「なぜ熊を殺した」「行くのが間違い」役場に抗議100件…地元猟友会は「人を襲うのは稀」も対策を求める《羅臼岳ヒグマ死亡事故》

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8月14日、北海道・知床半島の羅臼岳の登山道で友人と歩いていた東京都在住の会社員が突如ヒグマに襲われた。被害者は林の中に引きずり込まれて行方不明となり、翌15日に遺体で発見された。
【衝撃写真】自宅に侵入し、コタツからこちらを見ているクマ。テレビは倒され散乱している状態に
同15日に、現場付近で地元のハンターによって親子のヒグマ3頭が駆除され、DNA鑑定の結果、駆除されたヒグマが男性を襲った個体であることが道から発表された。地元の猟友会関係者が地域のヒグマ事情を明かす。
「この地域では年間で2000件ほどクマの目撃情報があるのですが、人を襲うのは本当に稀なので驚きました。ヒグマは本来、用心深く、人間の気配やトラクターの音で逃げていく個体がほとんどなんです。
駆除された母クマが子連れということだった。子供を守るために何かあったとき、親熊は気性が荒くなったりすることはあるものの、普段であれば子連れのクマであっても、こういったことは起きないのですが……」
クマの駆除をめぐる問題といえば、2023年に秋田県美郷町で起きた騒動が記憶に新しい。当時を知る全国紙記者が振り返る。
「秋田県美郷町の畳店にクマの親子3頭が侵入し、捕獲後に猟友会によって駆除されました。地元住民などからは『安心した』という声が上がる一方、役場には『駆除しないでほしい』などの抗議の電話が殺到しました。その多くが県外からの電話でした。
騒動はエスカレートし、『クマを殺すならお前も死んでしまえ』といった過激な電話も相次いだ。事態を重く見た当時の秋田県知事が『これに付き合っていると仕事ができません。業務妨害です』と、強い口調で言及するまでに発展していました」
そして今、同様の事態が羅臼岳の麓、斜里町の役場で起きている。担当者が明かす。
「それぞれ何件とは言えませんが、100件ほど電話が来ていると思います(18日取材時点)。危ないからそもそも登山道を閉鎖するべきだったというご意見や、そもそも熊がいる場所だから行くのが間違えているとか、殺すことに対してそれぞれ賛否の意見を頂いております」
こうした混乱の中、前出の猟友会関係者は、ヒグマの生息地に入る際に取るべき対策の重要性を改めて強調する。
「狩猟をする僕らからしても、ヒグマはおっかないんです。ヒグマを追いかければ、向かってくることもありますから。効果はあると思うので、熊鈴だったり熊よけのスプレーは持参したほうが絶対によいと思います。
私達も熊よけスプレーは持っていきます。鹿を狩猟するなどで山に入るときも、熊と出くわすことがあるので持っていきます。それから、報道にあったような『車内からお菓子をあげる』ような行為は絶対に控えていただきたいです。それで味を占めて学習しちゃうと、人間に近寄ってしまいますから」
相次ぐクマ被害に対策が求められている。

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