11票差の村長選で不正投票か、村長親族ら6人書類送検…虚偽転入で投票した疑い

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2021年7月の山梨県道志村長選を巡る選挙違反事件で、県警は21日、長田富也村長の親族4人と支援者2人の計6人を公職選挙法違反(詐偽投票など)と電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで書類送検した。
捜査関係者によると、親族と支援者の4人は21年3月、都内や都留市、富士吉田市に居住していたが、長田村長に投票するため、虚偽の転入届を村に提出。選挙権を得て、投票した疑い。村に住む親族2人は、別の親族2人に虚偽の転入届の提出と投票を依頼した疑い。6人はいずれも容疑を認めているという。
依頼した親族のうち1人は、委任状を得て、村に転入届を提出したとみられる。親族ら4人は21年3月、村に転入届を出して空き家や親族宅に住民票の住所を変更し、投票後の同年7月に元の住所に戻したという。交通系ICカードの利用履歴や電気の使用状況などから村内に居住実態がないことがわかり、県警が捜査を進めていた。
長田村長は21日朝、自宅前で報道陣に「(不正な投票を)頼んだことはない。そういう行為があったことは知らない」と話した。
■投票率94・64%、激しい選挙戦が不正招いたか
21年の村長選は投票率94・64%で、長田村長が668票を獲得し、新人をわずか11票差で破った。事件の背景には、この激しい選挙戦があったとみられる。
村の70歳代男性は「選挙では血縁をたどられ、日頃の付き合いも知られる。生活を考えれば地縁や血縁は無視できない。人の目もあり、選挙に行かなければならない」と明かす。厳しい選挙では数票のために手段を選ばなくなるといい、「同様の手口が横行しているといううわさはあったが、表沙汰になったことに驚いた」と話す。
60歳代の男性は、妻と1票ずつ各候補に投票することにしている。「人口が少なく全員知り合いだからこそやりにくい」とこぼした。「知り合いから強く頼まれて断り切れずに投票したという話も耳にする」と話した。

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