老舗・温泉旅館の嘆き、スキー客の「無断駐車」で日帰り入浴を泣く泣く休業に…女将「モラルを守ってほしい」

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大雪のために狭くなった駐車場に「無断駐車」されたとして、山形県の温泉旅館がX上に日帰り入浴の営業を休むことになったと投稿。2月17日現在、4万以上の「いいね!」がつくなど話題になっている。
無断駐車の対策として、旅館では「罰金」の張り紙を設けたが、弁護士ドットコムニュースの取材に応じた女将の遠藤央子さんは「お金を払ってほしいのではない。モラルを守ってほしい」とうったえる。
全国的に好天となった2月15日、16日の土日。積雪量に恵まれたこともありスキー場は多くのスキーヤーやスノーボーダーでにぎわった。
そんな中、山形県米沢市の天元台高原スキー場にほど近い温泉旅館「西屋」が無断駐車を嘆く投稿をおこなった。
投稿によると、大雪のため、従来より狭くなった駐車場で無断駐車をされてしまったことにより、スペースがなくなり、2月16日は日帰り入浴の営業を休まざる得なくなったという。
「西屋の駐車場にいつの間に無断駐車したまま天元台スキー場に行かれた車の持ち主の方々。あなた方の身勝手な行為の所為で、大雪ゆえに除雪に難儀している駐車スペースがさらに狭くなり、今日は日帰り入浴をお休みせざるを得ません。やむを得ず出入り口は除雪機等で塞ぎました。…残念です(原文ママ)」
「西屋」はこの日、20人近くの日帰り入浴客を見込んでいて、中には西屋旅館のアカウントに「今日行くつもりでした」と書き込む人もいたという。
女将の遠藤さんによると、無断駐車していたのは3台でうち2台が県内ナンバー、1台が宮城県からのレンタカーだったという。いずれも事前の断りがなかったため、旅館は車が出入りできないように駐車場の出入り口に除雪車やはしごでバリケードを設置。
スキー場から帰ってきたところを「営業妨害になり得る」と厳重注意した。しかし、レンタカーのほうは目を離した隙にバリケードをどかして、帰ってしまったため、レンタカー会社に連絡し、注意するよう依頼したという。
この旅館の駐車場は15台ほどが停められるスペースがあるが、今シーズンの大雪で除雪した雪がスペースを圧迫し、7、8台ほどしか停められない状態だった。そのうえ、停め方にも問題があったため、「見た目以上に停められない状態」(遠藤さん)だったという。
遠藤さんは「怒りを怒りで返してはいけない。対策をしなかったこちらにも落ち度はあるので、次に同じことが起きないための教訓にする」とし、無断駐車の対策として『罰金』という張り紙を設けた。
雪が降れば降るほどスキー場や近くの宿泊施設が喜ぶかといえば、どうやらそうではないようだ。遠藤さんによると、降り積もった雪は例年の倍以上といい、「経験したことのない大雪。従業員の駐車スペースの確保にも苦慮するなど対処に困っている」と話す。
天元台高原スキー場自体も除雪した雪の影響で駐車場が狭くなり、2月15日、16日は満車状態だったという。
遠藤さんは、無断駐車の対策について「罰金」の張り紙をしたことについて「お金がほしいから始めるのではない。モラルを守ってほしいため。一番の懸念はお金を払ったら停めてもいいと思われること」と強調する。
気象庁によると、2月17日夜から再び寒波が強まり、19日にかけて日本海側を中心に大雪になるという。スキーヤーやスノーボーダーにとってはまさに「恵みの雪」だからこそ、マナーやモラルを守る姿勢が求められると言えそうだ。

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