「テレビもらってください」→「非常に迷惑。不法投棄で通報します」 道に不要品を出すのは違法?

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昨年12月、記者が東京都目黒区内を歩いていたところ、大きなテレビが道端に置いてあるのを見つけました。
「型は古いけど好調です。もらってください」
丁寧にこんな張り紙までありました。まだまだ使えるテレビなので、別の誰かに使ってほしい。そんな思いからだったのでしょう。
しかし、無情にも隣にこんな張り紙もしてありました。
「テレビを不法投棄した方へ
非常に迷惑です。至急持ち帰ってください。さもなくば、不法投棄として警察に通報します」
不用品を家の前などに出して「ご自由にお持ちください」と張り紙をしてあることをたまに見かけます。記者も昔、そうやって出してあったものを持ち帰った経験があります。
善意やリサイクルしたいという気持ちがあっても、やはり「不法投棄」になってしまうのでしょうか。
まず基本的なことですが、テレビを捨てる方法は法律で決まっています。テレビは普通のゴミのように捨てることはできず、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の対象となっています。
この法律は、家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、)が対象です。その目的は、「特定家庭用機器廃棄物」から、有用な部品や材料をリサイクルして、廃棄物を減らし、資源の有効活用していくこととされています。2001年から施行され、2009年からは従来のブラウン管テレビに加えて、液晶テレビやプラズマテレビが新たに対象となりました。
回収については、新しい製品を購入した電気店で引き取ってもらう方法や、住んでいる自治体に問い合わせて、リサイクルセンターに引き取ってもらう方法などがあります。詳しくは、自治体のサイトをみると良いでしょう。
ネットで探すと、さまざまな業者が広告を出していますが、経産省や環境省では、電気店などから委託を受けた回収業者ではない、「無許可」の業者について注意を呼びかけています。そうした業者の中には、不法投棄や環境汚染や火災などの不適正処理などの不法行為につながるとしています。
また、「回収無料」をうたっていた業者が、「すべてが無料ではない」と後から高額な請求をしてくるトラブルもあるようです。経産省などは「正しいリサイクル」を呼びかけています。
とはいえ、まだ不要になったものの、まだ使えるテレビを「リサイクルに出すのはもったいない」と感じる人もいるでしょう。また、リサイクルのための手続きが面倒で、「誰かに持っていってほしい」という人もいると思います。
しかし、不要になった家電製品や粗大ゴミをきちんとした手続きや方法を経ずに、道路や公園、空き地に捨てることは、不法投棄にあたります。
ゴミは、廃棄物処理法でその取り扱いが定められています。家電製品や粗大ゴミなどの不用物もその対象です。もし、違反すれば5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方に処せられる場合があります。法人の場合はさらに厳しくなります。
テレビを見つけた目黒区の公式サイトには、「不法投棄をした人を発見した時は、110番通報、または所轄の警察署にご連絡ください」と呼びかけています。
今回、テレビが置いてあったのは「都道」でしたので、不法投棄にあたる可能性が大きいです。「不法投棄として警察に通報します」とテレビに張り紙がはられていたのもわかります。
では、「自分の家の敷地であれば、問題ないのでは?」と思う人もいるのではないでしょうか。しかし、廃棄物処理法には「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」(16条)とあります。やはり、自分の敷地であっても勝手にゴミを放置することは難しいようです。
それでも、「ご自由にお持ちください」と書いてある箱などをみると、ついつい何があるのか、のぞいてしまいます。実際には、ひどいケースでなければ通報されることはないと思われますが、もしも安全に個人間でリサイクルしたい場合は、地元のコミュニティやフリマなどを利用するほうが良いでしょう。
気になったあのテレビ、翌日見に行ってみるとなくなっていました。誰かに持ち去られたのか、本人が持ち帰ったのかはわかりませんが、適切にリサイクルされていることを祈っています。

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