「ラーメン1杯2800円」、米国バブルは日本バブルのデジャヴだ 加えて格差、働いても生活できない国

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TBS NEWS DIGで「アメリカではラーメン1杯2800円!?記録的な円安・物価高でアメリカ在住の日本人が苦境に…現地の価格を徹底調査」と報道されるなど、日本と比較した米国での物価高が話題になっている。
IPPUDO newyork HPより
元々、9月の米消費者物価指数が前年同月比+8.2%と高水準にある上に、年初には110円台であったドル円相場が、日本銀行の介入があったにもかかわらず現在150円近辺である。
日米の価格差はある意味当然ともいえる。
だが、実は日本のバブル期には、この状況が真逆であったのである。
当時海外からやってきた金融関係者たちは、それなりの高給取りであったはずだが、日本の「バブル価格」に恐れをなしていた。例えば、宿泊しているホテルのレストランの料金が(彼らにとって)「目の玉が飛び出るほど高い」ため、「近くに手ごろなレストランは無いか」とよく聞かれたものだ。だが、バブル期の日本人はその価格を当然だと思っていた。給与が高くても暮らしにくいのが米国また、5年前の2017年12月11日のBUSINESS INSIDERの記事ですでに、「仕事をしていてもホームレス — シリコンバレーの“ワーキングホームレス”の厳しい実情」と異常に高騰する生活費問題が取り上げられている。最近でも10月28日、日本経済新聞「シリコンバレー、ホームレス増加の裏事情」との報道がある。また、ムーバーズドットコムによれば、シティセンターの1ベッドルーム フラット(アパート)の家賃は2200ドル以上、150円換算では33万円以上になる。また、前記日本経済新聞の記事では、2022年8月のサンフランシスコ周辺の一戸建て住宅価格の中央値は110万ドル(約1億6500万円)である。日本人の給与がバブル崩壊以降上がっていないと指摘する非難めいた記事をしばしば見かけるが、その同時期にデフレで物価も下がっているのである。例えば(当時の最安値で言えば)マクドナルドのハンバーガーが1個59円、吉野家の牛丼が一杯280円、さらには多くの雑貨を100円ショップで買うことができた。だから、表面的な給与が上がっていなくても、日本人の暮らしぶりは決して悪くなかったのである。だが、現在のところ海外から遅れてはいるが、日本の物価上昇がスピードアップしていることは読者も大いに感じるところであろう。しかも、大きな問題は、日銀がいまだに「超金融緩和」を続けていることである。2月26日公開「強烈インフレを目の前にして黒田日銀は日本をトルコにするつもりか」で述べたように、インフレの状況において「金融緩和」を行うことは禁じ手である。さらにインフレを加速させることになるからだ。 その結果、1月31日公開「今度のインフレはものすごく強烈で悲惨なものになるかもしれない」という事態から日本も逃れられなくなる。特に、ここのところ顕著になっているが、最初はやせ我慢している企業も、他社が値上げに踏み切れば一斉に値上げに走る。日本企業は横並びだから、値上げが始まると怒涛のような「ビッグウェーブ」になるということだ。日本でラーメン1杯2800円時代がやって來るのは、それほど遠い先のことではないかもしれない。日本では居酒屋でも「おもてなし」してくれる米国(海外)では、庶民(高額所得者ではない)向け店舗のサービスは質が低くて当然だ。例えば、飛行機にはファーストクラス、ビジネスクラスなどがあって至れり尽くせりの快適な旅を過ごせるが、エコノミークラスでは「必要最低限」のサービスが提供されるのと同じである。金を払わなければ「快適なサービス」を受けることができないわけだ。欧米(あるいは日本以外の国)では、すべてのサービスに明示されていなくても「富裕層用」と「庶民用」の区別があり、そのサービスの質には大きな違いがある。だが、日本では居酒屋でも充分な「おもてなし」を受けることができる。(庶民向けの)一般小売店でも同じだ。一部の例外はあっても、笑顔で心地よく接してくれる。かなり以前だが、居酒屋のワタミで従業員が膝をついて顧客のオーダーをとっていることに腰を抜かすほど驚いた。価格帯から考えれば日本以外の国ではありえない話だ。11月4日公開の「米国型ルールが限界の今、『日本品質』の背景にある精神性に気づこう」で述べたように、日本人が金銭的報酬以外に「仕事の充実感」などの精神的見返りを重視することが大きな理由の一つであろう。日本でチップ制度が無いのがその証拠だ。「小銭のために働いているのではない」という誇りを多くの人々が持っているのだ。 その結果、日本では収入がそれほど高くなくても、快適な暮らしを享受できる。また、(収入が少ないからと言って)社会的な差別を受けることも無い。日本での収入(資産)差による差別が皆無とは言わないが、欧米と比べれば天と地ほどの開きがある。ただし、前記「今度のインフレはものすごく強烈で悲惨なものになるかもしれない」のような「大インフレ時代」にこのような素晴らしい日本社会を維持できるかどうかはかなり微妙ではあるが。セキュリティに金がかかる英王室(の公務)から離脱したヘンリーさん、メーガンさん一族の警備費が話題になる。離脱した王室をネタにネットフリックスだけでも日本円で160億円規模の契約を締結して荒稼ぎしたとされる彼らにも、米国における警備費用は大きな負担だ。よく、日本では安全は「ただ」だといわれる。夜道を女性が1人で歩ける治安の良さは、諸外国ではまず見られない。欧米(特に米国)で、パーティーなどへ男性がエスコートをするのも、男性が特別優しいというわけではなく、(夜間)女性が1人で行動することが危険だからだ。逆に言えば、男性のエスコートが無いと、女性の外出は難しくなる。また、ハリウッド映画で親が子供を送り迎え(又はスクールバス)するシーンがよく登場する。これは、子供の誘拐が頻発しているためであり、「親の義務」とさえ認識されている。だから、日本の「集団登校」のように、横断歩道などの要所には大人が立っているものの、子供たちだけで学校に通うことなど「信じられない」というのが彼らの感覚である。ちなみに、米国での子供の誘拐の多さは、牛乳パックに誘拐された子供の顔写真を載せて捜索していることからもよくわかる。また、朝登校したら、あるいは職場に着いたら「機関銃で撃ち殺される」ということが、ドラマではなく現実に起こっているのが米国である。 さらには、日本の警察に腐敗が無いとは言わないが、FBI以下米国の警察の腐敗ぶりはひどい。その上、治安の悪さの裏返しとも言えるが、パトカーに近づこうとしただけで一般市民が撃ち殺されるという事件も起こっている。パトカーには「敵意が無いことを示しながらゆっくりと近づかなければならない」ということは米国人には常識らしいが、結婚のため渡米したばかりの被害者の彼女はそれを知らなかったらしい。このように、我々が空気のように感じている「安心・安全」は米国では高級品であり、庶民が容易に手に入れることができないものである。ロウソクで暮らす多数の貧困層9月7日公開「バイデンよ、学費ローンをチャラにするなら庶民の電気代を何とかしろ」3ページ目「ロウソクで暮らせというのか」において、米国では6世帯に1世帯、つまり国民のおおよそ17%が電気代を支払えないため「供給ストップ(あるいはその危機)」に直面している。米国の1人当たりGDPは約7万ドル(1050万円)もある。それに対して日本は約4万ドル(600万円)であり半分を少し上回った程度だ。だが、LIFE INSIDER10月14日の記事「アメリカの下位50%の世帯は、国全体の富の2%しか持たない…上位1%が3分の1を保有」によれば、2019年に上位10%の世帯が米国の富の72%を保有していた。逆に、タイトルにもあるように、下位50%の世帯は国全体の富の2%しか持たないのである。いくら(平均した)1人当たりのGDPが高くても、GDPの大部分はごく少数の富裕層に吸い上げられ、庶民には回ってこない。その結果、彼らの暮らしは、冒頭で述べた物価高などで極めて苦しいのだ。 日本では幸いにして、最高55%も課される相続税、同じく45%の所得税を始めとする重税のおかげもあって、貧富の差は米国ほどひどくはない。だが、デフレ時代に安く買えたものがこれからどんどん値上がりする。そして、その打撃は、収入に対して、光熱費や食費を含めた「必要不可欠な支出」の割合が大きい庶民を直撃する。米国の「ラーメン1杯2800円」の物価高は他人事ではないのである。「ジョンQ 最後の決断」さらに悪いニュースは、日本の財政、年金、健康保険が破綻の瀬戸際にあることだ。年金については、2019年7月22日公開「年金は巨大な『国営ねずみ講』だから、負の所得税に一本化すべきワケ」、健康保険については1月15日公開「親方日の丸の巨大産業・医療-年金だけでなく健康保険も破綻はある」、10月31日公開「インフレに平均寿命も頭打ち、大乱の時代に生命保険は役にたつのか」3ページ目「高額医療費制度廃止、健康保険崩壊からの連鎖」などで悲惨な状況を解説した。日本では、収入が低くても充分な医療を受けることができる。日本の健康保険制度は世界一だといってもよいであろう。ただし、その財源の確保に四苦八苦しており、年金同様破綻が目前に迫っている。そのような素晴らしい健康保険制度が無い米国では、所得が低ければ満足な治療を受けることができない。インドなどへの医療ツアーが盛んである理由も、米国内では医療費が高額過ぎて、無保険(ごく普通)の人々が治療を受けられないからである。 その米国の悲惨な医療の実態は、「シッコ」や「ジョンQ 最後の決断」などの映画にもなっている。結局、現在の「普通の日本人」は一般的な米国人よりもはるかに快適な人生を送っているわけだが、その「楽園」がいつまでも続くと考えてはいけない。ぬるま湯に浸かっていると、怒涛の様なインフレや健康保険・年金の崩壊で「米国と同じような」地獄に突き落とされかねないのである。
当時海外からやってきた金融関係者たちは、それなりの高給取りであったはずだが、日本の「バブル価格」に恐れをなしていた。例えば、宿泊しているホテルのレストランの料金が(彼らにとって)「目の玉が飛び出るほど高い」ため、「近くに手ごろなレストランは無いか」とよく聞かれたものだ。
だが、バブル期の日本人はその価格を当然だと思っていた。
また、5年前の2017年12月11日のBUSINESS INSIDERの記事ですでに、「仕事をしていてもホームレス — シリコンバレーの“ワーキングホームレス”の厳しい実情」と異常に高騰する生活費問題が取り上げられている。最近でも10月28日、日本経済新聞「シリコンバレー、ホームレス増加の裏事情」との報道がある。
また、ムーバーズドットコムによれば、シティセンターの1ベッドルーム フラット(アパート)の家賃は2200ドル以上、150円換算では33万円以上になる。また、前記日本経済新聞の記事では、2022年8月のサンフランシスコ周辺の一戸建て住宅価格の中央値は110万ドル(約1億6500万円)である。
日本人の給与がバブル崩壊以降上がっていないと指摘する非難めいた記事をしばしば見かけるが、その同時期にデフレで物価も下がっているのである。
例えば(当時の最安値で言えば)マクドナルドのハンバーガーが1個59円、吉野家の牛丼が一杯280円、さらには多くの雑貨を100円ショップで買うことができた。
だから、表面的な給与が上がっていなくても、日本人の暮らしぶりは決して悪くなかったのである。
だが、現在のところ海外から遅れてはいるが、日本の物価上昇がスピードアップしていることは読者も大いに感じるところであろう。
しかも、大きな問題は、日銀がいまだに「超金融緩和」を続けていることである。2月26日公開「強烈インフレを目の前にして黒田日銀は日本をトルコにするつもりか」で述べたように、インフレの状況において「金融緩和」を行うことは禁じ手である。さらにインフレを加速させることになるからだ。
その結果、1月31日公開「今度のインフレはものすごく強烈で悲惨なものになるかもしれない」という事態から日本も逃れられなくなる。特に、ここのところ顕著になっているが、最初はやせ我慢している企業も、他社が値上げに踏み切れば一斉に値上げに走る。日本企業は横並びだから、値上げが始まると怒涛のような「ビッグウェーブ」になるということだ。日本でラーメン1杯2800円時代がやって來るのは、それほど遠い先のことではないかもしれない。日本では居酒屋でも「おもてなし」してくれる米国(海外)では、庶民(高額所得者ではない)向け店舗のサービスは質が低くて当然だ。例えば、飛行機にはファーストクラス、ビジネスクラスなどがあって至れり尽くせりの快適な旅を過ごせるが、エコノミークラスでは「必要最低限」のサービスが提供されるのと同じである。金を払わなければ「快適なサービス」を受けることができないわけだ。欧米(あるいは日本以外の国)では、すべてのサービスに明示されていなくても「富裕層用」と「庶民用」の区別があり、そのサービスの質には大きな違いがある。だが、日本では居酒屋でも充分な「おもてなし」を受けることができる。(庶民向けの)一般小売店でも同じだ。一部の例外はあっても、笑顔で心地よく接してくれる。かなり以前だが、居酒屋のワタミで従業員が膝をついて顧客のオーダーをとっていることに腰を抜かすほど驚いた。価格帯から考えれば日本以外の国ではありえない話だ。11月4日公開の「米国型ルールが限界の今、『日本品質』の背景にある精神性に気づこう」で述べたように、日本人が金銭的報酬以外に「仕事の充実感」などの精神的見返りを重視することが大きな理由の一つであろう。日本でチップ制度が無いのがその証拠だ。「小銭のために働いているのではない」という誇りを多くの人々が持っているのだ。 その結果、日本では収入がそれほど高くなくても、快適な暮らしを享受できる。また、(収入が少ないからと言って)社会的な差別を受けることも無い。日本での収入(資産)差による差別が皆無とは言わないが、欧米と比べれば天と地ほどの開きがある。ただし、前記「今度のインフレはものすごく強烈で悲惨なものになるかもしれない」のような「大インフレ時代」にこのような素晴らしい日本社会を維持できるかどうかはかなり微妙ではあるが。セキュリティに金がかかる英王室(の公務)から離脱したヘンリーさん、メーガンさん一族の警備費が話題になる。離脱した王室をネタにネットフリックスだけでも日本円で160億円規模の契約を締結して荒稼ぎしたとされる彼らにも、米国における警備費用は大きな負担だ。よく、日本では安全は「ただ」だといわれる。夜道を女性が1人で歩ける治安の良さは、諸外国ではまず見られない。欧米(特に米国)で、パーティーなどへ男性がエスコートをするのも、男性が特別優しいというわけではなく、(夜間)女性が1人で行動することが危険だからだ。逆に言えば、男性のエスコートが無いと、女性の外出は難しくなる。また、ハリウッド映画で親が子供を送り迎え(又はスクールバス)するシーンがよく登場する。これは、子供の誘拐が頻発しているためであり、「親の義務」とさえ認識されている。だから、日本の「集団登校」のように、横断歩道などの要所には大人が立っているものの、子供たちだけで学校に通うことなど「信じられない」というのが彼らの感覚である。ちなみに、米国での子供の誘拐の多さは、牛乳パックに誘拐された子供の顔写真を載せて捜索していることからもよくわかる。また、朝登校したら、あるいは職場に着いたら「機関銃で撃ち殺される」ということが、ドラマではなく現実に起こっているのが米国である。 さらには、日本の警察に腐敗が無いとは言わないが、FBI以下米国の警察の腐敗ぶりはひどい。その上、治安の悪さの裏返しとも言えるが、パトカーに近づこうとしただけで一般市民が撃ち殺されるという事件も起こっている。パトカーには「敵意が無いことを示しながらゆっくりと近づかなければならない」ということは米国人には常識らしいが、結婚のため渡米したばかりの被害者の彼女はそれを知らなかったらしい。このように、我々が空気のように感じている「安心・安全」は米国では高級品であり、庶民が容易に手に入れることができないものである。ロウソクで暮らす多数の貧困層9月7日公開「バイデンよ、学費ローンをチャラにするなら庶民の電気代を何とかしろ」3ページ目「ロウソクで暮らせというのか」において、米国では6世帯に1世帯、つまり国民のおおよそ17%が電気代を支払えないため「供給ストップ(あるいはその危機)」に直面している。米国の1人当たりGDPは約7万ドル(1050万円)もある。それに対して日本は約4万ドル(600万円)であり半分を少し上回った程度だ。だが、LIFE INSIDER10月14日の記事「アメリカの下位50%の世帯は、国全体の富の2%しか持たない…上位1%が3分の1を保有」によれば、2019年に上位10%の世帯が米国の富の72%を保有していた。逆に、タイトルにもあるように、下位50%の世帯は国全体の富の2%しか持たないのである。いくら(平均した)1人当たりのGDPが高くても、GDPの大部分はごく少数の富裕層に吸い上げられ、庶民には回ってこない。その結果、彼らの暮らしは、冒頭で述べた物価高などで極めて苦しいのだ。 日本では幸いにして、最高55%も課される相続税、同じく45%の所得税を始めとする重税のおかげもあって、貧富の差は米国ほどひどくはない。だが、デフレ時代に安く買えたものがこれからどんどん値上がりする。そして、その打撃は、収入に対して、光熱費や食費を含めた「必要不可欠な支出」の割合が大きい庶民を直撃する。米国の「ラーメン1杯2800円」の物価高は他人事ではないのである。「ジョンQ 最後の決断」さらに悪いニュースは、日本の財政、年金、健康保険が破綻の瀬戸際にあることだ。年金については、2019年7月22日公開「年金は巨大な『国営ねずみ講』だから、負の所得税に一本化すべきワケ」、健康保険については1月15日公開「親方日の丸の巨大産業・医療-年金だけでなく健康保険も破綻はある」、10月31日公開「インフレに平均寿命も頭打ち、大乱の時代に生命保険は役にたつのか」3ページ目「高額医療費制度廃止、健康保険崩壊からの連鎖」などで悲惨な状況を解説した。日本では、収入が低くても充分な医療を受けることができる。日本の健康保険制度は世界一だといってもよいであろう。ただし、その財源の確保に四苦八苦しており、年金同様破綻が目前に迫っている。そのような素晴らしい健康保険制度が無い米国では、所得が低ければ満足な治療を受けることができない。インドなどへの医療ツアーが盛んである理由も、米国内では医療費が高額過ぎて、無保険(ごく普通)の人々が治療を受けられないからである。 その米国の悲惨な医療の実態は、「シッコ」や「ジョンQ 最後の決断」などの映画にもなっている。結局、現在の「普通の日本人」は一般的な米国人よりもはるかに快適な人生を送っているわけだが、その「楽園」がいつまでも続くと考えてはいけない。ぬるま湯に浸かっていると、怒涛の様なインフレや健康保険・年金の崩壊で「米国と同じような」地獄に突き落とされかねないのである。
その結果、1月31日公開「今度のインフレはものすごく強烈で悲惨なものになるかもしれない」という事態から日本も逃れられなくなる。
特に、ここのところ顕著になっているが、最初はやせ我慢している企業も、他社が値上げに踏み切れば一斉に値上げに走る。日本企業は横並びだから、値上げが始まると怒涛のような「ビッグウェーブ」になるということだ。
日本でラーメン1杯2800円時代がやって來るのは、それほど遠い先のことではないかもしれない。
米国(海外)では、庶民(高額所得者ではない)向け店舗のサービスは質が低くて当然だ。
例えば、飛行機にはファーストクラス、ビジネスクラスなどがあって至れり尽くせりの快適な旅を過ごせるが、エコノミークラスでは「必要最低限」のサービスが提供されるのと同じである。
金を払わなければ「快適なサービス」を受けることができないわけだ。欧米(あるいは日本以外の国)では、すべてのサービスに明示されていなくても「富裕層用」と「庶民用」の区別があり、そのサービスの質には大きな違いがある。
だが、日本では居酒屋でも充分な「おもてなし」を受けることができる。(庶民向けの)一般小売店でも同じだ。一部の例外はあっても、笑顔で心地よく接してくれる。
かなり以前だが、居酒屋のワタミで従業員が膝をついて顧客のオーダーをとっていることに腰を抜かすほど驚いた。価格帯から考えれば日本以外の国ではありえない話だ。
11月4日公開の「米国型ルールが限界の今、『日本品質』の背景にある精神性に気づこう」で述べたように、日本人が金銭的報酬以外に「仕事の充実感」などの精神的見返りを重視することが大きな理由の一つであろう。日本でチップ制度が無いのがその証拠だ。「小銭のために働いているのではない」という誇りを多くの人々が持っているのだ。
その結果、日本では収入がそれほど高くなくても、快適な暮らしを享受できる。また、(収入が少ないからと言って)社会的な差別を受けることも無い。日本での収入(資産)差による差別が皆無とは言わないが、欧米と比べれば天と地ほどの開きがある。ただし、前記「今度のインフレはものすごく強烈で悲惨なものになるかもしれない」のような「大インフレ時代」にこのような素晴らしい日本社会を維持できるかどうかはかなり微妙ではあるが。セキュリティに金がかかる英王室(の公務)から離脱したヘンリーさん、メーガンさん一族の警備費が話題になる。離脱した王室をネタにネットフリックスだけでも日本円で160億円規模の契約を締結して荒稼ぎしたとされる彼らにも、米国における警備費用は大きな負担だ。よく、日本では安全は「ただ」だといわれる。夜道を女性が1人で歩ける治安の良さは、諸外国ではまず見られない。欧米(特に米国)で、パーティーなどへ男性がエスコートをするのも、男性が特別優しいというわけではなく、(夜間)女性が1人で行動することが危険だからだ。逆に言えば、男性のエスコートが無いと、女性の外出は難しくなる。また、ハリウッド映画で親が子供を送り迎え(又はスクールバス)するシーンがよく登場する。これは、子供の誘拐が頻発しているためであり、「親の義務」とさえ認識されている。だから、日本の「集団登校」のように、横断歩道などの要所には大人が立っているものの、子供たちだけで学校に通うことなど「信じられない」というのが彼らの感覚である。ちなみに、米国での子供の誘拐の多さは、牛乳パックに誘拐された子供の顔写真を載せて捜索していることからもよくわかる。また、朝登校したら、あるいは職場に着いたら「機関銃で撃ち殺される」ということが、ドラマではなく現実に起こっているのが米国である。 さらには、日本の警察に腐敗が無いとは言わないが、FBI以下米国の警察の腐敗ぶりはひどい。その上、治安の悪さの裏返しとも言えるが、パトカーに近づこうとしただけで一般市民が撃ち殺されるという事件も起こっている。パトカーには「敵意が無いことを示しながらゆっくりと近づかなければならない」ということは米国人には常識らしいが、結婚のため渡米したばかりの被害者の彼女はそれを知らなかったらしい。このように、我々が空気のように感じている「安心・安全」は米国では高級品であり、庶民が容易に手に入れることができないものである。ロウソクで暮らす多数の貧困層9月7日公開「バイデンよ、学費ローンをチャラにするなら庶民の電気代を何とかしろ」3ページ目「ロウソクで暮らせというのか」において、米国では6世帯に1世帯、つまり国民のおおよそ17%が電気代を支払えないため「供給ストップ(あるいはその危機)」に直面している。米国の1人当たりGDPは約7万ドル(1050万円)もある。それに対して日本は約4万ドル(600万円)であり半分を少し上回った程度だ。だが、LIFE INSIDER10月14日の記事「アメリカの下位50%の世帯は、国全体の富の2%しか持たない…上位1%が3分の1を保有」によれば、2019年に上位10%の世帯が米国の富の72%を保有していた。逆に、タイトルにもあるように、下位50%の世帯は国全体の富の2%しか持たないのである。いくら(平均した)1人当たりのGDPが高くても、GDPの大部分はごく少数の富裕層に吸い上げられ、庶民には回ってこない。その結果、彼らの暮らしは、冒頭で述べた物価高などで極めて苦しいのだ。 日本では幸いにして、最高55%も課される相続税、同じく45%の所得税を始めとする重税のおかげもあって、貧富の差は米国ほどひどくはない。だが、デフレ時代に安く買えたものがこれからどんどん値上がりする。そして、その打撃は、収入に対して、光熱費や食費を含めた「必要不可欠な支出」の割合が大きい庶民を直撃する。米国の「ラーメン1杯2800円」の物価高は他人事ではないのである。「ジョンQ 最後の決断」さらに悪いニュースは、日本の財政、年金、健康保険が破綻の瀬戸際にあることだ。年金については、2019年7月22日公開「年金は巨大な『国営ねずみ講』だから、負の所得税に一本化すべきワケ」、健康保険については1月15日公開「親方日の丸の巨大産業・医療-年金だけでなく健康保険も破綻はある」、10月31日公開「インフレに平均寿命も頭打ち、大乱の時代に生命保険は役にたつのか」3ページ目「高額医療費制度廃止、健康保険崩壊からの連鎖」などで悲惨な状況を解説した。日本では、収入が低くても充分な医療を受けることができる。日本の健康保険制度は世界一だといってもよいであろう。ただし、その財源の確保に四苦八苦しており、年金同様破綻が目前に迫っている。そのような素晴らしい健康保険制度が無い米国では、所得が低ければ満足な治療を受けることができない。インドなどへの医療ツアーが盛んである理由も、米国内では医療費が高額過ぎて、無保険(ごく普通)の人々が治療を受けられないからである。 その米国の悲惨な医療の実態は、「シッコ」や「ジョンQ 最後の決断」などの映画にもなっている。結局、現在の「普通の日本人」は一般的な米国人よりもはるかに快適な人生を送っているわけだが、その「楽園」がいつまでも続くと考えてはいけない。ぬるま湯に浸かっていると、怒涛の様なインフレや健康保険・年金の崩壊で「米国と同じような」地獄に突き落とされかねないのである。
その結果、日本では収入がそれほど高くなくても、快適な暮らしを享受できる。また、(収入が少ないからと言って)社会的な差別を受けることも無い。日本での収入(資産)差による差別が皆無とは言わないが、欧米と比べれば天と地ほどの開きがある。
ただし、前記「今度のインフレはものすごく強烈で悲惨なものになるかもしれない」のような「大インフレ時代」にこのような素晴らしい日本社会を維持できるかどうかはかなり微妙ではあるが。
英王室(の公務)から離脱したヘンリーさん、メーガンさん一族の警備費が話題になる。離脱した王室をネタにネットフリックスだけでも日本円で160億円規模の契約を締結して荒稼ぎしたとされる彼らにも、米国における警備費用は大きな負担だ。
よく、日本では安全は「ただ」だといわれる。夜道を女性が1人で歩ける治安の良さは、諸外国ではまず見られない。
欧米(特に米国)で、パーティーなどへ男性がエスコートをするのも、男性が特別優しいというわけではなく、(夜間)女性が1人で行動することが危険だからだ。逆に言えば、男性のエスコートが無いと、女性の外出は難しくなる。
また、ハリウッド映画で親が子供を送り迎え(又はスクールバス)するシーンがよく登場する。これは、子供の誘拐が頻発しているためであり、「親の義務」とさえ認識されている。
だから、日本の「集団登校」のように、横断歩道などの要所には大人が立っているものの、子供たちだけで学校に通うことなど「信じられない」というのが彼らの感覚である。
ちなみに、米国での子供の誘拐の多さは、牛乳パックに誘拐された子供の顔写真を載せて捜索していることからもよくわかる。
また、朝登校したら、あるいは職場に着いたら「機関銃で撃ち殺される」ということが、ドラマではなく現実に起こっているのが米国である。
さらには、日本の警察に腐敗が無いとは言わないが、FBI以下米国の警察の腐敗ぶりはひどい。その上、治安の悪さの裏返しとも言えるが、パトカーに近づこうとしただけで一般市民が撃ち殺されるという事件も起こっている。パトカーには「敵意が無いことを示しながらゆっくりと近づかなければならない」ということは米国人には常識らしいが、結婚のため渡米したばかりの被害者の彼女はそれを知らなかったらしい。このように、我々が空気のように感じている「安心・安全」は米国では高級品であり、庶民が容易に手に入れることができないものである。ロウソクで暮らす多数の貧困層9月7日公開「バイデンよ、学費ローンをチャラにするなら庶民の電気代を何とかしろ」3ページ目「ロウソクで暮らせというのか」において、米国では6世帯に1世帯、つまり国民のおおよそ17%が電気代を支払えないため「供給ストップ(あるいはその危機)」に直面している。米国の1人当たりGDPは約7万ドル(1050万円)もある。それに対して日本は約4万ドル(600万円)であり半分を少し上回った程度だ。だが、LIFE INSIDER10月14日の記事「アメリカの下位50%の世帯は、国全体の富の2%しか持たない…上位1%が3分の1を保有」によれば、2019年に上位10%の世帯が米国の富の72%を保有していた。逆に、タイトルにもあるように、下位50%の世帯は国全体の富の2%しか持たないのである。いくら(平均した)1人当たりのGDPが高くても、GDPの大部分はごく少数の富裕層に吸い上げられ、庶民には回ってこない。その結果、彼らの暮らしは、冒頭で述べた物価高などで極めて苦しいのだ。 日本では幸いにして、最高55%も課される相続税、同じく45%の所得税を始めとする重税のおかげもあって、貧富の差は米国ほどひどくはない。だが、デフレ時代に安く買えたものがこれからどんどん値上がりする。そして、その打撃は、収入に対して、光熱費や食費を含めた「必要不可欠な支出」の割合が大きい庶民を直撃する。米国の「ラーメン1杯2800円」の物価高は他人事ではないのである。「ジョンQ 最後の決断」さらに悪いニュースは、日本の財政、年金、健康保険が破綻の瀬戸際にあることだ。年金については、2019年7月22日公開「年金は巨大な『国営ねずみ講』だから、負の所得税に一本化すべきワケ」、健康保険については1月15日公開「親方日の丸の巨大産業・医療-年金だけでなく健康保険も破綻はある」、10月31日公開「インフレに平均寿命も頭打ち、大乱の時代に生命保険は役にたつのか」3ページ目「高額医療費制度廃止、健康保険崩壊からの連鎖」などで悲惨な状況を解説した。日本では、収入が低くても充分な医療を受けることができる。日本の健康保険制度は世界一だといってもよいであろう。ただし、その財源の確保に四苦八苦しており、年金同様破綻が目前に迫っている。そのような素晴らしい健康保険制度が無い米国では、所得が低ければ満足な治療を受けることができない。インドなどへの医療ツアーが盛んである理由も、米国内では医療費が高額過ぎて、無保険(ごく普通)の人々が治療を受けられないからである。 その米国の悲惨な医療の実態は、「シッコ」や「ジョンQ 最後の決断」などの映画にもなっている。結局、現在の「普通の日本人」は一般的な米国人よりもはるかに快適な人生を送っているわけだが、その「楽園」がいつまでも続くと考えてはいけない。ぬるま湯に浸かっていると、怒涛の様なインフレや健康保険・年金の崩壊で「米国と同じような」地獄に突き落とされかねないのである。
さらには、日本の警察に腐敗が無いとは言わないが、FBI以下米国の警察の腐敗ぶりはひどい。その上、治安の悪さの裏返しとも言えるが、パトカーに近づこうとしただけで一般市民が撃ち殺されるという事件も起こっている。パトカーには「敵意が無いことを示しながらゆっくりと近づかなければならない」ということは米国人には常識らしいが、結婚のため渡米したばかりの被害者の彼女はそれを知らなかったらしい。
このように、我々が空気のように感じている「安心・安全」は米国では高級品であり、庶民が容易に手に入れることができないものである。
9月7日公開「バイデンよ、学費ローンをチャラにするなら庶民の電気代を何とかしろ」3ページ目「ロウソクで暮らせというのか」において、米国では6世帯に1世帯、つまり国民のおおよそ17%が電気代を支払えないため「供給ストップ(あるいはその危機)」に直面している。
米国の1人当たりGDPは約7万ドル(1050万円)もある。それに対して日本は約4万ドル(600万円)であり半分を少し上回った程度だ。
だが、LIFE INSIDER10月14日の記事「アメリカの下位50%の世帯は、国全体の富の2%しか持たない…上位1%が3分の1を保有」によれば、2019年に上位10%の世帯が米国の富の72%を保有していた。
逆に、タイトルにもあるように、下位50%の世帯は国全体の富の2%しか持たないのである。いくら(平均した)1人当たりのGDPが高くても、GDPの大部分はごく少数の富裕層に吸い上げられ、庶民には回ってこない。その結果、彼らの暮らしは、冒頭で述べた物価高などで極めて苦しいのだ。
日本では幸いにして、最高55%も課される相続税、同じく45%の所得税を始めとする重税のおかげもあって、貧富の差は米国ほどひどくはない。だが、デフレ時代に安く買えたものがこれからどんどん値上がりする。そして、その打撃は、収入に対して、光熱費や食費を含めた「必要不可欠な支出」の割合が大きい庶民を直撃する。米国の「ラーメン1杯2800円」の物価高は他人事ではないのである。「ジョンQ 最後の決断」さらに悪いニュースは、日本の財政、年金、健康保険が破綻の瀬戸際にあることだ。年金については、2019年7月22日公開「年金は巨大な『国営ねずみ講』だから、負の所得税に一本化すべきワケ」、健康保険については1月15日公開「親方日の丸の巨大産業・医療-年金だけでなく健康保険も破綻はある」、10月31日公開「インフレに平均寿命も頭打ち、大乱の時代に生命保険は役にたつのか」3ページ目「高額医療費制度廃止、健康保険崩壊からの連鎖」などで悲惨な状況を解説した。日本では、収入が低くても充分な医療を受けることができる。日本の健康保険制度は世界一だといってもよいであろう。ただし、その財源の確保に四苦八苦しており、年金同様破綻が目前に迫っている。そのような素晴らしい健康保険制度が無い米国では、所得が低ければ満足な治療を受けることができない。インドなどへの医療ツアーが盛んである理由も、米国内では医療費が高額過ぎて、無保険(ごく普通)の人々が治療を受けられないからである。 その米国の悲惨な医療の実態は、「シッコ」や「ジョンQ 最後の決断」などの映画にもなっている。結局、現在の「普通の日本人」は一般的な米国人よりもはるかに快適な人生を送っているわけだが、その「楽園」がいつまでも続くと考えてはいけない。ぬるま湯に浸かっていると、怒涛の様なインフレや健康保険・年金の崩壊で「米国と同じような」地獄に突き落とされかねないのである。
日本では幸いにして、最高55%も課される相続税、同じく45%の所得税を始めとする重税のおかげもあって、貧富の差は米国ほどひどくはない。
だが、デフレ時代に安く買えたものがこれからどんどん値上がりする。そして、その打撃は、収入に対して、光熱費や食費を含めた「必要不可欠な支出」の割合が大きい庶民を直撃する。
米国の「ラーメン1杯2800円」の物価高は他人事ではないのである。
さらに悪いニュースは、日本の財政、年金、健康保険が破綻の瀬戸際にあることだ。
年金については、2019年7月22日公開「年金は巨大な『国営ねずみ講』だから、負の所得税に一本化すべきワケ」、健康保険については1月15日公開「親方日の丸の巨大産業・医療-年金だけでなく健康保険も破綻はある」、10月31日公開「インフレに平均寿命も頭打ち、大乱の時代に生命保険は役にたつのか」3ページ目「高額医療費制度廃止、健康保険崩壊からの連鎖」などで悲惨な状況を解説した。
日本では、収入が低くても充分な医療を受けることができる。日本の健康保険制度は世界一だといってもよいであろう。ただし、その財源の確保に四苦八苦しており、年金同様破綻が目前に迫っている。
そのような素晴らしい健康保険制度が無い米国では、所得が低ければ満足な治療を受けることができない。インドなどへの医療ツアーが盛んである理由も、米国内では医療費が高額過ぎて、無保険(ごく普通)の人々が治療を受けられないからである。
その米国の悲惨な医療の実態は、「シッコ」や「ジョンQ 最後の決断」などの映画にもなっている。結局、現在の「普通の日本人」は一般的な米国人よりもはるかに快適な人生を送っているわけだが、その「楽園」がいつまでも続くと考えてはいけない。ぬるま湯に浸かっていると、怒涛の様なインフレや健康保険・年金の崩壊で「米国と同じような」地獄に突き落とされかねないのである。
その米国の悲惨な医療の実態は、「シッコ」や「ジョンQ 最後の決断」などの映画にもなっている。
結局、現在の「普通の日本人」は一般的な米国人よりもはるかに快適な人生を送っているわけだが、その「楽園」がいつまでも続くと考えてはいけない。ぬるま湯に浸かっていると、怒涛の様なインフレや健康保険・年金の崩壊で「米国と同じような」地獄に突き落とされかねないのである。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。