5歳男児餓死、母親のママ友が「指示していない」…初公判で「支配」否認・無罪を主張

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福岡県篠栗(ささぐり)町で2020年4月、5歳の男児が餓死した事件で、母親の「ママ友」で、保護責任者遺棄致死や詐欺などの罪に問われた赤堀恵美子被告(49)の裁判員裁判の初公判が29日、福岡地裁(冨田敦史裁判長)で始まった。
赤堀被告は罪状認否で「(食事を減らす)指示はしていない」などと述べ、無罪を主張した。弁護側も虐待は母親が主導し、赤堀被告は「付き合っていただけ」などとして全面的に争う姿勢を示した。
起訴状では、赤堀被告は知人の碇(いかり)利恵被告(40)(保護責任者遺棄致死罪で懲役5年、控訴中)方の生活全般を支配。両被告は19年8月頃から、碇被告の三男・翔士郎(しょうじろう)ちゃんの食事を減らすなどして痩せ細らせ、20年3月下旬頃には重度の低栄養状態になっていたのに放置し、同4月18日に餓死させた。このほか、碇被告から架空の裁判費用名目などで、計約200万円をだまし取るなどしたとされる。
検察側は冒頭陳述で、両被告はお互いの子が同じ幼稚園に通っていて知り合い、赤堀被告が碇被告に「他のママ友が悪口を言っている」「夫が浮気している」などと、うそを言ったと指摘。信用した碇被告は離婚して生活保護を受給し、赤堀被告が提供する食事のみで生活するようになるなど、赤堀被告が生活全般を支配していたと主張した。翔士郎ちゃんについては、無断で食事をするなどした際は体罰を加え、衰弱状態も認識していたとした。
これに対し弁護側は、赤堀被告は碇被告から夫らとのトラブルを聞いたとし、「(食事をしないなどの)ルールを守るために碇被告に協力を求められた」と主張。碇被告の依頼で金を貸したり、口座から現金を引き出したりしていたとした。また、碇被告の話に疑問を感じていたが、「碇被告に嫌われたくなく、付き合っていた」と説明した。
碇被告の1審で、福岡地裁は翔士郎ちゃんの餓死について赤堀被告の共謀を認定する一方、碇被告は赤堀被告のうそを信じてトラブル解決名目で全収入を渡すなど依存状態にあったと指摘。「(赤堀被告に)生活全般を支配され、被害者の側面がある」として、赤堀被告が虐待を主導したと判断した。

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