【藤井 聡】《京大教授の独自調査》「高市早苗総裁」以外に自民党復活はありえない…「増税・媚中・国民軽視をやめろ」という民の声を無視し続ける政権与党の末路

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この度、今回の総裁選挙の機会を借りて、国民の政治意識についての調査研究(注1)を本年9月24日から26日かけて実施し、この度、その結果報告書を(29日午前に)公開いたしました。(京都大学社会都市工学専攻藤井研究室「『自民党支持・経験者』の意識調査報告書〈概要〉」)
調査対象は「自民党支持・経験者」である2000人。具体的には、安倍政権末期から今日に至る6年間に実施された(衆参双方の)「国政選挙」で、一度でも「自民党」に投票した方々を対象としました。
結果は当方としても大変衝撃的な、しかし、いろんな方の声をお聞きしていた中で感じていた空気感を、データで明確に示すものでありました。一言で、結論で得られた「実証的事実」を申し上げると、次のようなものになります。
「『高市総裁』なら現自民支持者の支持が継続され、かつ、自民を離れた旧支持者が再度自民を支持し、党勢が回復することは確実と見込まれる。しかし、『小泉・林総裁』なら失われた自民支持が元に戻らずかつ自民離れが促され自民党の衰退がさらに加速することは必至である」。
調査、ならびにその結果レポートは、下記の大学HPに公開しておりますので、是非、ご覧頂ければと思いますが、ここでは、この結論を導いた分析結果(注2)の概要を簡潔に解説したいと思います。
是非、一般の国民の皆さんはもちろんのこと、党員・党友、そして、現役の自民党国会議員の方々にもご参照頂きたいと切に願っております。
(注1)当方の研究室は長らく「政治心理学」と呼ばれる分野の研究を進めていますが、その一環として、またとないこの「総裁選」のタイミングで、保守層を対象とした国民の政治心理を分析する調査を実施しました。保守と言われる安倍政権からリベラルと言われる岸田・石破政権に代わり、自民党は「保守」と呼ばれる国民の支持を大きく失った状況にありますが、彼らが今、どの様に考えているのかを明らかにすることを目的とした調査を行ったのです。
(注2)この調査では18才以上各年齢階層・性別階層毎に均等サンプル収集し、分析においては母集団分布に合わせるため各サンプルに「重み」を付けた分析を行いました。
まず、この2000人の自民支持経験者の今年7月の参院選の全国比例の投票先は、以下となりました。
この6年間に自民党に一度でも投票した人というのは、潜在的な自民支持者と考えられますが、彼らの内、先の参院選で自民党に投票したのはわずか5割だけに留まっています。では、自民を「離れた」人達はどこに投票したのかというと、やはり国民民主や参政党であった、という実態が見えてきます。
ちなみに、「支持する政党」も別途聞いているのですが、安倍政権末期の頃の自民支持率は「自民党支持率」は72%あったのですが、一方、現石破政権では42%へと「4割」も激減しています。そして、国民民主党、参政党、日本保守党の支持が3~7%ずつ拡大しています。
つまり、自民党を離れた人々は、主として国民民主党、参政党、日本保守党といった保守系野党に流れており、リベラル政党への「流出」は限定的だったわけです。
では、なぜ自民は、潜在的支持者の「半分」にも及ぶ大量の支持を失ったのでしょうか。
その理由が明らかになるのが、コチラの表です。
これは、「かつて自民党に投票していたが、今は自民党に投票していない」と(有効)回答した915人を対象とした表。彼らに伺ったのが、「なぜ、自民党に投票するのを『辞めた』のですか?」という実にストレートな質問です。
その断トツのトップとなった理由が「自民党が国民を大切にしない」というもの。実に50%もの回答者が、自民党が国民を大切にしない政党だから自民から離れていたのです。
その他の主要な自民を離れた理由は、影響の大きい順番に言って「増税」「中国ベッタリ」「移民加速」「減税しない」「農業を大切にしない」「アメリカの言いなり」といった方針を自民が続けているからというものでした。これは要するに、こうした増税や親中、移民加速といった方針こそが「国民を大切にしていない」と国民は見なしている事を意味しています。
そしてさらに重大なのは、自民への投票を辞めた回答者の実に3分の1が「総理が石破茂氏になった」事、約2割が「総理が岸田文雄氏になった」事を、自民党から離れた直接の原因としてあげていることです。つまり、岸田・石破両政権が国民を大切にしない増税・親中・対米従属路線を推進した事が、自民が支持を失った根本的原因であることを示しています。
以上の事実は、自民党が「復活」するには、緊縮・非保守的な「岸田・石破」方針から、積極財政・保守路線への転換が必要であることを示しています。この点を確認するために、以前は自民党を支持していたが、今回の参院選では、国民/参政/保守に投票した旧自民支持者518人に、もしも次の総裁が○○になれば、自民党に投票しますか?と尋ねてみたところ、以下の様な結果となりました。
(注)推計得票率=絶対投票+多分投票×0.8+多分投票しない×0.1
ご覧のように、岸田・石破方針からの転換を強く訴えている高市氏が総裁になれば、今は自民に投票していない自民支持者の3分の2が、今度の国政選挙では「自民に投票する」と回答しています。一方で、小泉氏や林氏が総裁になったら、彼らの大半(7~8割)が自民党に戻ることはないという結果となりました。
こういう結果となったのは偏に、林・小泉氏が「岸田・石破路線」をそのまま継承すると言っている一方、高市氏はその方針を保守・積極財政路線へと大転換させると主張しているからだと考えられます。
ついてはその点を確認すべく、各候補者がどの様な候補者だと見なされているのかを、全サンプルを使ってまとめたみたものが、次の表です。
このデータは、それぞれの項目について各候補者がどれ程当てはまるのかを一つ一つ回答者に、全くあてはまらない場合は「1点」、強く当てはまる場合は「7点」の七段階で評価してもらったものです。伺った項目は、表に示した7つ政策項目ですが、これらは全て、今、国民が求めている政策態度ばかりです。
さて、上記の表に着目すると、全項目について高市氏が、最も高いスコアをとっていることが分かります。これはつまり、今、人々が求めている「減税」「積極財政」「移民抑制」「親中派でない」「トランプと渡り合える」「保守的」という傾向を「全て」「最も」色濃く持っている候補者が高市氏だったということを意味しています。これこそ、高市氏ならば離れた党員が最も多く戻ってくる候補者であることの理由です。
一方、小泉氏は「移民抑制」や「保守」という側面において「最も低く」評価されており、林氏は「減税」「積極財政」「親中派」「アメリカと対等」においてやはり「最も低く」評価されていました。つまりの小泉・林氏は、潜在的な自民の支持者達が求める政治家像からは、最もかけはなれた候補者達だったわけです。これこそ、彼らが総裁になっても、離れた自民票が殆ど戻ってこない根本的理由なのです。
以上は自民党から「離れた」人々を対象とした分析ですが、最後に「現在でも自民を支持している人々」(1004人)を対象とした分析をご紹介しましょう。その結果がコチラです。
(注)推計得票率=絶対投票+多分投票×0.8+多分投票しない×0.1
これは、「自民党が○○という政策方針の政党なら、次の選挙で投票しますか」を伺った結果です。
ご覧のように、その傾向は、「自民党を離れた人々」と殆ど同じであることが分かります。
つまり、現在未だに自民党を支持し続けている人々も、「緊縮財政」「増税」「対米従属」「親中」「移民」「(中道)保守回避」「防衛回避」といった「緊縮&非保守的政策」が推進されれば、今後投票しなくなる、という可能性を明確に持っているのです(例えば、増税するなら36%しか投票しない一方、減税すれば73%もが投票すると回答しています)。
つまり、現状の自民党の「緊縮・保守回避政策」が推進されれば、自民党はますます党勢を失うこと必至なのです。それを逆に言えば、「積極財政・保守」政策が推進されれば、自民党を支持し続ける可能性が高くなることが、改めてデータで示されたのです。
以上の結果を簡潔にまとめると、次のようになります。
1)自民は過去6年の間に「4割以上」支持を失い、国民/参政/保守に支持が流れたのだが、それは、「石破・岸田氏が総理」(35%&20%)になり「増税・中国ベッタリ・移民受け入れ・減税回避・農業軽視・対米従属」という「国民を大切にしていない」政策方針が推進されたためだった。
2)だから、そうした方針を推進すると目されている林・小泉氏が総裁になれば、今、自民から離れてしまった票はほとんど戻ってこない一方、積極財政かつ保守路線へと大きく政策転換を果たすと宣言している高市氏が総裁になれば、失われた票の多くが自民に戻ってくるということになる。
3)しかも、「現在、自民に投票している人」においても自民党が「緊縮・増税」「親中・対米従属・移民推進」「保守・防衛回避」等の「緊縮&非保守的政策」を推進すれば、自民党に投票しなくなる傾向が濃厚にあるという結果も示された。したがって、林・小泉氏ならば、失った票を取り戻す事ができないばかりで無く、現在自民を支持している人々にも愛想を尽かされ、自民支持はますます縮小していくことが必至である。
以上が分析の結果ですが、これらをまとめて結論付けると、以下となります。
「次期総裁が高市氏になれば、失った自民支持の3分の2が戻ると同時に現状の自民支持者達も自民党の支持を継続し、『党勢回復』は確実だと考えられる。一方で、小泉氏・林氏が総裁となれば、殆ど党勢回復が望めないどころか、ますます自民離れが加速し、自民党の衰退は必至である」
以上はあくまでも、公正中立に淡々とデータを集め、分析して結果えられたデータを虚心坦懐、解釈して得られる結論です。
つまり国民がその潜在意識の中で求めている総理・総裁は、高市氏のような積極財政で保守的政策を推進する政治家なのであり、決して小泉氏・林氏のような緊縮財政的で非保守的な政治家ではないのです。
はたして自民党は今回の総裁選で、国民が潜在意識で求める政治家を総裁にすることを通して復活を遂げ、日本を実際に救うのか、それとも、国民の意識を無視して自分たちの党利党略ばかりを追い求め、自滅の道を付き進むのか、固唾を飲んで、その行方を見守りたいと思います。
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