群馬県高崎市の女子小学生が、警報機と遮断機のない第4種踏切に簡単に設置できる簡易遮断機を発明し、3月末の「第83回全日本学生児童発明くふう展」で入選した。
発明のきっかけは、昨年4月に同い年の女児(当時9歳)が第4種踏切で列車にはねられて死亡した事故で、「もう二度と同じような事故が起きないでほしい」と願っている。(金城英大)
同市立北部小5年女子児童(10)が発明したのは「踏切事故防止!左右確認わたルンバー」。遮断機の両端に設置した二つのボタンを押すとバーのロックが解除され、手動で上げて渡る。渡る前に左右両方に立って安全を確かめてもらう狙いがあり、手動にすることで設置費用を抑えて導入しやすくすることも意識した。
女子児童が作った模型には、見通しの悪い場所を想定してカーブミラーを設置。さらにペットが走り込まないよう、黒と黄色の「カーテン」もつけた。
死亡事故を知ったのは発生の翌朝、家族で朝食を囲んでいたときに見たニュースだった。「自分と同じ小4の子が」と言葉を失い、どうすれば事故を防げるか家族と毎日のように話し合った。夏休みの工作のテーマを考えていたこともあり、「安くて安全性の高い遮断機を作ろう」と決めた。
国土交通省によると、第4種踏切は昨年3月末時点で全国に2367か所ある。女子児童は「なぜ第4種踏切に遮断機がないのか」「費用の問題はどうか」と考え、部品を減らして電力も使わない安価な装置を目指した。左右確認の徹底などの課題を整理し、所属する市少年少女発明クラブでもアイデアを練り、約1か月かけて完成させた。
作品は昨年、市の発明くふう展で奨励賞を受賞し、県の創意くふう作品展でも入選。全日本学生児童発明くふう展で入選を果たした。県展の会場では多くの来場者が足を止め、のぞき込みながらボタンを押すなど熱心に見学していたという。女子児童は「みんなが興味を持ってくれて安心した。実際にどこかに設置されたらうれしい」と語った。父親(46)は「困っている人の助けになるものを作る行動を、今後も続けてほしい」と期待していた。
今、女子児童は埼玉県八潮市で起きた道路の陥没事故のような事故を、どうすれば防げるか考えているという。