「2人目を産むのは無理」ワーママが産後に仕事復帰して感じた過酷すぎる生活…少子化解決“無理ゲー”な理由

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急速な少子高齢化に歯止めがかからない。出生数は80万人を割る見込みだ。共働き世帯が7割超という現在、コロナ禍で働き方にも多様性がでている。育児をしながら仕事をする女性のリアルな現状を取材した。
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2020年の共働き世帯は1240万戸。専業主婦571世帯の2倍以上になり、専業主婦世帯が多数派だった1980年から逆転。96年に同数となってから、国による「女性の活躍」推進も影響してか、減少する専業主婦に反比例して働く女性は増え続けている。ただ、共働きといっても、まだまだ育児・家事の負担は女性に偏りがちという声も多い。少子化改善のためには男女ともに家事、育児に参加できる態勢を公、民ともに考えていく必要がある。
■共働きなのにワンオペ育児
関西に住む30代の会社員女性は、大学卒後から正社員として勤務し、19年に出産。子供が1歳を迎えるタイミングで復職した。夫は激務で朝早く出社、帰宅は深夜という状況で「ほぼワンオペ育児」。夫の職場は男性が多く、「子育てで休むことに理解がなさそう」だと感じ、頼りづらかったという。核家族で両親は遠方に住んでいるため、気軽に頼れる相手もいない。復帰当初は、保育園に通わせる子供がたびたび発熱をし、月の半分ほど保育園を休むことも。その時の対応もすべて女性が行ったといい、「自分も正社員で仕事しているのに、なぜ自分ばかり…心身ともに疲れた」と理不尽を感じたといい、「共働き家庭に限らず、子供が小さいうちは残業の上限を厳しくするとか、週に数回は定時帰宅を義務づけるとかしてほしい」という。
■コロナで在宅勤務も体調不良に
新型コロナウイルス流行にともない、リモートワークが推進された。30代の会社員Bさんの2歳長男が通う保育園では、一時期は登園自粛要請、それが明けると鼻水など少しの風邪症状でも登園を控えるよう通知が出た。その結果、自宅でリモートワークをしながら1~2歳の子供を育児するという日が多くなった。「リモートワークさせてもらえたおかげで仕事を辞めずに済んだので、本当に会社に感謝しています。全部休んでいたら、有休なんて3か月で使い切るところだった」と振り返るが、自己主張の出てきた幼児を見ながらの仕事は過酷だった。
子供にはテレビを見せっぱなし、しかし幼い子供が長時間の1人遊びは難しく「遊ぼう」と手や体をつかんで連れて行こうとするし、仕事のPCも触ってしまい怒鳴って泣かせてしまうことも。子供は仕事でかまってもらえないと畳の上で自らオムツを脱いでおもらしをするようになった。昼寝をさせている途中に起きてしまい、自ら降りようとしたベビーベッドから落下、頭を強打し病院を受診した時には「何をやっているんだろうと、自分を責めた」という。そんな日々が続くうち、女性は呼吸が苦しくなる症状が出たため病院を受診。胸部エックス線検査で異常はなく、「ストレスのせい」と医師から告げられたことで、「自分もギリギリの精神状態で仕事をしていたことに気付いた」という。
■3歳で発熱は減るも疲れ果て…
現在3歳になった子供は免疫がつき、発熱をすることは減った。育児をしながら仕事をすることは減ったが「2人目を産むのは、今のところは無理」「当時のことを思い出すと涙が出る。2人目を産んだとして、その子がまた同じようなペースで発熱をして、それが上の子に移って…というのを想像すると、仕事の有給なんてすぐになくなってしまう。何より、自分もまたあの地獄のようだった日々に戻りたくない」と2人目を欲しい気持ちはあるが、1人目の育児と仕事の両立でのつらい経験からちゅうちょしているという。
■経済的に仕事は辞められない
Bさんは復帰後1年は有給休暇も半分以上は残ったというが、「元々、有給をとる人もほとんどいない職場で働いていたので有休をとるのはよくないと思っていた。今思えばもっと休んだら良かったが、毎日数字で結果が出る仕事なので、数字を落としたくなかった」という真面目さで心身に異常がでるほど自分を追い込んでしまった。それでも仕事を辞めるという選択肢はない。「これだけ物価が上がっていて、年金も出るかわからないという状況で、夫だけの収入では不安。自分も希望していた会社に入って好きな仕事をしている今の生活が好き。子供にはこれまでつらい思いをさせたのは申し訳なかった。これからたくさん休みの日など遊んであげたい」と話した。

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