7月末時点で収蔵品を全て確認する必要があったが、同館の判断で直近1年間の新規収蔵品を確認するにとどまっていたという。
このため、県は収蔵品の全数調査を毎年1回実施するほか、今月中に有識者会議を設置し、効率的に収蔵品を管理できるシステムの導入を検討する。

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