気付けば2キロ以上歩行も 2歳児の「衝動的行動」の落とし穴

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富山県高岡市の保育園児(2)の行方が20日から分からなくなり、警察や関係者が捜索を続けている。
家族が目を離した隙に1人で自宅から外出したとみられ、捜索範囲は自宅周辺から付近を流れる川などに拡大している。同じ2歳児を巡っては過去にも帰省先などで行方不明となり、大規模な捜索に発展した。2歳児は成長が著しく、好奇心も強くなる時期。2キロ以上歩くこともあり、専門家は衝動的な行動には注意が必要と話す。
はだしで外出か
高岡市の園児は高嶋怜音(れおん)ちゃん。富山県警などによると両親と姉との4人暮らしで、20日午後6時40分ごろ、母親が風呂上がりの姉の髪を乾かしている間に姿が見えなくなった。父親は外出中だった。
怜音ちゃんの身長は約80センチ。当時、水色のパジャマ姿で靴は履いていなかったとみられる。行方不明になった際、高岡市には大雨洪水警報が出ていた。
県警は当初、自宅周辺を軸に捜索していたが手掛かりがなく、自宅のすぐそばにある幅約2・5メートルの用水路や、付近を流れる祖父川などに範囲を拡大。ROV(無人潜水機)やドローンを用いた捜索も行われた。
無人潜水機も駆使
「僕が見つけてしまうのは最悪の事態だ」。日本ROV協会マスターインストラクターの魚谷利仁さん(50)=同県入善町=は複雑な表情を浮かべる。県警と協力し、ボランティアとして24日から祖父川でROVの遠隔操作を続ける。「捜索を河川にまで広げていることをニュースで知り、自分も手助けしたいと思った」という。
祖父川は25、26日の降雨で水かさが一気に増した。ROVはソナーを搭載しており、水の濁りがあったり岩などの障害物があったりしても、水中を詳細に可視化できる特徴がある。
魚谷さんは「僕に見つかるのではなく、一日でも早く無事に別の場所からひょっこり出てきてくれることを願うだけだ」と祈るように話す。
言葉と体で伝えて
怜音ちゃんと同じ2歳の子供の行方が分からなくなるケースは過去にも起きている。大分県佐伯市では平成28年12月、畑にいた女児が姿が見えなくなり、約21時間後に約2キロ離れた山中で保護された。30年8月には、山口県周防(すおう)大島町で帰省中の男児が行方不明になり、3日後に山中で見つかった。この際は男児を発見したボランティアの尾畠春夫さん(82)にも注目が集まった。
「2歳児は急速に発達が進み、『知りたい』『やってみたい』といった好奇心が強くなる時期だ」。幼児教育に詳しい東京家政大の岩立京子教授(発達心理学)が指摘する。
歩行・運動能力も高まり、一般的に2キロ程度歩くことができるが、「興味や目的がある場合、それ以上歩くこともある」(岩立氏)。
一方で大人の話を聞いて理解したり欲求をコントロールしたりする力は弱く、ボールを追いかけて道路に飛び出すなどの衝動的な行動には注意が必要だ。
岩立氏はドアや窓を施錠する、屋外では手をつなぐといった日常的な対策を挙げ、「危険な行動を取った際には『ダメよ』と目線を合わせてゆっくりはっきり注意するなど、言葉と体を使って繰り返し伝えることが必要」と訴える。(木下未希、小川原咲)

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