婚約者の友達を…女性会長が見てきた「合コンの壮絶修羅場」

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新型コロナウイルスがきっかけとなり男女の出会い方が大きく変化した。100人以上が集まる出会い目的のパーティーや相席居酒屋、合コンといった旧来からある出会いの形は激減し、出会いを目的としたアプリの利用者が増加している。代表的なアプリ『ペアーズ』は2022年現在で登録者が男女合わせて2000万人となっている。その一方で、アプリにかかる労力の多さから「アプリ疲れ」を感じてリアルの出会いの場を欲している人が戻ってきている。リアルな出会いの代表格である合コンの最新事情や驚きのハプニングなどを一般社団法人日本合コン協会会長・田中絵音氏に聞いた。
「合コン人口が減っているのも事実です。2017年のある調査では合コンしたことのある大学生は約1割しかいないという結果が出ました。現在はさらに減少傾向が続いていると思います。頻繁に合コンしている人々はいるのですが、まったくしない人との二極分化が男女とも進んでいるわけです」
スマホが当たり前の現代社会だと、合コンに限らず出会いや恋愛における場面において、恥ずかしい画像や音声を撮られてSNS拡散されても困る。また、長引くコロナ禍の影響によって複数人での会食も減少。こうした要因で合コンを組むまでに至らなくなっており、マッチングアプリを利用する個人プレーが増えたのではないかというのだ。
ここからは田中さんに最近寄せられた情報の中から、最近起きた合コン現場の悲喜こもごもなエピソードだ。交際相手がいても合コンに参加するという話を耳にすることはあるが、度が過ぎるケースもあるそうだ。
「都内で働くアラサー女性が経験した驚きの合コンの実話があります。大手広告代理店の30代男性との合コンで、序盤から受付風の美人なA子を猛烈に口説いてくる男性がいたんです。一次会の時点で『結婚したい』とまで言ってくる熱の入れようでした。見た目は決してイケメンというわけではないのですが、ものすごいアタックの熱量にA子も若干気持ちがゆらいだようで。しかし、その男性は珍しい苗字で記憶に残りやすい名前だったため、A子はなんとなく聞いたことがあるような記憶があると言っていました」
モヤモヤした気持ちで二次会に進んだ頃にハッと気がついたそうだ。
「なんと、『この男、女友だちB子の婚約者だ』という事実が発覚。その男性は婚約中であることを偽り、A子を口説いていたんです。そして男性に『婚約してるよね? 彼女から聞いてる』と詰め寄ると態度が豹変、青ざめた顔をして弁解を始めました。それも『君とは友だちとして仲良くしたいと思って…』と、嘘つけこの野郎!といったミエミエの弁明。結局、それでこの話は彼女にもバレたものの別れず結婚しました」
田中さんが女性心理を分析すると、B子にとってはせっかく婚約までした彼氏との結婚を白紙にできなかったのだろうし、「彼は最終的に私の元に戻ってくる」といった女の意地ではないかということだ。
現代の厳しい経済事情は合コンにも波及している。20代前半の女性が明かしたエピソードだ。
「異業種交流パーティーで知り合ったアラフォー前後のメーカー勤務の男性から、『4対4で合コンしない? かわいい子を連れてきて』と頼まれたそうです。彼女は、同世代の20代でモデル風ルックスのオススメな女友達を気合いを入れて集めたんです。麻布十番にある肉料理とワインがウリの雰囲気のいいお店で、ひとり5000円くらいの客単価だとネットで見ました。同世代の女友だちとは行かないような高級感あるお店です。
合コンが始まると男性陣が『俺たちに任せといて』とメニューはいっさい女性陣には見せずに、お肉や赤ワインもボトルで頼んでいました。彼らは仕事の話を誇らしげにしながら、羽振りのいい感じで、『バンバン飲もう』なんて言って、場は盛り上がったんです。気がある素振りで口説きモードもチラチラって感じで」
しかし、いざ会計となったときに衝撃の展開が待っていた。
「伝票を見た男性幹事が、『この金額だったら女性5000円かな』と割り勘が当然みたいな…。女性幹事の面目まるつぶれで泣きそうになりました。今って、合コンは男性がおごるのは当たり前という時代ではないので、前もって言ってくれたらいいんです。割り勘なら私たちにもメニューを見せてほしかったし、高いお肉やワインのボトルをバンバン頼まないでほしかった。振る舞いはごちそうモードでプライドも高そうだったのに…。こんな男性たちとはとっとと縁を切りたいと思って、5000円を払ってさっさと帰りました」
田中さんによれば、思ったより費用がかかったことを知ってお金を払うことを渋りたくなり、割り勘を求めるのは恋愛経験が少ない男性陣がよくとりがちな行動パターンだそうだ。さらにひどいのは割り勘なのに領収書をもらって経費で落とそうみたいな男性も珍しくないという。お金はいちばんの合コントラブル原因だ。
ブランド志向が強い女性は合コンにもその傾向が出るというパターンもあるそう。都内で絶賛婚活中の20代前半女性のエピソードだ。
「婚活中で合コン仲間のC子は大手商社マン(それも某1社限定)との結婚に命をかけています」
C子さんはモデル風の派手なルックスでスタイルもいいし20代中盤と文句なしのスペックで、当然ながら多くの男性がよってくるモテる女性とのことだ。
「常日頃から、『私は、その商社の男と結婚する』と断言していました。合コン幹事をよくする友人などにかたっぱしから、『あの商社に勤める人と合コン組んで』と頼みまくっていたんです。実際にその会社に勤める人と知り合って交際まで発展したこともあります(後に別れたことも複数回)。それでも懲りずにその会社の商社マンと合コンを続けているので別れた元彼と遭遇して超険悪な空気になることも珍しくありません。元彼ならまだ許される余地がありますが、その会社に勤めている彼氏がいるのに合コンに行って彼氏の上司に遭遇したのがバレて、修羅場になったこともあるそうです」
それでも最終的にC子さんは目標としていた、その商社マンと結婚したそうだ。商社に限らずターゲット会社限定で彼氏づくりに励むという女性は多いと田中さんは言う。中にはお目当ての会社に派遣社員として働いてゲットしようと画策する子もいるくらい真剣そのものの女性もいるという。
「最近、『若い子たち合コンに行かない、行ったことがない』という話を聞きます。今後の合コンシーンを担う世代なので私たちも注視しているポイントです。今の若者って当たり前にスマホやSNSが身近にあり、あらゆる情報をたくさん知っています。恋愛についても欲望のままに異性を追い求めるというよりは、まず自分にベストな仕事や働き方がを見つけて、経済力をつけた方が素敵な相手にめぐり会えるとわかっているのでしょう」(田中さん)
合コンへ参加したり、彼女をつくる前に、ビジネスや投資の勉強、副業、独立といった「まずは稼げる自分になる」ことを優先しているようだ。
「そして、恋愛より趣味にもかなり時間を割くという人も多く、自分のQOLを優先するので合コンや恋愛が占める労力の比率は下がっているようです。一方で、女性の恋愛傾向としてはコロナによる将来への不安を抱え、若くして婚活にはげんでさっさと結婚していく人も増えています」
コロナとの共存は今後も重要なテーマになりそうだ。
「コロナの感染者増加の波は今後も襲ってくるでしょうし、波が収まった時期とか世の中に対応しながら合コン文化の発展に貢献したいと思います。
実は、合コンの歴史は明治時代までさかのぼる日本独特の文化なんです。私自身、合コン主催や参加回数2000回の経験から協会設立を決意し10年やっています。啓蒙活動として、合コンの知識や主催するノウハウが習得できる資格『合コンマスター』を全国に増やしたり、学生や20代前半の若い層は合コン未経験者が多くいるので、若者向けの合コンイベントもやっていきたいと考えています」
◆田中 絵音(たなか えのん):一般社団法人日本合コン協会 会長
2000回以上の合コンに携わり、2012年に一般社団法人日本合コン協会を設立し、会長に就任。イベントや商品のプロデュース、資格講座の開講などを手がける。また出会い事情や男女問題に精通する恋愛アドバイザーとして活動中。著書は6冊。プライベートでは一児の母。大の日本酒好きで酒師の資格も持つ。
取材・文:片寄量太

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