中国人がアメ横などで風邪薬や抗原キット「爆買い」、コロナ感染者急増に伴い医薬品不足

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中国本土で新型コロナウイルス感染者の急増に伴う医薬品不足が深刻化し、思わぬ余波がアジア各地に及んでいる。
日本やタイなどではこの1~2週間、中国人が母国の家族や知人らに向けてドラッグストアで風邪薬を「爆買い」する姿が目立ち始めた。(国際部 田村美穂、広州支局 吉岡みゆき)
ドラッグストアが多く並ぶ東京・アメ横。ある店舗では24日、免税客専用のレジに中国人らの行列ができ、スマートフォンを店員に示してお目当ての風邪薬を買い求めていた。旅行で都内を訪れたという福建省出身の男性(33)は解熱剤や鎮痛剤などを約1万円分購入した。「日本の薬は飲んだらすぐに体調が良くなるので人気がある。すぐに実家の家族に送りたい」と話す。
発熱症状を緩和する大正製薬の風邪薬「パブロンゴールドA」が特に人気を集める。コロナ禍前から訪日客が土産に買うことが多く、この店では品薄が強まった先週から1人2個までの購入制限を設けた。
香港では、中国本土に向けて抗原検査キットを配送する薬局のサービス利用者が相次ぐ。中国の各都市ではPCR検査所が閉鎖され、自宅で気軽に調べられる検査キットの需要が高まった。店員は「800個入りの段ボールごと購入した客もいた」と思わぬ商機に驚く。
香港メディアによると、中国人による薬の大量購入はシンガポールや台湾、オーストラリアなどでも起きている。風邪をひいて必要になる患者が購入できなくなるとの警戒も強まる。バンコクの薬局店長(25)は「店の在庫を全て買っていく中国人もいる」と話す。
韓国紙・中央日報によると、韓国では中国人の個人輸入業者らが製薬会社や卸問屋に接触し、風邪薬をまとめ買いしようとしているとのうわさが広まった。韓国政府関係者は「中国の状況急変を受けて、(国内の需給状況を)綿密に注視している」と話した。

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