「身の危険を感じた…」万博の警備員が土下座 弁護士は「カスハラ以外のなにものでもない」と一刀両断

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大阪・関西万博の会場近くで、来場者と見られる男性に警備員が土下座する様子が話題となっている。
ネット上では、「何があったんだろう」「人が土下座をする状況は異常」「土下座する方もさせたがる方も理解できん」などといった書き込みが投稿されている。
カスタマーハラスメントに詳しい弁護士は「カスハラ以外のなにものでもない」と指摘する。
関西万博を主催する日本国際博覧会協会(万博協会)の広報は弁護士ドットコムニュースの取材に対して、警備員が来場者に土下座した出来事は事実としたうえで、「同じことが起きないように検討する」と説明した。
万博協会の広報によると、問題の出来事は4月17日夕方に起きた。
きっかけは、会場の西ゲートの外で警備にあたっていたスタッフが、来場者の男性からバイクの駐輪場の場所を尋ねられたことだったという。
万博協会が警備会社を通じて警備員から聞き取った話によると、警備員は駐輪場のことを詳しく知らなかったため、地図などが載っている「デジタルサイネージ」の場所を案内した。
「なぜわからないのか?」と話す男性に対して、警備員は謝罪し、改めてデジタルサイネージを紹介した。
男性は一旦デジタルサイネージの方に向かったが再び戻ってきたため、警備員は身の危険を感じて土下座をしたという。
警備員は「相手に睨んでいると思われた」という趣旨の話をしたといい、相手の男性から土下座を強要されたわけではなく、警察に被害届を出す意向もないという。
万博協会の広報は「マニュアル上は警備本部に報告するようになっていたが、それが行われていなかった」としたうえで、「警備員に安全に業務に取り組んでもらうため、同じようなことが起きないように検討していきたい」と説明した。
警備員の土下座について、カスハラ問題に詳しい能勢章弁護士は次のように指摘する。
「土下座しろと言ったかどうかは関係なく、土下座に至らせた段階でカスハラ以外の何ものでもありません。
仮に警備員に落ち度があったとしても、他人が見ている前での土下座は行為として不相当です。
土下座をしなければいけないという考えを持たせてしまう企業や発注者側にも問題があると言えます。
企業は従業員に対して、どのような理由であれ土下座をする必要はないと守る姿勢が必要です」
【取材協力弁護士】能勢 章(のせ・あきら)弁護士カスハラ専門の弁護士。カスハラという言葉がない時代からBtoCの企業から依頼を受けて困難なカスハラ案件に数多く従事する。カスハラ対策及びカスハラ対応に関する情報を発信するサイト「正しいカスハラ対策で従業員を守る方法 – カスハラドットコム (kasuhara.com)」を運営している。事務所名:能勢総合法律事務所事務所URL:https://kasuhara.com/

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