静岡県の農家が「ゲーミング椎茸」を商標出願し、インターネット上で「どういうことなの」などと話題になっている。
いったいどのような商品なのか。J-CASTニュースの取材に2023年2月14日、出願した有限会社丸祐植田製茶(静岡県御前崎市)の代表・植田有裕さん(36)が応じた。
話題になったきっかけは2月8日、商標公報に掲載されている情報を紹介するツイッターアカウント「商標速報bot」が、「ゲーミング椎茸」の出願を伝えたことだった。丸祐植田製茶が1月31日、生しいたけの区分で出願したという。ツイッターでは「光るの?」「気になる」などと大きな関心が寄せられた。
編集部で入手したゲーミング椎茸を箱から出すと、想像以上の大きさに驚いた。一般的にスーパーで販売されている椎茸に比べて肉厚で、質感もふっくらとしている。傘の直径は7センチほど、厚さは3センチを超える。
取材に対し、植田さんは「素材がいいのでシンプルに焼いて醤油、バターなどお好みでお召し上がり下さるのが一番です」と述べる。
フライパンにバターを溶かし、弱火でじっくりと両面を焼くと、見た目は小さなハンバーグのようだ。料理酒を加えてよく蒸した後、醤油で絡ませたら完成だ。比較するためスーパーで購入した椎茸も同時に調理した。
スーパーの椎茸は小さいため、醤油の香りがまんべんなくいきわたり、椎茸らしい渋みと混ざり合った。すき焼きの椎茸の味に近い。一方でゲーミング椎茸は、調味料に負けない香ばしさを醸し出す。口に含むとジュワっとした汁気があふれ、貝類のようなぷりぷりとした歯ごたえがある。味は、キノコらしい臭みが少なくミルキーな甘さを含む。白米にも合うように感じられた。
この椎茸はなぜ「ゲーミング椎茸」と名付けられたのか。それは、生産者である植田さんの趣味に起因する。
生産する丸祐植田製茶は、パート含む14人の従業員と2万の菌床で椎茸栽培に取り組んでいる。
代表の植田さんは、創業者の亡き祖父から「良い物を作りつつ他と違うやり方を模索する」という考えを引き継ぎ、日々の業務に勤しんでいるという。趣味は人気ゲーム「ストリートファイター」シリーズをプレイすることで、NAOというハンドルネームで活動している。ゲーミング椎茸は、この趣味が高じて生まれた。
植田さんは「面白く奇抜なネーミングで話題性がある」と感じ、そのまま商品名に採用した。命名について従業員たちは、高齢の人が多かったため、理解するのに時間がかかったそうだ。
ゲーミング椎茸と名付けてからは、インターネット通販に本腰を入れた。ゲーミング椎茸を用いた料理コンテストも開催。ツイッターで話題になると販売数はかなり増えたという。
今回の商標出願は「さらに知名度を上げていきたい」という動機から行った。植田さんは今後、料理家などから得た感想をもとによりよい商品づくりに努めていくと意気込む。
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)