いま日本で謎の死が増えている――。コロナ禍以降、有名人が癌で亡くなるニュースが相次ぎ、癌の死亡者数が急増しているのはなぜなのか。効果が疑わしいワクチンや無意味な医療を、国や医療界が推奨し続ける背景には何があるのか。日本の医療界に潜む巨大な闇に、地域医療で奮闘する在野の医師がメスを入れる正義の一冊!6月5日発売の新刊『何かがおかしい 「がん急増」の謎』より抜粋・再編集して、内容の一部をお届けする。
『何かがおかしい 「がん急増」の謎』連載第15回
『若者の「突然死」が増えているのはなぜか…急増する「不慮の事故」の背景に浮かび上がる「ワクチンの悪影響」』より続く。
もう一つ、気になるデータがあります。いま日本で「老衰」の死亡数が急増しているのです。
そもそも老衰とは、「高齢の方の自然死」のことです。加齢により肉体が衰弱して、具体的な病名がないのに、自然に亡くなった、といった場合が「老衰」です。ただ、臨床現場の感覚で言うと、実のところ、「他の死因も混じっている」のが実状です。
90歳、95歳となって、だんだんご自宅で寝たきりになり、とうとうお亡くなりになられた場合、本当の死因は「がん」とか「肺炎」であったとしても、それを完全に明らかにはせず、「老衰」とするケースが多いからです。
死因を正確に突き止めるには、場合によっては解剖も必要になります。在宅医療を利用しながらご自宅で療養されていて亡くなった場合、入院時より検査もしにくいです。もちろん採血くらいはできますが、CTなどは難しいので、具体的な死因をはっきりさせることができない場合が出てきます。
なので、90歳以上の超高齢者や、寝たきりの高齢者などであれば、ご遺族の考えも尊重した上で、徹底的に調べることはせず、死因を「老衰」としてしまうことがあるのです。
要するに、死因が「老衰」となっていても、本当の死因は別にある可能性が高いわけです。
本当はワクチンの影響で亡くなった場合も、「老衰」にカウントされているかもしれない、ということです。
先ほどのグラフでも、ワクチン接種が始まった2021年から「老衰」が急増しており、ワクチンとの関連性を疑う必要がありそうです。
ちなみに、私は「老衰」の増加自体はいいことだと思っています。
死因を「老衰」とするのは在宅医療を使っている場合が多いのです。入院中や、救急搬送された場合は何かしらの病名がつけられることが多いからです。
要するに、「老衰」が増えたということは、入院して延命治療を受ける患者さんが減り、ご自宅でゆっくり亡くなる方が増えた、ということを意味するのです。
そう考えると、2021年から「老衰」が急増しているのは、「ワクチン接種の影響」ではなく、「在宅医療の利用者が増加したからだ」という意見も出てきそうです。
たしかに近年は在宅医療の利用者が増えており、これが影響したという説にも一定の説得力がありそうです。ただ、データを見ると、それだけでは説明できないのです。
上のグラフは、「病院死」と「在宅死」の割合をグラフ化したものです。
戦後すぐの1950年代は「病院死」が少なく、「在宅死」が多い時代でした。ただ、日本が経済的に発展していくにつれ、「病院死」が増えていきます。70年代に両者が入れ替わり、「病院で死ぬ」のが当たり前になりました。
一方、近年は「在宅死」が再び増えてきています。過剰な延命治療への批判や、個人の幸福、生活の質(QOL)を重視する方が増えたことで、人生の最後を自宅で過ごし、在宅医療を活用される方が増加しているのです。
ただ、グラフ上ではまだまだ病院死のほうが圧倒的に多いのが現実ですので、これをもって「老衰急増」を説明するのは難しい気がします。
【前回の記事を読む】若者の「突然死」が増えているのはなぜか…急増する「不慮の事故」の背景に浮かび上がる「ワクチンの悪影響」