日本の島が1万4千に倍増した意外な理由 「離島防衛、漁業権の保護に支障が」

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日本は古来「八洲国(やしまのくに)」を美称とするほど多くの島から成り立つ国だが、公式には6852島あることになっていた。ところが、政府が改めて数えてみたところ、約2倍の1万4125島もあることが分かったという。
【写真を見る】日本の離島防衛にも影響が… そもそも、これまで政府が使ってきた数字は1987年に海上保安庁(海保)が公表したものだ。公式統計もこれに基づいているが、当の海保によると、「私たちは、海上航行の安全上、留意しなくてはならない島のことを離島と呼び、当時、2万5千分の1の海図を使って外周100メートル以上の島を手作業で数えました。これに本土5島を加えたのが6852という数字です。しかし、小さな岩礁や船が通らない浅瀬にある島などはカウントされていません」(担当者)

ちなみに、琵琶湖にある沖島も6852島には入っていない。湖は海保の管轄外だからだ。「島」扱いではなかった沖ノ鳥島離島防衛、漁業権の保護に支障 転機は2021年12月。参院本会議で、自民党の有村治子議員が、沖縄県がHPで県内の島の数を160としているのに対し、政府見解は海保の調査に基づき363としている矛盾を指摘したのだ。ご本人いわく、「私は沖縄の離島防衛などを国会で取り上げてきましたが、沖縄県が認識している島の数と政府の把握している数に違いがあることを聞いたわけです。数が違っていては離島防衛はもちろん、漁業権の保護にも支障が出かねない。岸田総理も政府として統一した数を確定しておく必要があるとお考えになったのでしょう」 そこで今回、国土地理院は、海図ではなく2022年の「電子国土基本図」をもとに、国連海洋法条約の定める(1)自然にできた陸地、(2)水に囲まれている、(3)満潮でも水面上にある、という基準を満たす外周100メートル以上の島の数をコンピューターで自動計測。また、外周100メートル以下でも法令で指定されていれば、島としてカウントされる。最南端の沖ノ鳥島も 日本の海洋問題の研究家であり東海大学教授の山田吉彦氏が言うには、「以前から、日本には小さな砂州も含めると10万以上の島があることは分かっていました。今は衛星などを使った計測技術が発達しているので、離島を正確に把握することは難しくありません。1万4千に増えた島の中には、日本最南端の島である沖ノ鳥島も含まれるはずです」 つい最近も中国人女性が沖縄の無人島を買ったことがニュースになったばかり。日本の島は、目が届いておらず簡単に手に入ると思われているに違いない。「週刊新潮」2023年3月2日号 掲載
そもそも、これまで政府が使ってきた数字は1987年に海上保安庁(海保)が公表したものだ。公式統計もこれに基づいているが、当の海保によると、
「私たちは、海上航行の安全上、留意しなくてはならない島のことを離島と呼び、当時、2万5千分の1の海図を使って外周100メートル以上の島を手作業で数えました。これに本土5島を加えたのが6852という数字です。しかし、小さな岩礁や船が通らない浅瀬にある島などはカウントされていません」(担当者)
ちなみに、琵琶湖にある沖島も6852島には入っていない。湖は海保の管轄外だからだ。
転機は2021年12月。参院本会議で、自民党の有村治子議員が、沖縄県がHPで県内の島の数を160としているのに対し、政府見解は海保の調査に基づき363としている矛盾を指摘したのだ。ご本人いわく、
「私は沖縄の離島防衛などを国会で取り上げてきましたが、沖縄県が認識している島の数と政府の把握している数に違いがあることを聞いたわけです。数が違っていては離島防衛はもちろん、漁業権の保護にも支障が出かねない。岸田総理も政府として統一した数を確定しておく必要があるとお考えになったのでしょう」
そこで今回、国土地理院は、海図ではなく2022年の「電子国土基本図」をもとに、国連海洋法条約の定める(1)自然にできた陸地、(2)水に囲まれている、(3)満潮でも水面上にある、という基準を満たす外周100メートル以上の島の数をコンピューターで自動計測。また、外周100メートル以下でも法令で指定されていれば、島としてカウントされる。
日本の海洋問題の研究家であり東海大学教授の山田吉彦氏が言うには、
「以前から、日本には小さな砂州も含めると10万以上の島があることは分かっていました。今は衛星などを使った計測技術が発達しているので、離島を正確に把握することは難しくありません。1万4千に増えた島の中には、日本最南端の島である沖ノ鳥島も含まれるはずです」
つい最近も中国人女性が沖縄の無人島を買ったことがニュースになったばかり。日本の島は、目が届いておらず簡単に手に入ると思われているに違いない。
「週刊新潮」2023年3月2日号 掲載

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