ベトナム人実習生乳児遺棄 有罪判決見直しか 最高裁が弁論指定

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熊本県芦北町で2020年11月、死産した双子の遺体を遺棄したとして死体遺棄罪に問われたベトナム人技能実習生、レー・ティ・トゥイ・リン被告(23)の上告審で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は、弁論期日を23年2月24日に指定した。結論を変更する際に必要な弁論を開くため、被告の無罪主張を退けて懲役3月、執行猶予2年の有罪とした2審・福岡高裁判決(今年1月)を見直す可能性がある。
「誰にも相談できず」外国人実習生 赤ちゃん遺棄、なぜ相次ぐ 弁論期日の指定を受けてレー被告は「とてもうれしいです。私の無罪主張に、最高裁の裁判官が耳を傾け、ぜひ無罪判決を言い渡してくれることを願います」とコメントした。 被告は20年11月、芦北町の自宅で死産した双子の男児の遺体を段ボール箱に入れたうえ、自室に置き続けて遺棄したとして熊本県警に逮捕され、翌12月に起訴された。被告は実習生としてミカン畑で働き、収入の大半を母国に送金していた。検察側は1審・熊本地裁、2審・福岡高裁の公判で「出産が周囲にばれれば帰国させられると思い、出産を隠そうとした」と主張した。 これに対し弁護側は、被告は母国の慣習に従い遺体にタオルをかけ、双子の名前や弔いの言葉を書いた手紙を段ボールの中に入れていたと主張。「被告は埋葬するつもりで遺体を安置したに過ぎない」として死体遺棄罪の成立を争った。 1審判決(21年7月)は死体遺棄罪について「一般的な宗教的感情を害するような状態で、遺体を隠したり放置したりすることだ」と指摘。被告が段ボール箱を二重にして遺体を入れていたことから「遺体が外から分からないようにした。正常な埋葬の準備ではなく一般的な宗教的感情を害する」と、懲役8月、執行猶予3年を言い渡した。 一方、2審判決は、段ボールを自室に置き続けた行為は「遺棄には当たらない」として1審判決を破棄。ただし、遺体を段ボールに入れた行為については「他者が発見するのを困難にした」として死体遺棄罪の成立を認め、量刑を懲役3月、執行猶予2年に減じた。 弁護側は「死体遺棄罪の適用に当たっては、行為者の死者への感情や、国内外の多様な宗教の慣行が配慮されるべきだ。1、2審は適用を誤った」として上告した。一方で検察側は上告していない。刑事訴訟法は検察側が上告しなかった場合、2審判決よりも重い刑に変更することを禁じている。【遠山和宏】
弁論期日の指定を受けてレー被告は「とてもうれしいです。私の無罪主張に、最高裁の裁判官が耳を傾け、ぜひ無罪判決を言い渡してくれることを願います」とコメントした。
被告は20年11月、芦北町の自宅で死産した双子の男児の遺体を段ボール箱に入れたうえ、自室に置き続けて遺棄したとして熊本県警に逮捕され、翌12月に起訴された。被告は実習生としてミカン畑で働き、収入の大半を母国に送金していた。検察側は1審・熊本地裁、2審・福岡高裁の公判で「出産が周囲にばれれば帰国させられると思い、出産を隠そうとした」と主張した。
これに対し弁護側は、被告は母国の慣習に従い遺体にタオルをかけ、双子の名前や弔いの言葉を書いた手紙を段ボールの中に入れていたと主張。「被告は埋葬するつもりで遺体を安置したに過ぎない」として死体遺棄罪の成立を争った。
1審判決(21年7月)は死体遺棄罪について「一般的な宗教的感情を害するような状態で、遺体を隠したり放置したりすることだ」と指摘。被告が段ボール箱を二重にして遺体を入れていたことから「遺体が外から分からないようにした。正常な埋葬の準備ではなく一般的な宗教的感情を害する」と、懲役8月、執行猶予3年を言い渡した。
一方、2審判決は、段ボールを自室に置き続けた行為は「遺棄には当たらない」として1審判決を破棄。ただし、遺体を段ボールに入れた行為については「他者が発見するのを困難にした」として死体遺棄罪の成立を認め、量刑を懲役3月、執行猶予2年に減じた。
弁護側は「死体遺棄罪の適用に当たっては、行為者の死者への感情や、国内外の多様な宗教の慣行が配慮されるべきだ。1、2審は適用を誤った」として上告した。一方で検察側は上告していない。刑事訴訟法は検察側が上告しなかった場合、2審判決よりも重い刑に変更することを禁じている。【遠山和宏】

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