「みかじめ料」「数百グラムの金」を要求…「靖国神社」“落書き”中国人の凶悪な素顔 それでも日本政府が逮捕できない理由

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今年5月、東京・千代田区にある靖国神社の石柱に赤い文字で「Toilet(トイレ)」と落書きした中国人が現地の公安当局に逮捕された。しかし逮捕理由は靖国神社への狼藉の件でなく、まったく別の「恐喝」容疑だった――。一方で中国当局の捜査によって「違法行為の常習者」と形容される男の“呆れた素顔”が明らかになりつつある。
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【写真を見る】トンデモ中国人の驚きの罪状 中国公安局の「発表文」を全部公開
中国で「鉄頭」のハンドルネームで知られる“インフルエンサー” 董光明が仲間2人とともに靖国神社を訪れたのは今年5月31日夜。共犯の男が動画を回すなか、董容疑者は神社の入り口にある「社号票」と呼ばれる石柱に“立ち小便”する素振りを見せたかと思うと、ポケットからスプレー缶を取り出し、赤い塗料で「Toilet」と落書きする行為に及んだのだ。
「警視庁は器物損壊などの疑いで董容疑者ら中国人3人を指名手配しましたが、その時には董容疑者ともう一人の実行犯は中国へ逃亡した後でした。今年7月になって、警視庁は日本に残っていた仲間の一人を礼拝所不敬容疑などで逮捕しましたが、中国とは犯罪人引渡条約を締結していないこともあり、主犯の董容疑者らについて“なす術のない”状態が続いています」(民放キー局記者)
すでに「模倣犯」も現れており、今年8月には10代の中国人が靖国神社の石柱に(中国語でトイレを意味する)「厠所」や「軍国主義」と読める落書きをしたことが発覚。現在、警視庁が器物損壊容疑などで捜査中だが、容疑者は犯行翌日に中国へ帰国したことが分かっている。
「董容疑者は犯行を誇示する動画を中国のSNSにアップして注目を集めましたが、8月の事件の中国人もSNSに犯行画像を投稿したことが確認されています。日本の靖国神社への不法行為が手軽に再生数を稼げるコンテンツとして認知されつつある現状に、当局は警戒を強めています」(同)
その董容疑者を浙江省杭州市の公安局が「取り調べている」と発表したのは8月27日。容疑は今年5月、仲間と共謀して恐喝行為を働いたというものだが、その詳細について中国在住のジャーナリストがこう話す。
「当局の発表によると、董容疑者の一味は中国人のインフルエンサーに対し、“知っている不正を暴露するぞ”などと脅し、数百グラムの金(ゴールド)を要求。支払えば“今後は俺たちが守ってやる”と約束したといい、いわゆる『みかじめ料を徴収』した容疑と発表されています」
その手慣れた手口から、中国メディアのなかには「鉄頭ギャング」と表現するところもあるといい、「金」を要求したのも“アシが付きにくい”との考えからと指摘されている。
「逮捕によって、董容疑者には他にも多くの犯罪歴があることが明らかになり、過去にはSNSの生配信中に自身のわいせつな体験談を得意気に語るといった“恥ずかしい前科”も報じられている。余罪についても追及中とされ、現地メディアの一つは『この容疑者は繰り返し法律違反を犯し、たび重なる忠告にも耳を貸さなかった。逮捕は“正義の使者”という虚飾の仮面を剥ぎ取った』と断じています」(同)
もともと董容疑者は中国版TikTok「抖音」などを中心に活動する、日本でいう暴露系や私人逮捕系ユーチューバーとして一部で知られた存在だったという。
「ネット上の“偽造品”を告発することで名前を売り、その際に『鉄頭懲悪揚善』などのニックネームを用いたり、みずから『正義の使者』を名乗っていた。靖国神社へ落書きした理由も、昨年の東京電力福島第一原発による処理水の海洋放出に対する『抗議』だったと主張し、一部から“喝采”を浴びていました。一方で、その過激な言動から『無法行為を助長する』などの批判も絶えなかった“いわくつき”の人物です」(同)
実際、今年2月には投稿した動画の内容が“公序良俗に反する”として中国国内のSNSアカウントがすべて削除されたという。
「逮捕後、中国のSNSでは『鉄頭の化けの皮が剥がれた』などとする声が多く見られた反面、靖国神社への不法行為を咎める声はなく、現地の公安当局も靖国の一件は捜査対象にすら上げていないと聞きます。これでは“靖国への狼藉行為は罪に問われないことが証明された”とするネット上の指摘に対し、肯定するかのような誤ったメッセージを送りかねない」(同)
現地での逮捕を受け、林芳正・官房長官は28日、「法律を踏まえ適切に対応していく」と記者会見で述べたが、具体策については言及しなかった。これ以上の“逃げ得”を許さない対策の構築が急務となっている。
デイリー新潮編集部

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