【廣末 登】ホストにハマって「借金地獄」の女性を風俗へ…「ヤクザの副業」のヤバすぎる実態 元関係者が語った

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筆者は、大学で「社会病理学」の講義を担当している。社会病理学とは、個人、地域社会、各種学校社会や産業社会等々における異常や諸問題を社会学的に研究する学問である。
講義では、これから社会に出てゆく学生諸君にリアルな事例を紹介し、パーソナル・コンプライアンス意識の涵養に努めてもらっている。
社会病理は、日常の中に散見される身近な学問といえる。たとえば、梅毒などの性感染症患者の増加現象もそのひとつである。
「梅毒の感染者の、2022年の報告数は8456人(9月11日現在)に達した。現在の調査方法となった1999年以降で最多だった2021年の7875人(速報値)を上回り、過去最多を更新したことになる」(AERA dot.「急増の「梅毒」 なぜコロナ禍で感染者数が過去最多に?専門医が指摘する三つの理由」2022年10月2日)
筆者は、この現象について調査を行った訳ではないが、様々なマスコミ記事を読む限り、梅毒増加の背景には、コロナ禍で増加した「パパ活」などの影響、不特定多数との性交渉があるのではないかと推測する(2022年前半における国立感染症研究所報告では、男性では30代、40代が感染者の過半数を占める。女性は20代が約58%)。
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売買春は、洋の東西を問わず、いつの時代にも存在する。日本では昭和30年代に、赤線・青線地帯が法律で廃止されて半世紀以上が経過した。しかし、そうした違法なサービスが社会から消えることはない。むしろ、SNSの発達によってアングラ化し、当時よりも市場は盛況なのではないかと思うのは、筆者だけであろうか。本稿では、裏社会における売春のカラクリと、それらのサービスに付随して生じる思わぬリスクについて、元暴力団関係者(元暴)のリアルな証言を紹介する(以下は彼の発言)。ヤクザの副業、そのヤバい実態おれは、ガキの頃から女の子の相談相手になりよった……いや、勝手に相談役にさせられていました。街の居酒屋で知り合った女、若いのが連れている女、仕事先で知り合った女と、OLから風俗嬢まで、いろんな女から相談役にさせられた。相談料は、相手が身体で払うという感じですね。これは何も、おれが言い出したんじゃなくて、向こうから提案してくるから、「据え膳食わぬは男の恥」です。ありがたく頂戴していましたよ。当時、もっとも多かったのが、「ホストにハマって借金して首が回らない」というものでした。借金といっても100万円から200万円程度と大した額ではない。Photo by iStock こうした相談を受けると、おれは女がカネ借りているヤミ金に電話して、元金に色付けて一括返済してやった。たとえば、元金が100万やったら、まともに返済したら利子がついて160万とかになるところを、120万でナシつける。このカネは女のシャク(借)になる。で、女には風俗を紹介してバンス(前借)してもらって金を回収する。このバンス分は給料から天引きという具合で返済してもらいました。早く足抜けしたい女には、掛け持ちや裏抜き(いわゆる“本番行為”)をさせて稼がせてやったりもしました。あと、風俗やAVにも女まわしていたし、当時流行った援デリ もあった。勘違いされたら困るけど、これは何も、おれがヤクザだから強制したという訳ではないんです。地方出の女が「稼ぎ方」を知らないから、向こうの依頼に応えて教えてやったという流れです。ギャンブルにハマった結果…数えたことないけど、50人以上は風俗に紹介していると思います。おれが積極的にやったんじゃないですよ。向こうからお願いされるか、フリーランスの金貸しからまわってくる。ホスト狂いの若い子じゃなくて、ギャンブルとか生活費を借りて返せんで、おれにまわってくる女もいます。こういうのは、余りいい女はいない。そうした女は西川口とか巣鴨の三流店に紹介するわけです。前者はNK流本番(いわゆる“本番行為”をサービスとして提供する店のこと。「西川口流」の略称)というのが有名でしたし、後者は5000円で本番もいけるような場末の店ですよ。カネの回収はバンス(店からの前借のこと。若い子はまとまった金額一気に借りられるが、年齢が上がると少額しか難しい)と、女の子からの週払い。毎月2回、店に電話して、女の子の出勤の確認をしてから集金に行くわけです。Photo by iStock おれが店から直接カネをもらったらヤバいんで、一旦は女の手を経由する必要があります。あと、銀行振り込みはダメ。おれの場合、基本は対面で回収していました。 もっとも、これは足が出ることもある。たとえば、おれが仕事で遠方に行ってたとしても、その日が集金日だったら、なんとかして回収に行く。おれは女の借金を肩代わりしてる債務者やったけど、そんな態度は微塵も出さなかったですね。待ち合わせて飯くらいは食わせる。この商売のコツは無理をさせないこと。回収金額も一回に2万~3万円なんですよ。最悪客が付かない子は、1万とかもあったな。しかし彼の「ビジネス」はこれだけでは終わらない。むしろ女性が借金を返し終わった後から、本当の稼業が始まるのだ。彼のビジネスのさらなる闇、そして裏社会の本当の怖さについては【後編】『「“闇のカネ”は、奪っても安全なんです」元暴力団が語った「シノギ」のヤバい現実』で詳しく説明する。
売買春は、洋の東西を問わず、いつの時代にも存在する。日本では昭和30年代に、赤線・青線地帯が法律で廃止されて半世紀以上が経過した。しかし、そうした違法なサービスが社会から消えることはない。むしろ、SNSの発達によってアングラ化し、当時よりも市場は盛況なのではないかと思うのは、筆者だけであろうか。
本稿では、裏社会における売春のカラクリと、それらのサービスに付随して生じる思わぬリスクについて、元暴力団関係者(元暴)のリアルな証言を紹介する(以下は彼の発言)。
おれは、ガキの頃から女の子の相談相手になりよった……いや、勝手に相談役にさせられていました。街の居酒屋で知り合った女、若いのが連れている女、仕事先で知り合った女と、OLから風俗嬢まで、いろんな女から相談役にさせられた。相談料は、相手が身体で払うという感じですね。
これは何も、おれが言い出したんじゃなくて、向こうから提案してくるから、「据え膳食わぬは男の恥」です。ありがたく頂戴していましたよ。
当時、もっとも多かったのが、「ホストにハマって借金して首が回らない」というものでした。借金といっても100万円から200万円程度と大した額ではない。
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こうした相談を受けると、おれは女がカネ借りているヤミ金に電話して、元金に色付けて一括返済してやった。たとえば、元金が100万やったら、まともに返済したら利子がついて160万とかになるところを、120万でナシつける。このカネは女のシャク(借)になる。で、女には風俗を紹介してバンス(前借)してもらって金を回収する。このバンス分は給料から天引きという具合で返済してもらいました。早く足抜けしたい女には、掛け持ちや裏抜き(いわゆる“本番行為”)をさせて稼がせてやったりもしました。あと、風俗やAVにも女まわしていたし、当時流行った援デリ もあった。勘違いされたら困るけど、これは何も、おれがヤクザだから強制したという訳ではないんです。地方出の女が「稼ぎ方」を知らないから、向こうの依頼に応えて教えてやったという流れです。ギャンブルにハマった結果…数えたことないけど、50人以上は風俗に紹介していると思います。おれが積極的にやったんじゃないですよ。向こうからお願いされるか、フリーランスの金貸しからまわってくる。ホスト狂いの若い子じゃなくて、ギャンブルとか生活費を借りて返せんで、おれにまわってくる女もいます。こういうのは、余りいい女はいない。そうした女は西川口とか巣鴨の三流店に紹介するわけです。前者はNK流本番(いわゆる“本番行為”をサービスとして提供する店のこと。「西川口流」の略称)というのが有名でしたし、後者は5000円で本番もいけるような場末の店ですよ。カネの回収はバンス(店からの前借のこと。若い子はまとまった金額一気に借りられるが、年齢が上がると少額しか難しい)と、女の子からの週払い。毎月2回、店に電話して、女の子の出勤の確認をしてから集金に行くわけです。Photo by iStock おれが店から直接カネをもらったらヤバいんで、一旦は女の手を経由する必要があります。あと、銀行振り込みはダメ。おれの場合、基本は対面で回収していました。 もっとも、これは足が出ることもある。たとえば、おれが仕事で遠方に行ってたとしても、その日が集金日だったら、なんとかして回収に行く。おれは女の借金を肩代わりしてる債務者やったけど、そんな態度は微塵も出さなかったですね。待ち合わせて飯くらいは食わせる。この商売のコツは無理をさせないこと。回収金額も一回に2万~3万円なんですよ。最悪客が付かない子は、1万とかもあったな。しかし彼の「ビジネス」はこれだけでは終わらない。むしろ女性が借金を返し終わった後から、本当の稼業が始まるのだ。彼のビジネスのさらなる闇、そして裏社会の本当の怖さについては【後編】『「“闇のカネ”は、奪っても安全なんです」元暴力団が語った「シノギ」のヤバい現実』で詳しく説明する。
こうした相談を受けると、おれは女がカネ借りているヤミ金に電話して、元金に色付けて一括返済してやった。たとえば、元金が100万やったら、まともに返済したら利子がついて160万とかになるところを、120万でナシつける。このカネは女のシャク(借)になる。
で、女には風俗を紹介してバンス(前借)してもらって金を回収する。このバンス分は給料から天引きという具合で返済してもらいました。
早く足抜けしたい女には、掛け持ちや裏抜き(いわゆる“本番行為”)をさせて稼がせてやったりもしました。あと、風俗やAVにも女まわしていたし、当時流行った援デリ もあった。
勘違いされたら困るけど、これは何も、おれがヤクザだから強制したという訳ではないんです。地方出の女が「稼ぎ方」を知らないから、向こうの依頼に応えて教えてやったという流れです。
数えたことないけど、50人以上は風俗に紹介していると思います。おれが積極的にやったんじゃないですよ。向こうからお願いされるか、フリーランスの金貸しからまわってくる。
ホスト狂いの若い子じゃなくて、ギャンブルとか生活費を借りて返せんで、おれにまわってくる女もいます。こういうのは、余りいい女はいない。そうした女は西川口とか巣鴨の三流店に紹介するわけです。前者はNK流本番(いわゆる“本番行為”をサービスとして提供する店のこと。「西川口流」の略称)というのが有名でしたし、後者は5000円で本番もいけるような場末の店ですよ。
カネの回収はバンス(店からの前借のこと。若い子はまとまった金額一気に借りられるが、年齢が上がると少額しか難しい)と、女の子からの週払い。毎月2回、店に電話して、女の子の出勤の確認をしてから集金に行くわけです。
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おれが店から直接カネをもらったらヤバいんで、一旦は女の手を経由する必要があります。あと、銀行振り込みはダメ。おれの場合、基本は対面で回収していました。 もっとも、これは足が出ることもある。たとえば、おれが仕事で遠方に行ってたとしても、その日が集金日だったら、なんとかして回収に行く。おれは女の借金を肩代わりしてる債務者やったけど、そんな態度は微塵も出さなかったですね。待ち合わせて飯くらいは食わせる。この商売のコツは無理をさせないこと。回収金額も一回に2万~3万円なんですよ。最悪客が付かない子は、1万とかもあったな。しかし彼の「ビジネス」はこれだけでは終わらない。むしろ女性が借金を返し終わった後から、本当の稼業が始まるのだ。彼のビジネスのさらなる闇、そして裏社会の本当の怖さについては【後編】『「“闇のカネ”は、奪っても安全なんです」元暴力団が語った「シノギ」のヤバい現実』で詳しく説明する。
おれが店から直接カネをもらったらヤバいんで、一旦は女の手を経由する必要があります。あと、銀行振り込みはダメ。おれの場合、基本は対面で回収していました。
もっとも、これは足が出ることもある。たとえば、おれが仕事で遠方に行ってたとしても、その日が集金日だったら、なんとかして回収に行く。おれは女の借金を肩代わりしてる債務者やったけど、そんな態度は微塵も出さなかったですね。待ち合わせて飯くらいは食わせる。
この商売のコツは無理をさせないこと。回収金額も一回に2万~3万円なんですよ。最悪客が付かない子は、1万とかもあったな。
しかし彼の「ビジネス」はこれだけでは終わらない。むしろ女性が借金を返し終わった後から、本当の稼業が始まるのだ。彼のビジネスのさらなる闇、そして裏社会の本当の怖さについては【後編】『「“闇のカネ”は、奪っても安全なんです」元暴力団が語った「シノギ」のヤバい現実』で詳しく説明する。

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