兵庫県警は７日までに、Ｋ―ＰＯＰの人気グループ「ＢＴＳ」のジョングクを名乗って、ロマンス詐欺を働き、他人名義のキャッシュカードでＡＴＭから不正に現金を引き出したとして、窃盗容疑で東京都江戸川区に住む無職のベトナム国籍の男ら３人を逮捕した。この“出し子”たちは不審に思われないようスーツを着用していたが、なぜか１人だけ学生服を着ていた。
今年１０月、和歌山県の４０代女性にＳＮＳを通じて「ＢＴＳ」のジョングクを名乗る英語のメッセージが届いた。「女性の誕生日に来日する」として、渡航の飛行機代約２１万円を求める内容で、女性は現金を振り込み、男らのうちの１人が引き出していた。県警は男らの自宅などから現金約１０００万円やキャッシュカード１４３枚などを押収。カードの口座には昨年１０月以降、計約３億３２００万円が振り込まれていた。国際ロマンス詐欺などの被害金とみて調べている。
国際ロマンス詐欺の被害に遭うのは、中高年が多いといわれている。中高年になってからＳＮＳを使用すると、真偽を判別しにくく、だまされることへの免疫がない上に「もしかしたら会えるかも」と淡い期待を抱いてしまう。また、“ダメ元”で数万～数十万円を払う金銭的余裕もあるからだ。
一方、子供時代からＳＮＳに慣れ親しんでおり、学校教育でもＳＮＳの使用法を学んでいる若い世代は、会ったこともない人からの友達申請やメッセージを無視する習慣が肌に染みついている。当然、ジョングクからメッセージが来るわけないと即断するだろう。
今回の事件では、逮捕された１人がＡＴＭの防犯カメラに写っても怪しく思われないよう、学生服を着ていたというから驚きだ。
中国人ジャーナリストは「実店舗でスーツはどこでも売ってますが、学生服を入手する方が難しい。だから、ネットで購入したんでしょう。ベトナム人なのでスーツを英語で『ＳＵＩＴ』と検索したら、中古学生服が候補に出てきたんだと思います。ビジネススーツは高いですが、学生服は１０００円ぐらいで売ってます。しかも、ベトナムは社会主義国なので、人民服が正装だった時代もあり、学生服は人民服と似ています。学生服を正装と勘違いしたんでしょう。まだ日本になじんでいない、来日して間もない犯人たちなんだと思います」と指摘した。