旧統一教会被害者救済新法が成立 「霊感」使った寄付勧誘に刑事罰

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世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を受けた被害者救済法と改正消費者契約法が10日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決され、成立した。救済法について自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主が賛成し、共産とれいわ新選組は反対した。救済法は「霊感」を使って不安をあおる悪質な寄付勧誘行為を禁止し、措置命令に従わない時には懲役や罰金など刑事罰を科すことができる。元信者ら被害者からは「救済のハードルが高い」との意見があり、今後は実効性が問われることになる。
異例の土曜審議 背景に岸田政権の「まずい判断」 救済法の名称は「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律」。消費者庁が設置した有識者検討会が10月に公表した報告書を基に与野党協議を重ね、法案化にこぎ着けた。法案の閣議決定後も野党の要望を踏まえて修正するなど、立法過程は異例の展開をたどった。 個人から法人や団体への寄付を規制の対象とした。寄付を勧誘する際、霊感の知見を使って不安をあおり、本人や家族の不利益を回避するには寄付が必要不可欠であると告げることなど6類型の行為で「困惑」させるのを禁止した。 寄付の原資を調達するのに借金をさせたり、自宅や田畑などを処分させたりするのも禁止する。これらに違反し、国の措置命令に従わない場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金など罰則を設けた。 禁止行為に基づく寄付をした場合に本人による取り消し規定が設けられた。扶養されている子どもや配偶者も、寄付者に代わって生活費など将来受け取るべき分も返還請求を可能とした。 寄付を求める法人には、「意思を抑圧して適切な判断が困難な状態に陥らせない」など3項目の配慮義務を課した。マインドコントロール(洗脳)下での勧誘行為は配慮義務として条文に盛り込むにとどめた。配慮義務を守らない場合は、行政が勧告や団体名の公表を行える。 施行は一部を除き公布から20日後で、過去の被害は対象外となる。施行後2年をめどに見直しを検討する。 参院の可決時に採択された付帯決議では、速やかに行政措置の基準を示す▽配慮義務の内容についても具体例を示す――など16項目が盛り込まれた。 岸田文雄首相は成立後の記者会見で「被害者がこの制度を利用しやすい環境を早急に整備することに全力を傾ける。必要な政府支援を迅速に行い、新たな制度をしっかり運用したい」と述べた。【藤沢美由紀】
救済法の名称は「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律」。消費者庁が設置した有識者検討会が10月に公表した報告書を基に与野党協議を重ね、法案化にこぎ着けた。法案の閣議決定後も野党の要望を踏まえて修正するなど、立法過程は異例の展開をたどった。
個人から法人や団体への寄付を規制の対象とした。寄付を勧誘する際、霊感の知見を使って不安をあおり、本人や家族の不利益を回避するには寄付が必要不可欠であると告げることなど6類型の行為で「困惑」させるのを禁止した。
寄付の原資を調達するのに借金をさせたり、自宅や田畑などを処分させたりするのも禁止する。これらに違反し、国の措置命令に従わない場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金など罰則を設けた。
禁止行為に基づく寄付をした場合に本人による取り消し規定が設けられた。扶養されている子どもや配偶者も、寄付者に代わって生活費など将来受け取るべき分も返還請求を可能とした。
寄付を求める法人には、「意思を抑圧して適切な判断が困難な状態に陥らせない」など3項目の配慮義務を課した。マインドコントロール(洗脳)下での勧誘行為は配慮義務として条文に盛り込むにとどめた。配慮義務を守らない場合は、行政が勧告や団体名の公表を行える。
施行は一部を除き公布から20日後で、過去の被害は対象外となる。施行後2年をめどに見直しを検討する。
参院の可決時に採択された付帯決議では、速やかに行政措置の基準を示す▽配慮義務の内容についても具体例を示す――など16項目が盛り込まれた。
岸田文雄首相は成立後の記者会見で「被害者がこの制度を利用しやすい環境を早急に整備することに全力を傾ける。必要な政府支援を迅速に行い、新たな制度をしっかり運用したい」と述べた。【藤沢美由紀】

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