東京都教育委員会は今年度、教職員に高圧的な態度をとる「モンスターペアレンツ」への対応マニュアルを策定する。
5月に有識者会議を設置し、被害に遭った際の学校側の対処方法や教職員のケアについて議論する。
都は今月、顧客の暴言や不当な要求から就業者を守る全国初のカスタマーハラスメント防止条例を施行した。条例に基づく指針では、保護者による教職員への不当要求もカスハラ行為に該当するとしている。
都教委は2010年に保護者対応の手引を作成したが、モンスターペアレンツの具体事例に乏しく、学校側がとるべき明確な対応策が記述されていない。都教委によると、モンスターペアレンツへの対応に悩む教職員は少なくないといい、学校現場のカスハラを防ぐために、新たなマニュアル作りが必要と判断した。
一般企業であれば、カスハラをする顧客に対し、取引停止や出入り禁止などの対応をとることができるが、教職員の場合は被害を受けても、保護者との関係を修復する必要がある。学校は他職種と異なる職場環境にあるため、都教委は大学教授や弁護士、労働組合関係者ら7人でつくる有識者会議を設けて議論することにした。年末までに報告書にまとめ、それを基にマニュアルを策定する。
現場の現状把握のため、教職員を対象にしたアンケートや保護者への聞き取りも行う。都教委の担当者は「保護者対応で過度な負担を抱える教職員もいる。未然にトラブルを防ぐため、保護者との良好な関係の築き方もマニュアルに盛り込みたい」と話している。