順天堂大付属順天堂医院(東京都文京区)で2021年2月、胆管の内視鏡検査を受けた女性(当時72歳)が急死した問題で、女性の遺族が、検査を担当した同大の50歳代男性教授について業務上過失致死容疑で警視庁に告訴状を提出し、受理されていたことがわかった。
受理は昨年12月2日付。
告訴状によると、教授は検査で胆管内に内視鏡を挿入する際、バルーンで2回にわたって過度に拡張したことで胆管を損傷させた上、その後も適切な治療をせず、女性を急性膵炎(すいえん)の重症化などによって死亡させたとしている。遺族側は「教授が注意義務や説明義務に違反していたことは明らかだ」と主張している。
関係者によると、警視庁は同院側から提出された検査記録の分析などの捜査を進めているという。
この問題を巡っては、国の医療事故調査制度に基づく指定機関「医療事故調査・支援センター」が調査を実施。昨年7月にまとめた報告書では、「バルーンによる拡張で胆管に負荷がかかり、急性膵炎の発症につながったと考えられる」と指摘した上で、「検査を実施したことは適切とは言い難い」とした。
遺族は同院側と教授に約2億2000万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴。昨年10月に行われた口頭弁論で、教授は「検査は正確な診断のために必要で、胆管拡張も適切に行った」などと主張した。
女性の三女(50)は取材に対し、「指定機関の調査で検査の問題点が明らかになった後も、病院側は自らの非を認めようとしない。母は必要のない検査で命を落とした。検査で何が起きたのか、捜査で解明してほしい」と話した。
同院側は「回答は控える」としている。