夫が「鮭フレーク瓶」に、箸を突っ込み→妻の注意に「カビなんて生えない!」…実際は? 「食中毒になる危険性」「捨てますもん」

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食卓での夫の“逆ギレ”を、むーみん。さん(@me_udone)がXで投稿したところ、118万回以上も表示され、擁護の声が続出。これからの季節、食中毒の可能性が高まる危険もある行動について取材しました。
【写真】夫の返事にビックリ…実際の投稿
息子さんが食べていた鮭フレーク瓶をテーブルに置いていたところ、「食べていい?」と聞いてきた夫さん。息子さんがOKすると、自分がご飯を食べている箸をそのまま瓶に突っ込んだのです。
むーみん。さん宅では、この“直箸”行為は禁止していて、お子さんたちもしっかり守っているそう。すかさず止めると「なんだよ」と夫さんは逆ギレ。「使っていないお箸かスプーンでやって、カビ生えるから」という理由に、「は?生えないから、そんなの見たことないわ!」と返してきたのです。
「自分の唾液がついたやつはアウト」「家族へのテロ行為」「見た事ないだろーねそりゃ。カビ生えたら私達(嫁側)捨てますもん」「YouTuberさんがこれでえらい目に遭った例もあります」「海苔の佃煮とかジャムもダメだよね」「スーパーやコンビニで買った惣菜も直箸するとすぐやられちゃうよ~直箸は全部食べ切る時だけよ~」「冷蔵庫に入れても菌は繁殖します。食中毒起こした事例もあります」「自分専用でないなら中身を取り出す用のスプーンとかを使うくらいの気遣いは欲しい」など、危機感を抱くコメントが続々と寄せられています。
「衛生観念が違うのってホントやだ」と怒りをつぶやいたむーみん。さんと、「(地独)大阪健康安全基盤研究所」に細菌の増殖について取材しました。
――夫さんはこれまでも同じような直箸行為を?
大皿に取り箸をつけても、自分のお箸で取ることが多く、よく注意をします。ジャムも「取るスプーン」と「塗るスプーン」を分けるか、取ったスプーンで塗ったら瓶に戻すことを禁止していますが2度目を取るので全力で止めます。
バターは使うたびにキレイな包丁で切って使うのですが、主人は使っているフォークでバターを切るので私が端っこを包丁で切り落とします。
――むーみん。さんが後処理をされているのですね。
実家にいた頃はマーガリンにバターナイフが入りっぱなしで保管され、父はパンくずが付いたまま戻していました。それが嫌で、使ったあとはティッシュで拭いてから戻していました。
――かねてから「取り分けるカトラリーは別に用意すべき」という意識をお持ちであったと。
一人暮らしをしてからは毎回新しいスプーンやバターナイフを使っています。結婚後は、子どもたちが小学生くらいになった頃からお腹が空いたらすぐに食べれるように鮭フレークや海苔の瓶を常備し、その頃から家族で共有するものは「キレイなスプーンで取る」「使ったスプーンは戻さない」を徹底しています。理由も、腐るから、カビが生えるから、お腹壊すからと伝えてあります。
子どもたちは、いつの頃からか「大阪のソース2度づけ禁止と一緒だね!」と嬉しそうに、楽しくルールを守れています。まだ、実際に本場には行ったことないのですが!
――家族で取り組んでいても、夫さんは変わらず?
コロナ禍では、食事は大皿を減らしたり、大皿や鍋の場合は必ず取り箸で、というルールにしていましたが主人だけ徹底できず、当時も揉めました。
なかなか行動は変わらないですが、瓶物は「全部食べていい?」と聞いて直箸で全部食べるようになったので気にしてるのかな?とは思います。
私の中で、瓶物は“子どもたちの非常食”的な感じでして、私がすぐにおかずを出せない時に食べるのですが、主人にとっては一食として完結させる“ただのおかず”なのかもしれません。
――コメントをくれていた方々は概ね衛生観念がきちんとされてらっしゃるようでした。
「有名なYouTuberさんが、鮭フレークで救急搬送された」というコメントが多く、存じ上げなかったので驚きました。ただ、中には直箸を批判した私を責めるコメントもあり、衛生観念の違いに戸惑いました。
「ルールを押し付けられてかわいそう」ともありましたが、お腹を壊す子どもがかわいそうなのでゆずれません。コメントにあったキムチも、主人は納豆を混ぜた箸で取るのでその時点でキムチは主人のものです。新しく買い直します。
――健康を守るために徹底されているのですね。
私も子もアレルギー体質で、カビへのアレルギーがあります。何年か前に、カビの生えた食材が入った容器の蓋を開けた瞬間にカビがすごい勢いで広がった映像をテレビで見てからは、カビを気にしています。
鮭フレークを食べようと瓶の蓋を開けて、もしカビが生えていたら子どもたちは食べないと思います。でも、瓶を開けた時点で子の健康は害されます。それが嫌なのでルールを徹底していますし、ただひたすらに子の健康を第一に考えています。
食べ物の鮮度にこだわるのも、義母にもらった魚を食べて食中毒で救急車で運ばれた辛い経験があるからです。そのため下の子は7ヶ月で母乳をやめました。食中毒、本当に怖いです。
今回のむーみん。さんのお話を聞き、公衆衛生向上のための各種検査や研究を行っている「(地独)大阪健康安全基盤研究所」(大阪市東成区) 微生物部 細菌課長 河合高生さんにお話をお伺いしました。
――「使っていた箸を直接鮭フレークの瓶に入れて中身を取り、再度蓋をして保管する」とした場合、衛生状態に変化は?
箸に付着していた細菌が瓶内の鮭フレークに付着するかもしれませんが、適切に冷蔵保管されれば、付着した細菌が急に増えることはないと考えます。
一般論としてですが、細菌性食中毒を想定した場合、少ない菌量で感染するような病原細菌でない限り、人体に危険性はないかと。
ただし、冷蔵でも増殖可能な細菌は存在します。
――では、これからの季節の常温の室内空間(25℃~30℃くらい)に置いておいた場合、この鮭フレークを食べたときに、人体(健康)に影響を及ぼす可能性は?
ヒトが保菌する「黄色ブドウ球菌」が付着してしまった場合、本菌は耐塩性が高いために鮭フレークで優位に増殖して、食中毒の原因となる「エンテロトキシン」を産生する可能性があります。
発症毒素量以上の「エンテロトキシン」を摂取すると、喫食後短時間で嘔吐や下痢等を発症します。
ただ、「黄色ブドウ球菌」すべてが「エンテロトキシン」を産生する訳ではなく、非産生のものも存在します。また、「エンテロトキシン」の産生には、食品やその成分の影響を受けるので、「黄色ブドウ球菌」が増殖したからといって必ずしも産生されるというものでもありません。
――においの変化は?
鮭フレークを使って「黄色ブドウ球菌」の増殖実験をしたことはないですが、においは変化しないと考えます。
――唾液に含まれていた菌が作用すると考えられますか?
唾液に細菌が含まれているかどうかまではわかりません。唾液以外の口腔粘膜等の他の部位に存在している可能性があります。
――鮭フレークのほか、ジャムや海苔の佃煮の瓶、味噌、バターなどは都度乾いたスプーンやナイフなどで取り、食品のカスや成分が付かないようにして、冷蔵保存すれば衛生状態は保てますか?
カトラリーの食品に接する部分が清潔で、かつ、長期間の冷蔵保存をしなければ衛生状態は保たれると考えます。 とはいえ、冷蔵でも増殖可能な細菌は存在します。
◇ ◇
今回の直箸について、むーみん。さんのご実家での経験然り、特に衛生管理や共用のものに関しては、価値観の違いや育った環境が大きく関わってきそうです。
衛生観念というよりも、そもそも“カトラリー(フォーク、ナイフ、箸など)を別に用意する”という行為自体を億劫に感じる人もいることでしょう。しかし、一般生活の中で我々がどんなに健康に過ごしていても、何か保菌している可能性は否めません。
感染症の予防や、食べ物からの健康被害を避けるためにも、瓶モノや保存食を取り分ける際には清潔なカトラリーを使用し、直箸を避け、開封後は冷蔵庫で保存して早めに食べ切るのが一番良さそうです。
これからますます気温も上昇し、食べ物への悪影響が予想されます。食品やナマモノの取り扱い方、保存方法、「安全に食べられる期間」である消費期限、お弁当の保管方法についてなど、改めて確認してみましょう。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 真弓)

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