忍び寄る『カビ』の足音…“個包装のおもち”にご注意を 冬の必需品『カイロ』の謎にも迫る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お正月の食卓に欠かせないのが、お餅。今年のお正月も、皆さんたくさん食べたのではないでしょうか。多くの人々に愛されるお餅ですが、あまった分を袋に入れたまま置いておいたら、賞味期限は切れていないのにカビが生えてしまったという経験はありませんか? 組合員からのさまざまな問い合わせに対応している「コープこうべ商品検査センター」の担当者に詳しく話を聞きました。
――最近は、切り餅だけでなく鏡餅にも個包装されているものが入っていることが多いですね。賞味期限は切れていないしちゃんと袋に入れたまま保存していたのに、それでもお餅にカビが生えてしまうなんてことがあるのでしょうか?

【担当者】 まず、そもそもの話として、カビが生えるために必要な条件が2つあります。それは、「水分」と「酸素」です。お餅自体は栄養が豊富で水分も多いですから、そこに酸素が入るとカビが生える好条件になってしまいます。そのため、袋の中に酸素を取りのぞくための脱酸素剤を入れたり、酸素を吸い込む機能がある包装フィルムを使ったりしてカビが生えることを防いでいます。
――酸素に加えて、お餅自体の栄養成分や水分もカビを発生させてしまう要因ということですね。酸素をのぞいた包装をしているのに、なぜカビが生えてしまうのでしょうか?
【担当者】「個包装の袋が開いていたわけではないのに、なぜ」といいたいところなのですが、じつは、目に見えないくらいの小さな穴が開いていることがあります。その場合、穴から空気が入ってしまってカビが生えるんです。
――なぜ、目に見えない穴が開いているのでしょうか?
【担当者】 さまざまな要因がありますが、家庭で起こりうる可能性としては、落としたりぶつけたりした衝撃や、摩擦などによって穴が開く可能性があります。
――優しく丁寧に扱わないといけませんね。ちなみに、表面のカビている部分を取りのぞけば食べても問題ないのでしょうか?【担当者】 気持ちはわかりますが、食べることは控えていただきたいと思います。カビが生えている場合、表面だけでなくその奥の深い部分まで、菌糸(きんし)と呼ばれるカビの根っこみたいものが入り込んでいる可能性があります。そのため、食べることはおすすめできません。
――カビが生えたお餅は食べないようにする、というのが大事なのですね。ありがとうございます。
【担当者】 “酸素が起こす反応”という意味では、この時期、「使ってみたけど、なぜか温かくならない」というカイロの相談がくることもあります。
――せっかくのカイロが温かくならないというのは、やはり、不良品ということなのでしょうか?【担当者】 温まりたいのに温かくならないのはショックですし、「不良品かな?」と思ってしまいますよね。でもじつは、そうではないんです。
カイロは、袋の中に入っている鉄成分と酸素が反応して熱が生まれることで温かくなります。そのため、酸素の量が少ないと発熱量が下がってしまうのです。特に、ウインドブレーカーなどの風を通しづらい服の中で使おうとすると、酸素の供給が悪くなり十分に発熱しなくなります。また、外気にさらしたまま使用しつづけると熱が放出してしまいますので、温かさを感じづらくなります。
――カイロには酸素が必要ということですね。お餅のカビの話でも酸素がポイントでしたが、カイロも同じなのですね。
【担当者】 まさに、ポイントは酸素です! カイロには、貼るものや貼らないものなど、さまざまなタイプがあります。「温かくなるには酸素が必要」と説明しましたが、酸素が少ないであろう靴下に貼るタイプなどもありますよね。これらのタイプは靴の中で使用することを想定していますので、それ以外の場合、たとえばスリッパなどで使用すると酸素が過剰に供給されてしまい、高熱になったりふくらんだりする場合がありますのでご注意ください。
――使用の際は、パッケージの表示をよく読んでお使いくださいということですね。【担当者】 パッケージの表示には、使用方法や使用上の注意点などが記載されていますので、ぜひ読んでからご使用ください。
※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』より

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。