コロナ雇調金を不正受給、「県内唯一の百貨店」水戸京成百貨店に10億円超の返還命令

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水戸京成百貨店(水戸市)による雇用調整助成金(雇調金)など計3億円余りの不正受給を巡り、茨城労働局は2月28日、支給取り消しと10億円超の返還を求める処分を発表した。
処分は2月20日付で、百貨店は22日に全額を返還した。返還額は県内では過去最多となる。
発表によると、不正受給が認定されたのは新型コロナウイルスで打撃を受けた企業の休業手当を国が助成する「雇調金」と「緊急雇用安定助成金」。2020年5月から22年10月の申請分について、従業員が出勤しているにもかかわらず、休業したとする虚偽の申請書類を作成し、一部の助成金を不正に受け取っていた。
同局は処分で、不正受給分も含め期間中に受け取った助成金の全額計約10億7380万円の返還を命令。ペナルティーである罰則金や延滞金を含め計約13億4400万円の支払いを求めた。百貨店は既に支払いを終えているものの、今後5年間は雇用に関する助成金の受給ができなくなる。
百貨店の発表では、不正はコロナ禍を背景に、取締役で総務部長だった男性が主導。総務部人事担当に勤務データの改ざんを指示し、人事担当課長ら4人が勤務実績を改ざんしたとされる。不正受給額は3億円余りに上った。同局は今後、詐欺容疑での刑事告発を含め、対応を検討する。
百貨店は取材に対し、親会社の京成電鉄から返還に必要な融資を受けたことを明らかにし、「社内のコンプライアンス(法令順守)体制を再整備し、安心してお買い物いただけるように信頼回復に取り組む」とのコメントを出した。
関係自治体からも「県内唯一の百貨店」に猛省を求める声が相次いだ。水戸市の高橋靖市長は28日、「入札参加資格の停止など、市として対処を厳正に行う。京成百貨店には責任意識を持ち、市民の信頼回復に努力してほしい」とコメント。大井川知事も「地域経済における役割は極めて大きい。責任を自覚し、コンプライアンスに努めてもらいたい」とのコメントを発表した。

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