保護インコ託した動物園に3億円寄付 「1羽では寂しいから…」亡き女性の思い受け、希少種も集う「熱帯鳥類館」誕生 富山

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富山市の動物園「富山市ファミリーパーク」に新施設、熱帯鳥類館「バードピア」が完成しました。展示するのは12種38羽。うち6種はワシントン条約や種の保存法で国際取引が制限されている希少種で、ペットとして人気の高いヨウムも5羽飼育しています。なぜ富山に熱帯の鳥たちが集まることに? 新施設誕生の舞台裏を取材しました。
【写真】緑の羽がきれいなオキナインコ。3億円を寄付した女性が託したのもオキナインコでしたバード(鳥)とユートピア(理想郷)を組み合わせ「バードピア」と名付けられた新施設は、鉄筋コンクリート平屋建て延べ約310平方メートル。生息地に近い環境にするため、展示室内で熱帯の植物を育て、室温は25~30度に設定。湿度は80%を保つため、天井から時々ミストを噴霧しています。この施設、ある女性からの寄付金をもとに建設されました。

1羽の鳥が結んだ縁寄付をしたのは、神奈川県の女性(故人)とその家族です。きっかけは、女性が南米原産のオキナインコを保護したことでした。ペットとしても人気があることから誰かに飼われていたとみられます。ただ本来は群れで暮らす鳥。女性は「1羽では寂しいだろう」と群れで飼育する施設を探していたところ、密輸されたオキナインコ4羽をファミリーパークが受け入れていたことを知り、2018年5月にパークに譲渡しました。その後、女性とその家族は「熱帯の鳥類が快適に過ごせる施設を整備してほしい」と計3億円を寄付。パークはこれを原資に、3年の準備期間を経て、施設を完成させました。繁殖目指し、全国から鳥集める「大きな額の寄付。女性の思いを叶える施設にしなければいけないというプレッシャーも大きかった」とパークの動物課長、小峠拓也さんは振り返ります。村井仁志園長らが国内外の動物園を視察し、施設や管理体制についての情報を集める一方、全国の動物園や大学に片端から問い合わせ、譲り受けることができたり、繁殖目的で借りたりできる鳥を探し、希少な鳥も多数集めました。ヨウムは5羽で飼育 野生復帰目指す「ヨウム繁殖プロジェクト」も立ち上げました。中央アフリカに生息するヨウムは、頭がよく、人の言葉をすぐに覚えるためペットとしての人気が高い鳥。ワシントン条約で商業目的の国際取引が禁止された今も密猟や違法取引が続き、現地では急速に数が減っています。パークでは、なるべく自然な状態で飼育、繁殖できるよう5羽を集め、群れでの飼育を始めました。「今後は国内の大学やアフリカのウガンダ野生生物教育センターと連携して繁殖技術を研究します。目標は野生復帰です」と意気込みます。ニャオ? 鳴き声から人との関わりも展示室の中のヨウムを見ると、いかにも賢そうな表情です。その姿に見とれていると、変な鳴き声が聞こえてきました。「あれ!? 今、ニャオって鳴きました?」と聞くと「そうなんです」と小峠さんは笑います。寿命が50年以上と長いため、飼い主も2代、3代と変わっていくことが多いそうで、このヨウムはどこかで猫と一緒だったとみられます。小峠さんは「鳥たちを身近に見ることで、人との関わりが見えてきます。バードピアをきっかけに熱帯の鳥に関心を持ってもらい、希少種の現状や保全の取り組みまで知ってもらえるとうれしいです」と話していました。(まいどなニュース/コノコト)
バード(鳥)とユートピア(理想郷)を組み合わせ「バードピア」と名付けられた新施設は、鉄筋コンクリート平屋建て延べ約310平方メートル。生息地に近い環境にするため、展示室内で熱帯の植物を育て、室温は25~30度に設定。湿度は80%を保つため、天井から時々ミストを噴霧しています。この施設、ある女性からの寄付金をもとに建設されました。
寄付をしたのは、神奈川県の女性(故人)とその家族です。きっかけは、女性が南米原産のオキナインコを保護したことでした。ペットとしても人気があることから誰かに飼われていたとみられます。
ただ本来は群れで暮らす鳥。女性は「1羽では寂しいだろう」と群れで飼育する施設を探していたところ、密輸されたオキナインコ4羽をファミリーパークが受け入れていたことを知り、2018年5月にパークに譲渡しました。その後、女性とその家族は「熱帯の鳥類が快適に過ごせる施設を整備してほしい」と計3億円を寄付。パークはこれを原資に、3年の準備期間を経て、施設を完成させました。
「大きな額の寄付。女性の思いを叶える施設にしなければいけないというプレッシャーも大きかった」とパークの動物課長、小峠拓也さんは振り返ります。
村井仁志園長らが国内外の動物園を視察し、施設や管理体制についての情報を集める一方、全国の動物園や大学に片端から問い合わせ、譲り受けることができたり、繁殖目的で借りたりできる鳥を探し、希少な鳥も多数集めました。
「ヨウム繁殖プロジェクト」も立ち上げました。中央アフリカに生息するヨウムは、頭がよく、人の言葉をすぐに覚えるためペットとしての人気が高い鳥。ワシントン条約で商業目的の国際取引が禁止された今も密猟や違法取引が続き、現地では急速に数が減っています。
パークでは、なるべく自然な状態で飼育、繁殖できるよう5羽を集め、群れでの飼育を始めました。「今後は国内の大学やアフリカのウガンダ野生生物教育センターと連携して繁殖技術を研究します。目標は野生復帰です」と意気込みます。
展示室の中のヨウムを見ると、いかにも賢そうな表情です。その姿に見とれていると、変な鳴き声が聞こえてきました。「あれ!? 今、ニャオって鳴きました?」と聞くと「そうなんです」と小峠さんは笑います。寿命が50年以上と長いため、飼い主も2代、3代と変わっていくことが多いそうで、このヨウムはどこかで猫と一緒だったとみられます。
小峠さんは「鳥たちを身近に見ることで、人との関わりが見えてきます。バードピアをきっかけに熱帯の鳥に関心を持ってもらい、希少種の現状や保全の取り組みまで知ってもらえるとうれしいです」と話していました。
(まいどなニュース/コノコト)

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