「アフリカから移民がやって来るのでは!?」と騒動になった国際協力機構(JICA)のホームタウン問題で27日、炎上のきっかけとなった「タンザニア・タイムズ」の記事が修正されたことが分かった。前日にはナイジェリアの大統領府のホームページに「特別ビザ制度を創設する」という文言もあったが、これも削除された。それでも炎上は収まらず、当該の地方自治体は疲弊している。
JICAは先日、「JICAアフリカ・ホームタウン・サミット」を開催し、山形県長井市がタンザニアの、新潟県三条市がガーナの、千葉県木更津市がナイジェリアの、愛媛県今治市がモザンビークのそれぞれホームタウンになると認定していた。
この認定は長井市が東京五輪・パラリンピックでタンザニアのホストタウンになっていたように、各自治体がそれぞれの国と縁があったことで、より国際交流を続けてほしいという意図だった。
ところが、ナイジェリア大統領府が「(日本政府が)高い技術を持つ若者に特別なビザ制度を創設する」と説明したり、アフリカメディアで自治体がアフリカの国のものになるかのように報じられたりしたことで炎上していた。
きっかけの一つが「タンザニア・タイムズ」の18日付「日本が長井市をタンザニアにささげる」という記事だった。「ささげる」を意味する「Dedicates」が使われていたことで日本のSNSが反応したのだ。
長井市の担当者は同紙の報道に「大変迷惑しております」と語り、JICAも現地の報道に訂正を申し入れるとしていたが現在どうなっているのか。
確認すると、「Dedicates」が「Designates」に変更され、「日本が長井市をタンザニアに指定」という見出しになっていた。同紙の記事では「譲渡する」や「与える」を意味する「awarded」が使われていたこともSNSで不安視されていたが、この単語も同じく「designated」に変更されている。
一方、この問題は「BBC NEWS PIDGIN」というBBC系のニュースサイトでも取り上げられて、その内容が疑問視されていた。改めてチェックするとホームタウン制度を取り上げた記事の終わりに「日本政府の発表を反映する追加リポートが含まれています」とあり、日本サイドが移民や特別ビザを否定したという記述を加えて修正がされたようだ。
政府やJICAが移民を否定したことで騒動は沈静化してきたが、この数日間だけで4自治体にたくさんの問い合わせが殺到。ある自治体の関係者は「問い合わせは市外からの方が多いのではないか。関西弁の方もいた。回線を増やして対応している」と疲れ切っていた。