タワマン25階から3歳児が…転落事故「春と秋に多発」意外な理由

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痛ましい事故が起きたのは11月2日の午後だ。
千葉市美浜区の高層マンションの住民から、「子どもが倒れている」「上から落ちてきた」と通報があったのは午後2時過ぎ。千葉県警と消防隊が現場に向かうと、エントランスの屋根部分にマンションに住む3歳の男児が倒れていた。スグに搬送されたが、病院で死亡が確認される。男の子の父親からも、通報があったという。
「現場のタワマンは48階建てで、21年初頭から入居が始まり『千葉の最高層マンション』(高さ172m)として知られていました。男の子は25階に住んでおり、高さは90mほどになります。JR海浜幕張駅から800mほど南東の場所で、都心で働くファミリー層が多く住んでいるようです。
男の子は、部屋のベランダから落ちたとみられています。しかし、ベランダの手すりと床の間には隙間がありません。手すりの高さは1m 30cmほど。男の子の身長は1mに満たず手すりを乗り越えるのは困難なため、住民たちは『通常では考えられない』と不安がっています」(全国紙社会部記者)
なぜ男の子は手すりを乗り越え、転落してしまったのだろうか。市民防災研究所の坂口隆夫理事が推測する。
「おそらくベランダの近くに、踏み台になるようなモノが置かれていたのでしょう。段差やステップがあり、3歳児でも上りやすかったのかもしれません」
その後の警察の捜査で、事故当時、男の子は部屋に一人でいたことが判明。坂口氏の指摘どおり、ベランダ近くには折りたたみ式のイスがあったという。幼い子どもを持つ親にとって、今回の事故は決して他人事ではない。気をつけるべき点はなんだろうか。坂口氏が続ける。
「大切なことは、親が幼児から目を離さないことです。幼児の行動は予測できません。常に注意を払うことが重要でしょう。特に高層マンションに住むご家庭は気をつけてください。ベランダには踏み台になるようなモノを、絶対に置かないことです」
東京消防庁によると、5歳以下の子どもが2階以上の窓やベランダから転落した事故は、15年~19年の間に70件あった。月別で見ると、5月が最多の16件で、次に多いのが9月の11件、10月が10件となる。
18年10月には、神奈川県川崎市の2歳男児が9階から落ちて重傷。21年10月には、大阪府大阪市で4歳女児が25階から転落して亡くなっている。今年10月には、東京都江戸川区の都営住宅12階から4歳男児が転落死した。なぜ幼児の転落事故は、春と秋に集中するのだろうか。前出の坂口氏が解説する。
「夏と冬は、冷房や暖房を入れ部屋を閉めきっていることが多い。一方、春と秋は気候が穏やかなため、心地よい空気を室内に入れようと窓を開けがちになります。本格的な冬が訪れるまでは、注意が必要でしょう」
今回の事故が起きた当日も、気温24℃で晴れわたり気持ちの良い気候だった。消費者庁は「子どもの手の届かない場所に補助錠をつける」「室外機は手すりから60cm以上離す」など、事故への対策をうながしている。

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