《告発》「ひとめぼれしました…」60代『出前館』配達員男が女性宅ポストに恐怖の手紙 被害者女性が耳を疑った運営元の対応

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「あの日以来、帰宅するときは周りを見渡してからでないと部屋に入れなくなりました。部屋の中にいても外で小さな物音がするだけでビクッとなったり、怖くてベランダで洗濯物を干すこともできなくなりました。一刻も早く引っ越したいのですが、日々の生活で手一杯ですぐにはできません。平穏だった生活が壊され、本当に悔しいです」
【写真】配達員の男性が残した手書きの「恋文」 NEWSポストセブンの情報提供フォームに寄せられたのは、デリバリーサービス「出前館」の配達員男性からの迷惑行為で「毎晩、怖くて眠れない」というAさんの悲鳴だった。

現在、愛知県名古屋市に住むAさん(40代)は、アパート1階の部屋で小学生の子どもと暮らすシングルマザーだ。「介護関係の仕事をしており、帰りが遅くなった時や、雨の日に月に1、2回ほど出前館を利用していました。私は車の運転もできないので、子どもの好きなピザやパスタなどを手軽に注文できて出前館は本当に便利でした。でも、もう利用していません……」(Aさん) 育児に欠かせなかった宅配サービスを辞めざるを得なくなったAさんが、恐怖体験の一部始終を振り返る。「7月16日の午後2時頃にいつも通り出前館でパスタを注文し、15時半過ぎに商品が届きました。しかし、夕方に予定があったので外出しようと玄関へ向かったところ、玄関にメモが落ちているのを見つけました。メモを手に取ってみると、なぐり書きのような文字が書かれていました」(同前)《なんだか、ひとめぼれしました。TEL080-××××-×××× すみません。》 Aさんから見せてもらったメモには宛名も差出人の名前もなかったが、明らかに好意を寄せるような内容だった。Aさんが続ける。「配達後、家には誰も出入りしていなかったので、メモを投函したのはすぐに配達員の方だと思いました。家の外にあるポストではなく、玄関に備え付けられたポストからメモが投函されていて、手を差し込んで入れたのかもしれないと思うと、余計に気持ち悪さを感じました。配達員の方と接触したのは数秒で、フードの受け渡しの時に『ありがとうございます』と会話しただけで、顔も覚えていません」 その後、Aさんが自宅のインターホンを確認すると、出前館の帽子を目深に被って顔を隠すように映る配達員の男性が記録されていた。デリバリーサービスで急増するトラブル コロナ禍で外食を控える人が多いなか、スマホのアプリをタッチすれば、食べたいご飯が数十分で自宅に届くデリバリーサービスの需要は拡大を続けている。一方で、近年はAさんのように配達員と客との間でトラブルも急増している。全国紙社会部記者が語る。「2021年1月にウーバーイーツの配達員だった38歳の男が帰宅途中の女子高生をスタンガンで脅そうとして、強制わいせつ未遂で逮捕されました。複数の防犯カメラに配達バッグを背負った男が映っており、配達をしながら女性を物色していたようです。 今年11月にも配達員が低評価をつけられた女性宅を再訪し、玄関のドアにカレーをまいたとして住居侵入容疑で逮捕されました。便利なサービスですが、個人情報などのセキュリティにかかわる問題も浮上しています」 身の危険を感じたAさんは勤務先の上司に相談。心配した上司が出前館に連絡をしたが、出前館の対応は想定外のものだったとAさんは語る。。「上司から出前館に、『本人(配達員の男)を問い詰めると、逆上して何をするかわからないので、責任者と慎重に話を進めたい』と伝えてもらいました。すると、7月25日に出前館から連絡があり、『本人に確認したところ“もう行きません”と言っています。個人情報の記録も配達員はもう見ることはできません』とのことでした。報復が怖いから慎重にとお願いしていたのに、勝手に出前館側が配達員の男性に連絡してしまったのです。配達員の男性は自宅と私の名前と顔、電話番号も知ってしまっています。とても軽率な行動だと思います」 Aさんは「謝罪をしたい」と話していた出前館からの連絡を待ったが、数日経っても連絡はなかった。仕方なくAさんから出前館に問い合わせたところ、返ってきたのは耳を疑う担当者の発言だった。「担当者は本部からの通達を読み上げる感じで『配達員とは業務委託の契約なので出前館としては責任は持ちません。何か被害があるのでしたら、警察へ行ってください』と、一方的に言ってきました。最近はフードデリバリーの事件が多いので、すべてに会社が対応していたら大変なのはわかりますが、『出前館』という看板を背負わせているのですから、責任はあると思います。 私は出前館を信頼して利用していました。配達員ももちろん許せませんが、業務委託だからといって、開き直る出前館の姿勢も許せません。こちらだけが怖い思いをして泣き寝入りするしかなく、本当に悔しいです」出前館と配達員で交わされている「規約」 出前館と配達員には「個人配達業務委託に関する規約」が存在する。今回、配達員の男性が行った行為は第10条(秘密保持及び情報管理)2項《(2)配達業務の履行以外の目的で秘密情報を使用しないこと》に抵触する可能性がある。 しかし、取材班が配達員の男性を直撃すると、「やましい気持ちはない!」と反論した。「私には結婚して10年の19歳年下の嫁さんと子どもいますので、やましい気持ちなんてまったくありませんよ。あれは私が投函したわけではなく、嫁さんの誕生祝いに渡そうと思っていたメモをポケットに入れていたら、いつの間にかなくなっていました。通りがかりの誰かが拾って、大事な手紙と勘違いしてポストに入れたんじゃないかと思っています。私もまったく意味がわからないですよ」 まもなく63歳になるという配達員の男は2年前から出前館に登録。本業の合間の副業アルバイトとして休みの日に週1回ほど配達業務をしていたという。Aさんについては「顔も覚えていない」と話す。「その方の名前もどこの地区でどんな家かも記憶がないし、誰のことを言っているのかもわかりません。何件も配達で回りますし、住所は配達が終わると記録が消えてしまいます。出前館からは、そのことで『クレームが来ているので、もう二度とやらないでください』と言われました。 先月初めに配達しましたがもうやっていません。私は神様に誓って犯罪歴も何もない真面目な人間です。今は県外で他の仕事をしていますので、『もう大丈夫ですよ』とそのお客さんにもお伝えください」──妻へのメモに携帯番号を書く必要はないのでは?「いやいやいや、いるんですよ、うちの嫁さんは。あの……、いろいろあってですね。嫁さんは私の携帯番号を把握していなかったり、友達が多いので、よく『ここに電話しなさい』とやっているんです。(被害者の家を再訪したことは?)ないです! 当然ですよ。そんなことをしていたらストーカーと一緒ですよ」出前館サイドの「回答」は 結婚して10年になる妻に「ひとめぼれしました」と書く不自然さは拭えない。配達員の男からは、最後までAさんに対する謝罪の言葉はなかった。出前館に一連の件について問い合わせると、規約に違反していることを認め、出前館の責任については、「お客様が弊社サービスをご利用されることによって生じたトラブルは、弊社が対応するべきものと認識しております。トラブルの内容によっては、弊社での対応と並行してご自身での警察への届け出をお願いする場合もあります」 と、回答した。また、配達員男性への指導に対してはこう説明した。「お客様側からのお申し出を受けた後、当該配達員に対しては事実確認のうえ、厳重注意を行っております。当該配達員が10月に配達業務を行っていたことは事実です」 出前館は迷惑行為を行った配達員男性にそのまま業務を行わせていたのだ。女性にとっては“すいすい”とは水に流せない出来事となった。
NEWSポストセブンの情報提供フォームに寄せられたのは、デリバリーサービス「出前館」の配達員男性からの迷惑行為で「毎晩、怖くて眠れない」というAさんの悲鳴だった。
現在、愛知県名古屋市に住むAさん(40代)は、アパート1階の部屋で小学生の子どもと暮らすシングルマザーだ。
「介護関係の仕事をしており、帰りが遅くなった時や、雨の日に月に1、2回ほど出前館を利用していました。私は車の運転もできないので、子どもの好きなピザやパスタなどを手軽に注文できて出前館は本当に便利でした。でも、もう利用していません……」(Aさん)
育児に欠かせなかった宅配サービスを辞めざるを得なくなったAさんが、恐怖体験の一部始終を振り返る。
「7月16日の午後2時頃にいつも通り出前館でパスタを注文し、15時半過ぎに商品が届きました。しかし、夕方に予定があったので外出しようと玄関へ向かったところ、玄関にメモが落ちているのを見つけました。メモを手に取ってみると、なぐり書きのような文字が書かれていました」(同前)
《なんだか、ひとめぼれしました。TEL080-××××-×××× すみません。》
Aさんから見せてもらったメモには宛名も差出人の名前もなかったが、明らかに好意を寄せるような内容だった。Aさんが続ける。
「配達後、家には誰も出入りしていなかったので、メモを投函したのはすぐに配達員の方だと思いました。家の外にあるポストではなく、玄関に備え付けられたポストからメモが投函されていて、手を差し込んで入れたのかもしれないと思うと、余計に気持ち悪さを感じました。配達員の方と接触したのは数秒で、フードの受け渡しの時に『ありがとうございます』と会話しただけで、顔も覚えていません」
その後、Aさんが自宅のインターホンを確認すると、出前館の帽子を目深に被って顔を隠すように映る配達員の男性が記録されていた。
コロナ禍で外食を控える人が多いなか、スマホのアプリをタッチすれば、食べたいご飯が数十分で自宅に届くデリバリーサービスの需要は拡大を続けている。一方で、近年はAさんのように配達員と客との間でトラブルも急増している。全国紙社会部記者が語る。
「2021年1月にウーバーイーツの配達員だった38歳の男が帰宅途中の女子高生をスタンガンで脅そうとして、強制わいせつ未遂で逮捕されました。複数の防犯カメラに配達バッグを背負った男が映っており、配達をしながら女性を物色していたようです。
今年11月にも配達員が低評価をつけられた女性宅を再訪し、玄関のドアにカレーをまいたとして住居侵入容疑で逮捕されました。便利なサービスですが、個人情報などのセキュリティにかかわる問題も浮上しています」
身の危険を感じたAさんは勤務先の上司に相談。心配した上司が出前館に連絡をしたが、出前館の対応は想定外のものだったとAさんは語る。。
「上司から出前館に、『本人(配達員の男)を問い詰めると、逆上して何をするかわからないので、責任者と慎重に話を進めたい』と伝えてもらいました。すると、7月25日に出前館から連絡があり、『本人に確認したところ“もう行きません”と言っています。個人情報の記録も配達員はもう見ることはできません』とのことでした。報復が怖いから慎重にとお願いしていたのに、勝手に出前館側が配達員の男性に連絡してしまったのです。配達員の男性は自宅と私の名前と顔、電話番号も知ってしまっています。とても軽率な行動だと思います」
Aさんは「謝罪をしたい」と話していた出前館からの連絡を待ったが、数日経っても連絡はなかった。仕方なくAさんから出前館に問い合わせたところ、返ってきたのは耳を疑う担当者の発言だった。
「担当者は本部からの通達を読み上げる感じで『配達員とは業務委託の契約なので出前館としては責任は持ちません。何か被害があるのでしたら、警察へ行ってください』と、一方的に言ってきました。最近はフードデリバリーの事件が多いので、すべてに会社が対応していたら大変なのはわかりますが、『出前館』という看板を背負わせているのですから、責任はあると思います。
私は出前館を信頼して利用していました。配達員ももちろん許せませんが、業務委託だからといって、開き直る出前館の姿勢も許せません。こちらだけが怖い思いをして泣き寝入りするしかなく、本当に悔しいです」
出前館と配達員には「個人配達業務委託に関する規約」が存在する。今回、配達員の男性が行った行為は第10条(秘密保持及び情報管理)2項《(2)配達業務の履行以外の目的で秘密情報を使用しないこと》に抵触する可能性がある。
しかし、取材班が配達員の男性を直撃すると、「やましい気持ちはない!」と反論した。
「私には結婚して10年の19歳年下の嫁さんと子どもいますので、やましい気持ちなんてまったくありませんよ。あれは私が投函したわけではなく、嫁さんの誕生祝いに渡そうと思っていたメモをポケットに入れていたら、いつの間にかなくなっていました。通りがかりの誰かが拾って、大事な手紙と勘違いしてポストに入れたんじゃないかと思っています。私もまったく意味がわからないですよ」
まもなく63歳になるという配達員の男は2年前から出前館に登録。本業の合間の副業アルバイトとして休みの日に週1回ほど配達業務をしていたという。Aさんについては「顔も覚えていない」と話す。
「その方の名前もどこの地区でどんな家かも記憶がないし、誰のことを言っているのかもわかりません。何件も配達で回りますし、住所は配達が終わると記録が消えてしまいます。出前館からは、そのことで『クレームが来ているので、もう二度とやらないでください』と言われました。
先月初めに配達しましたがもうやっていません。私は神様に誓って犯罪歴も何もない真面目な人間です。今は県外で他の仕事をしていますので、『もう大丈夫ですよ』とそのお客さんにもお伝えください」──妻へのメモに携帯番号を書く必要はないのでは?
「いやいやいや、いるんですよ、うちの嫁さんは。あの……、いろいろあってですね。嫁さんは私の携帯番号を把握していなかったり、友達が多いので、よく『ここに電話しなさい』とやっているんです。(被害者の家を再訪したことは?)ないです! 当然ですよ。そんなことをしていたらストーカーと一緒ですよ」
結婚して10年になる妻に「ひとめぼれしました」と書く不自然さは拭えない。配達員の男からは、最後までAさんに対する謝罪の言葉はなかった。出前館に一連の件について問い合わせると、規約に違反していることを認め、出前館の責任については、
「お客様が弊社サービスをご利用されることによって生じたトラブルは、弊社が対応するべきものと認識しております。トラブルの内容によっては、弊社での対応と並行してご自身での警察への届け出をお願いする場合もあります」
と、回答した。また、配達員男性への指導に対してはこう説明した。
「お客様側からのお申し出を受けた後、当該配達員に対しては事実確認のうえ、厳重注意を行っております。当該配達員が10月に配達業務を行っていたことは事実です」
出前館は迷惑行為を行った配達員男性にそのまま業務を行わせていたのだ。女性にとっては“すいすい”とは水に流せない出来事となった。

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