新潟・湯沢町で見かけるのは、飲食店の外に行列を作る外国人観光客の姿。人気のスキーリゾート地では今、いわゆる“夕食弱者”が急増している。その背景には宿泊施設経営者の高齢化や人手不足があったーー。
取材班が向かったのは、人気のスキーリゾート地。
年間300万人以上のスキー客らが詰めかける新潟・湯沢町だ。
地元の飲食店店主は「湯沢名物“夕食難民”といわれるくらい、めちゃくちゃ“夕食難民”がいる」と話す。
夕食時が近づくと町の景色は一変し、駅からすぐのラーメン店には、外国人観光客が長い行列を作っていた。この他、町の多くの飲食店が満席状態になっている。
既に3軒の店が満席で入れなかったという観光客もいた。
神奈川からの観光客:(夕食)難民です。困っています。どこも(客で)いっぱいで…予想できなくて手当たり次第に探している。
やはり満席となっていたのは、湯沢町の人気グルメ、釜飯を提供する「食家 あさくさ」。店内には、順番待ちの観光客があふれていた。
埼玉からの観光客:(夕食)探したよね。これからもっと人が増えると、ふらっと入ることは厳しくなるのかな…。
店ではようやく夕食にありつけた外国人観光客たちが、おいしそうに釜飯を食べていた。
一方、駅の近くにあるコンビニはというと、飲食店での夕食を諦めた観光客でごった返していた。
地元住民は「ここに来ても何も食べるところがない。だから外食はできない」と話す。
さらに外国人観光客は、食事には向かないまさかの場所でも夕食を口にしていたという。
地元住民によると「(駅の)トイレの中でご飯を食べてる人が多い。食べる場所がない」という。
居酒屋の店主は、連日100組近くの観光客が店に詰め掛けていると話す。
居酒屋の店主:土日はえげつないぐらい混みます。本当に400~500組くらい断るような状態です。
“夕食弱者”が増える背景には何があるのかーー。
町の宿泊施設を訪ねると、キッチンでは夕食の準備はされていなかった。2年前から提供するのをやめたという。
島村ロッヂ・嶋村ヨシ子さん(78):高齢で何をするにも遅いの…だから無理があるんだよね…。
町の宿泊施設では、経営者の高齢化や人手不足の深刻化により、食事の提供が大きな負担となっている。
島村ロッヂ・嶋村ヨシ子さん:お客さまには申し訳ないと思うけど、もう体力もなかなか追いついていかない。
こうした事態を受け湯沢町は、旅館などの宿泊客に地元の飲食店で食事をしてもらうという“泊食分離”を推進している。
しかし、スキーシーズンに殺到する多くの観光客に対しては、飲食店の数が足りていないのが実情だ。
居酒屋の店主:湯沢は冬だけ人が増える。夏場は全然人がいない。それで店が増えない。
そうした中、2年前から開かれているのが、屋台グルメが味わえる“ゆざわナイトマルシェ”。
ただ、この催しも一時的な外国人観光客の受け皿とはなったが、抜本的な解決にはつながっていない。
どのような対策が求められているのか。
航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんは「テイクアウトを活用する。特に宿に(出前の)メニューを置き、部屋で食べられるような形も準備していく必要があると思う」と指摘する。(「イット!」 2月13日放送)