「あきれた」「許されない」=荒井首相秘書官発言に性的少数者ら

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性的少数者(LGBTなど)や同性婚に対する差別的な発言で、荒井勝喜首相秘書官が4日、更迭された。
偏見や差別に苦しんできた当事者や識者からは、厳しい批判が相次いだ。
同性婚を認めない現行制度を巡る訴訟の原告で、同性パートナーと子育てしながら暮らす50代の小野春さん(仮名)は「胸が苦しくなり、生活が脅かされているような気持ちになった」という。
「性的少数者を見たことがないから奇妙なものを想像しているのかもしれない」とした上で、「私たちの実態も知ってほしい」と理解を求めた。
大阪市生野区の支援団体「カラフルブランケッツ」理事長でレズビアンの井上ひとみさん(43)は「ただ生きていることすらだめと言われたのと同義だ。当事者は本当に身近にいるのに可視化されていない現状がある」と話した。
LGBT当事者でNPO法人「虹色ダイバーシティ」(大阪市)代表の村木真紀さん(48)は「今回の発言にはあきれ返っており、ハラスメントというよりは差別発言だ」と憤った。
同性婚に慎重な姿勢を示す岸田文雄首相に対しては、G7(先進7カ国)の中で日本だけが婚姻の平等やパートナーシップ法を認めていないとし、「人権は等しくみなにあるはずなのに、日本のトップはそれすら理解していない」と批判。「首相がこういった差別発言を言える環境、雰囲気をつくっている」と話した。
大阪大の牟田和恵名誉教授(社会学)は「差別発言であり、許されない」と問題視した。岸田首相が1日の衆院予算委員会で「(同性婚は)家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」と述べたことに触れ、「首相の発言があったからこそ、迎合するような気持ちで発言した可能性がある」と指摘した。
性的少数者の全国組織「LGBT法連合会」は4日、「時代錯誤の認識」と批判する声明を出した。声明では「国際的に日本の立場が問われる発言であると指摘せざるを得ない。首相の見解が問われてしかるべきだ」などとしている。

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