新潟県警は2025年10月28日、新潟県長岡市内の北陸自動車道上り線を軽ワゴン車で約5.3kmにわたって逆走したとして、埼玉県に住む48歳の会社員の男を道路交通法違反(通行区分違反)の疑いで逮捕しました。
非常に危険な「逆走行為」ですが、一体どのようにして発生するのでしょうか。
【画像】「ええぇぇ…」 これが「逆走ドライバー」の行動パターンです! 画像で見る(27枚)
この事案は10月28日の午前0時半頃、男が長岡市の北陸道において追い越し車線を軽ワゴン車で逆走したもので、その途中、対向の普通車とサイドミラー同士が接触する事故を起こしました。
午前0時前には、新潟県南魚沼市の関越道上り線を走っていたドライバーから「逆走しているクルマがいる」といった通報が相次ぎ、警察は新潟県の湯沢IC~三条燕ICの上り線を一時通行止めにしました。
その後、警察が長岡市の北陸道上り線で逆走車を発見し、中之島見附ICで降ろしてから男を現行犯逮捕したということです。
警察の調べに対し男は、「サービスエリアかパーキングエリアに入ったが、逆走をした認識はなかった」などと話しているとのことです。
上記の事故によるケガ人はいませんでしたが、目撃情報などから80km程度逆走を続けた可能性もあるということで、警察が詳しく調べています。
このニュースについてインターネット上では、「5.3kmって相当な距離。それまでに対向車とすれ違わなかったのか。大きな事故が起きなかったのが幸いでした」「いくら深夜でも逆走を認識していないなんて怖すぎる」といった驚きの声が上がっています。
また「逆走問題は国も対策を考えないと。国土交通省およびNEXCOも逆走を未然に防ぐ対策、進入させない方法をお願いします。また自動車メーカーも安全装置の一つとして開発してもらいたい」「どうやって逆走状態になったのかの原因究明と再発防止対策をお願いします」など、逆走防止対策の強化を求める意見も聞かれました。
国土交通省が公表している資料によると、逆走事案は毎年200件程度発生しており、2024年中は220件の逆走事案が起きています。単純計算ではあるものの、おおむね2日に1回の頻度で逆走が発生していることになります。
さらに2011年~2024年までの逆走事案2874件について分析したところ、逆走車を確保したものが2293件(全体の80%)、物損事故が363件(13%)、負傷事故が160件(5%)、死亡事故が58件(2%)という結果であり、約2割が交通事故に発展している状況があります。
加えて、逆走事故は猛スピードで正面衝突しやすく、またドライバーの回避行動が間に合わないといった理由から死亡事故のリスクが高く、高速道路の事故全体と比較して死亡事故の確率が約38倍になるというデータも出ています。
このように逆走は非常に危険な行為ですが、一体なぜ起きるのでしょうか。
まず逆走が始まる場所については、「分合流部・出入口部」が最も多いことが明らかになっています。
分合流部とは、JCTなど本線が複数方向へ分岐する場所や、ICやSA・PAの出入り口といった、高速道路の本線と流入車線が接続する場所などのことをいいます。
逆走の具体例としては、「目的のICを通り過ぎてしまい、本来出ようとしていたランプに戻ろうとして故意に逆走する」「流入車線から本線に合流する際に目的地の方向を誤って逆走する」といったケースが挙げられます。
次に、「料金所付近」も逆走事案が多く発生しています。これに関しては「一般道路から高速道路に誤って進入したことに気づき、一般道路に戻ろうと転回して逆走する」「一般道路からの進入箇所を間違え、出口から進入して逆走する」などの事例があります。
これらをまとめると、道を間違えたことが逆走の発端となるケースが多いといえるでしょう。
そのほか逆走事案を起こしたドライバーを年齢別にみると、2011年~2023年までの統計で「75歳以上」が45%、「65~75歳未満」が22%、「30~65歳未満」が24%、「30歳未満」が8%という結果となっています。つまり65歳以上が逆走事案の約7割を占めています。
ただし、逆走“事故”の場合は「75歳以上」が全体の32%、「65~75歳未満」が19%、「30~65歳未満」が34%、「30歳未満」が13%という結果であり、65歳未満の割合が約5割を占めます。
高速道路の逆走というと高齢者によるものというイメージを持たれがちですが、若い世代でも事故を起こしている現状があることから、すべてのドライバーが自分事としてとらえることが重要です。
※ ※ ※
逆走が起きやすい本線合流部やランプ合流部などでは、進むべき方向を示した道路標示や逆走防止の注意看板が設置されているほか、進行方向を分かりやすくするためのカラー舗装といった工夫が施されています。
疲れているときや慣れない道では標識・標示を見落とすおそれもあるため、体のコンディションを整えた上で運転に集中する心がけが大切です。