《都内を襲うクマ被害》「筋肉が凄い、犬と全然違う」駐車場で目撃した“疾走する熊の恐怖”、行政は「檻を2基設置、駆除などを視野に対応」

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昨今、都内でもクマの出没が相次いでいる。東京・奥多摩町では8月23日、渓流釣りに訪れていた男性がクマに襲われてけがをし、町が緊急に注意を呼びかける事態となった。さらにその数日前には、より市街地に近い青梅市でクマの目撃情報が寄せられていた。
【写真】都内でも目撃された疾走するクマ
8月20日午前8時すぎ、青梅市の駐車場内で「明石工業」の明石健人さんは、クマを目撃したという。
「8時半ごろに車で職場に向かっていたところ、突然左側から全速力で車の目の前を通過する黒い物体が見えたんです。直ぐにクマだと分かりました。大きさはゴールデンレトリバーくらいなんですが、もう筋肉が凄いんです。腕や足が太くて、犬やタヌキなんかと全然違いました。それに頭も大きいですし。走り方も、映像で見るクマの走り方でした」
目撃されたクマは、特に興奮した様子はなかったものの、すごいスピードで走っていたという。
「おそらく山から降りて、この辺に迷い込んでしまったのかもしれませんね。そのまま全速力で、右手の上の方へ駆け上がって行ったんですよ。
クマがどこに行くのか気になったので、Uターンしてすぐに車で追いましたが、姿は見えませんでした。20~30キロくらいのスピードで走っていたんじゃないですかね。すぐに仕事先に『クマが出ました』と報告しました」
明石さんの通報を受け、その後、猟友会や警察が現場に駆けつけ、対応に当たった。NEWSポストセブン取材班が入手した現場付近の防犯カメラの映像には、駐車場を疾走するクマの様子がはっきりと記録されていた。
「(猟友会から)ツキノワグマで、親グマだと説明を受けました。僕は1年半くらい仕事の関係でこの辺りにきていますが、鹿を見たことがある人には会ったことがあるんです。ただクマに関しては『青梅は出るらしいよ』と、冗談で聞いたくらいで。まさか本当に出くわすとは思いませんでした。車に乗っていたから無事でしたが、もし歩いている時に出くわしていたらと想像するだけで……怖いですね。とにかく被害者がいなくてよかったです」
青梅市役所農林水産課の担当者に取材したところ、地域のクマ事情が年々深刻化していることを明かした。
「LINEのアプリなどで害獣の報告を受けつけているのですが、報告があったら必ず猟友会のハンターを3~4人連れて見に行きます。丸腰だと危ないから、猟銃も携帯します。
例年目撃情報は多いんですけど、今回は特別に多くなってきた感じですかね。去年も多かったのですが、年々多くなっている印象です。今年に入ってからすでに26件の目撃情報があります。昨年は32件だったので、ペース的には今年の方が早いですね」
さらに、20日に目撃されたクマについては、市としてすでに対策に乗り出しているという。
「クマが目撃された翌日にクマの捕獲檻2つを設置しています。檻を設置した周辺は、ちょうど山の中で建物もない発砲可能なエリアなんです。檻に入れば駆除などを視野に入れながら対応するつもりです」
全国で被害が拡大する中、都内も決して「安全地帯」ではないようだ──。

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