新年には初詣に出掛け、気持ち新たに一年の健康などを祈願する人は多いことだろう。さっそく、1年の始まりの運勢を占おうと、おみくじを引いた人もいるだろう。一般的には「大吉」「吉」「凶」などと書かれているが、寺社によっては「吉凶未分(よしあしいまだわからず)」という運勢があるのをご存じだろうか。項目別の運勢を見ても「学業 努力しだい」「旅立 ゆだんすべからず」「願事 すぐには叶わず」などとあり、確かに吉とも凶とも判断しにくい印象だ。編集部では、このおみくじがある大阪最古の神社として知られる、生國魂神社(大阪市)を2022年1月に取材している。
調べてみると他にも変わったおみくじが出る神社があり、どんな運勢かもあわせて紹介しよう。吉凶未分は「運勢が定まっていない状態」生國魂神社は約2700年の歴史がある。「吉凶未分」を引いたことがある人は少ないようだが、どのような運勢なのだろうか。担当者に聞いた――「吉凶未分」はどんな意味がある?これは運勢が分からないということではなく、いい方向にいくか、悪い方向にいくか「定まっていない状態」ということになります。そのままの意味で受け止めていただければと思います。――おみくじで出るようになった経緯を教えて。簡単に言うと「おみくじの結果にもともと入っているもの」なのです。実は近年のおみくじは参拝者が分かりやすいよう、運勢の表記を改めているところもあります。吉凶未分であれば、末吉のような表記にしていることもあるかもしれません。生國魂神社は古い表記が残っています。――なぜ生國魂神社では古い表記が残った?大阪の特殊な地域性が影響していると思われます。大阪の城下町には豊臣秀吉がさまざまな職能集団を住まわせたといいます。生國魂神社はこの城下町にあり、地域には「紙工」(紙を加工する場所)もあったそうです。そのため、紙製品と神社などの結びつきが深く、おみくじも仮名遣いなどは直していますが、表記は古いままで残ったと考えられます。――吉凶未分はどれくらいの確率で出るの?母数などは公言していません。ただ、基本的に少数ではあります。何かが出るまで引くのは意味のない行為――吉か凶かを知りたいともう一度引いていい?おみくじを引くのは、自分の運勢を占いたい時だと思います。タイミングはいつでもいいですが、何かが出るまで引くのは意味のない行為です。信心が足りている状態ではありません。大事なことは運勢の結果ではなく、内容をしっかりと読んでいただくことです。同じ「吉」でも、内容はいくつものパターンがあります。内容を参考にしていただくのが正しい見方です。――ほかにも珍しい運勢の結果はある?生國魂神社では「平(へい)」という結果があります。平穏無事という意味です。例えば、運気が良くて宝くじが当たったとしても、それにより一家離散となる可能性もあります。それよりも日常生活の充実だったり、日々の健康が一番です。このほかだと「凶吉向(きょうきちにむかう)」というものもありますが、後は引いてからのお楽しみにしていただければと思います。――おみくじは持ち帰る?それとも境内に結ぶのがいいの?本来は全て持ち帰ります。その場で読んでも分からないことが多いので、調べて分かることが本来の在り方です。凶が出ると気分が滅入るので「凶を置いて帰る」と結ぶ風習もありますが、それが今は全てを結ぶような形になっています。神社ではお焚き上げを行うので、持ち帰ったおみくじはそこに持っていただくことになります。氷川神社は「初凶末吉」など14種類ある続いて、さいたま市の氷川神社は、武蔵一宮として関東一円の信仰を集め、初詣には多くの参拝者で賑わう2400年以上の歴史をもつという神社。こちらのおみくじは14種類あるという。普段あまり目にしないものもあるとのことで、どんな運勢なのか担当者に聞いた。――氷川神社のおみくじにはどんな運勢があるの?「大吉」 「吉」 「吉平」 「平吉」 「小吉」 「末吉」 「平」「向吉」 「凶向吉」 「凶末吉」 「初凶末吉」 「吉凶未分」 「吉凶相交」 「凶」となります。元々は13種類でしたが、現在、「凶」が加わり14種類となっています。――運勢に順番はあるの?おみくじの運勢に順番はつけておりませんが、凶よりは吉の方が良いのは当然です。しかし、氷川神社には全部で50番までありますが、このおみくじで最も良いと書いてある運勢は大吉ではなく吉です。その理由はよくわかっておりません。――この中から特徴的な運勢を教えて「初凶末吉」や「向吉」「凶末吉」などは、現在は凶でもこれから良くなっていく運勢です。「吉凶相交」や「吉凶末分」などは心がけ次第で吉にも凶にもなるという運勢です。おみくじは生活の指針ともなるものです。心がけ次第で良い方向にも悪い方向にもなるというのであれば、姿勢を正して生活するようになる方が大半だと思いますので、意味のある運勢と思います。――おみくじを引く際の作法はあるの?作法は特にありません。お参りをして頂いた後に引いて頂くのが良いと思います。――引いたおみくじは、どうしたらいいの?おみくじの内容をスマホ等で撮影する方も多くいらっしゃいます。生活の指針としていただいても良いと思います。お守り代わりに持っている方もいらっしゃると思います。あまり目にすることのないおみくじをひくこと自体が運がいいという捉え方もあるかもしれない。おみくじは「生活の指針」になるというので、初詣で引いた際には、その内容をしっかり読み、新たな一年の生活への参考にしてほしい。
新年には初詣に出掛け、気持ち新たに一年の健康などを祈願する人は多いことだろう。さっそく、1年の始まりの運勢を占おうと、おみくじを引いた人もいるだろう。
一般的には「大吉」「吉」「凶」などと書かれているが、寺社によっては「吉凶未分(よしあしいまだわからず)」という運勢があるのをご存じだろうか。項目別の運勢を見ても「学業 努力しだい」「旅立 ゆだんすべからず」「願事 すぐには叶わず」などとあり、確かに吉とも凶とも判断しにくい印象だ。編集部では、このおみくじがある大阪最古の神社として知られる、生國魂神社(大阪市)を2022年1月に取材している。
調べてみると他にも変わったおみくじが出る神社があり、どんな運勢かもあわせて紹介しよう。
生國魂神社は約2700年の歴史がある。「吉凶未分」を引いたことがある人は少ないようだが、どのような運勢なのだろうか。担当者に聞いた
――「吉凶未分」はどんな意味がある?
これは運勢が分からないということではなく、いい方向にいくか、悪い方向にいくか「定まっていない状態」ということになります。そのままの意味で受け止めていただければと思います。
――おみくじで出るようになった経緯を教えて。
簡単に言うと「おみくじの結果にもともと入っているもの」なのです。実は近年のおみくじは参拝者が分かりやすいよう、運勢の表記を改めているところもあります。吉凶未分であれば、末吉のような表記にしていることもあるかもしれません。生國魂神社は古い表記が残っています。
――なぜ生國魂神社では古い表記が残った?
大阪の特殊な地域性が影響していると思われます。大阪の城下町には豊臣秀吉がさまざまな職能集団を住まわせたといいます。生國魂神社はこの城下町にあり、地域には「紙工」(紙を加工する場所)もあったそうです。そのため、紙製品と神社などの結びつきが深く、おみくじも仮名遣いなどは直していますが、表記は古いままで残ったと考えられます。
――吉凶未分はどれくらいの確率で出るの?
母数などは公言していません。ただ、基本的に少数ではあります。
――吉か凶かを知りたいともう一度引いていい?
おみくじを引くのは、自分の運勢を占いたい時だと思います。タイミングはいつでもいいですが、何かが出るまで引くのは意味のない行為です。信心が足りている状態ではありません。
大事なことは運勢の結果ではなく、内容をしっかりと読んでいただくことです。同じ「吉」でも、内容はいくつものパターンがあります。内容を参考にしていただくのが正しい見方です。
――ほかにも珍しい運勢の結果はある?
生國魂神社では「平(へい)」という結果があります。平穏無事という意味です。例えば、運気が良くて宝くじが当たったとしても、それにより一家離散となる可能性もあります。それよりも日常生活の充実だったり、日々の健康が一番です。このほかだと「凶吉向(きょうきちにむかう)」というものもありますが、後は引いてからのお楽しみにしていただければと思います。
――おみくじは持ち帰る?それとも境内に結ぶのがいいの?
本来は全て持ち帰ります。その場で読んでも分からないことが多いので、調べて分かることが本来の在り方です。凶が出ると気分が滅入るので「凶を置いて帰る」と結ぶ風習もありますが、それが今は全てを結ぶような形になっています。神社ではお焚き上げを行うので、持ち帰ったおみくじはそこに持っていただくことになります。
続いて、さいたま市の氷川神社は、武蔵一宮として関東一円の信仰を集め、初詣には多くの参拝者で賑わう2400年以上の歴史をもつという神社。こちらのおみくじは14種類あるという。普段あまり目にしないものもあるとのことで、どんな運勢なのか担当者に聞いた。
――氷川神社のおみくじにはどんな運勢があるの?
「大吉」 「吉」 「吉平」 「平吉」 「小吉」 「末吉」 「平」「向吉」 「凶向吉」 「凶末吉」 「初凶末吉」 「吉凶未分」 「吉凶相交」 「凶」となります。元々は13種類でしたが、現在、「凶」が加わり14種類となっています。
――運勢に順番はあるの?
おみくじの運勢に順番はつけておりませんが、凶よりは吉の方が良いのは当然です。しかし、氷川神社には全部で50番までありますが、このおみくじで最も良いと書いてある運勢は大吉ではなく吉です。その理由はよくわかっておりません。
――この中から特徴的な運勢を教えて
「初凶末吉」や「向吉」「凶末吉」などは、現在は凶でもこれから良くなっていく運勢です。「吉凶相交」や「吉凶末分」などは心がけ次第で吉にも凶にもなるという運勢です。
おみくじは生活の指針ともなるものです。心がけ次第で良い方向にも悪い方向にもなるというのであれば、姿勢を正して生活するようになる方が大半だと思いますので、意味のある運勢と思います。
――おみくじを引く際の作法はあるの?
作法は特にありません。お参りをして頂いた後に引いて頂くのが良いと思います。
――引いたおみくじは、どうしたらいいの?
あまり目にすることのないおみくじをひくこと自体が運がいいという捉え方もあるかもしれない。おみくじは「生活の指針」になるというので、初詣で引いた際には、その内容をしっかり読み、新たな一年の生活への参考にしてほしい。